お得意様は友人だそうです
バーナードさんにはサウスに到着した事を報告。
予定より早い到着に機嫌は良好。
ただ、未だに自転車には乗れない様子で、数日の休暇を頂いた。
あれ?
依頼主は私なのに、何故バーナードさんから休暇を貰うのか疑問である。
まぁ、休暇と言っても今日はレックスさんの用事に付き合う予定だしね。
「そう言えば、昨夜はバーナードさんと何を話していたのですか?」
バーナードさんと夕食を頂きながら報告した後に、何時もなら部屋までエスコートしてくれるレックスさんが、そのまま残りバーナードさんと話をしていたのだ。
「ああ、大した事ではないです。師匠の体調とか、色々と」
レックスさんは話を濁すように微笑む。
これは聞くなと言う意思表示だろう。
まぁ、良いですけどね。
「では、ケイレブさん行ってきますね」
バーナードさんは朝は遅いのでケイレブさんに挨拶をしてサウスの宿屋へと飛ぶ。
この作業も慣れたもので、最初の頃は驚いていた屋敷の方々も今では涼しい顔で見送ってくれる。
「はい。いってらっしゃいませ」
深々と頭を下げるケイレブさんを見て私転移魔術を発動させた。
一瞬でサウスの宿屋へと転移。
「いつ見ても凄いですね」
レックスさんが感嘆する。
飛ぶ距離は前回より伸びたが、飛ぶ人数は三人から二人になったので、魔力の消費はそれ程変わらない。
「今日は何処に行く予定ですか?」
一応目的地を確認する。
「領主の別邸へ行きます。お昼ご飯に良さそうな食材を買って友人と会う予定です」
「レックスさんの友人ですか?私が会っても良いのでしょうか?」
「ええ、大丈夫です。この依頼を受けた時にあの人もエトラさんに会うのを楽しみにしていたので」
「そうですか」
依頼の内容を知っていると言う事は、レンジさん関係の人かな?
「因みに、クーラーとヒーターを千個程注文した、とんでもないヤツです」
なんと、目茶苦茶お得意様ではないですか。
魔道具は魔石が高いので、一番安いクーラーでも新人文官の三ヶ月分の月給に相当する。
それを、クーラーとヒーターを千個も注文してくれるだなんて。
「目茶苦茶お金持ちなんですね」
そう、富豪だよね。
レンジさんも相当なお金持ちだと思っていたけど、それを遥かに越えるお金持ちだ。
「友人は大切にしなくてはいけないね。是非、私もご挨拶しなくては」
気分はもうビジネスモードですよ。
「夏の暑さも気にならなかったと大変誉めていたよ。あいつ、暑いのも寒いのも苦手だから」
ええ、ええ、良いですとも、上客バンザイですよ。
「では、早く行きましょうか。その友人に会いに」
行け行けGOGOと息巻く私に
「あ〜、ちょっと遠くに居るからワイバーンで昼頃に着くらしいんだ」
なんと、ワイバーンで
「ワイバーンって、確か城が建ってもお釣りが来る位のお値段でしたよね」
レックスさんは「ああ」と少し考えるように言う。
どうやらマジモノのお金持ちのようだ。
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