寝て曜日は必要ないらしい
冒険者用の入り口を入ると、そこには兵士が2人在住していた。
「身分証の提示をお願いします」
兵士は決められた台詞を言うように抑揚のない声でそういう。
レックスさんと私は各々身分証になる冒険者ギルドカードを提示。
レックスさんの冒険者ギルドを見た兵士が思わず敬礼した。
「Sランク冒険者様でしたか。ご無礼申し訳ございません。お通りください。そちらの方はパーティーメンバーですか?」
そして続いて私の方を見る。
「はい。そうです」
レックスさんの返答にニコニコと愛想笑いをした兵士は軽く私のギルドカードを見てそのままスルー。
これが格差社会かと思ってしまった。
レックスさんのお陰ですんなりサウスの街に入る事が出来た。
他の冒険者さん達はギルドカードの確認と身分の照合作業がされている。
流石はSランク冒険者は優遇されているなぁ、と感心してしまう。
「少々連絡を取りたい人がいるので冒険者ギルドへ寄りたいのですが」
レックスさんが珍しく私用事を話す。
何時も私に合わせて貰っているので、もしかしたらレックスさんもやりたい事があったのかも、と、少し反省する。
「すみません。何時も私の用事にばかり付き合わせてしまって。レックスさんも休暇みたいなものが必要ですよね」
本当にそれだけは申し訳ない。
キリさんにあれだけ週休二日制と騒いでいた私が、いくら依頼している雇用主と言えど、四六時中拘束とか有り得ない。
どこのブラック企業だよって問題だよ。
「あの、行程も早く進んでいるので今日、いえ、明日とかお休みにしますか?レックスさんも買いたい物や欲しい物、食べたい物もあると思うんです。もしくは寝て曜日とか?」
「寝て曜日ですか?」
レックスさんは頭を傾げて私を見る。
うん。
そうだよね。
寝て曜日はこの世界には浸透していないか。
「え〜と、疲れて休む休日の事でしょうか。そんな言葉を使う地域があるような、ないような。ハハハハハ」
ツライ。
結構ツライ言い訳です。
「そうなんですね。エトラさんと居ると新しい事ばかりで毎日が新鮮ですよ。ですので、エトラさんが言う、その寝て曜日は俺には必要ありません。それに、依頼人を放っておく事は出来ませんから」
何と律儀な。
それに寝て曜日が要らないとは、若いって良いよね。
バーナードさんの行程を見た時は大分ブラックな計画だと思ったけど、それに慣らされたレックスさんからしたら、この旅はまだまだ余裕なのかもしれない。
私なら寝て曜日を要求している所だけど、どうやら大丈夫なようでホッとした。
「では、明日はお休みにしてレックスさんの行きたい所へ付き合いますよ」
やっぱり休日は必要なので。
お読みいただきありがとうございます。
今日気付きましたが、途中からレックスさんの冒険者ランクがAになっていたようで、正解はSでした。時間を見て修正して行きたいと思います。ご不便おかけしますが置き換えてお読みいただければと思います。
また、読んでいただけたら幸いです。




