城郭都市サウスに着きました
王都一つ手前の町は今まで見たどの町よりも大きい城郭都市と言った所だ。
城壁も5メートルは越えるぐらい高く、上から見張りの兵士が外の様子を見ている。
この都市は前の王様の妃の兄が治めている都市で、今の第一王子の伯父が治めていると言う事になる。
それと言うのも、前王が崩御した時に、当時の王太子がまだ幼かった為に、王弟であった現在の王が繋ぎ役として期間限定の王様をしているからだ。
その事を証明するかのように、今の王様は結婚をしていない。
当時宰相だった王弟陛下は即位の時にそれを高々と宣言している。
勿論、兄弟仲も良好だったこと、王太子も既にいる事など、臣下は特に反対する者もなく可決されたと言う。
「ここが、王太子殿下の伯父さんの治める領地ですか」
「はい。サウスと言う街で、ここには南から入って来る品物が王都へ行く前に揃う場所でもあるために、大変賑わっています。と言うのも、ここから王都までは3日程の距離があり、その間には街がありません。故に、ここで食料や物資を購入してから旅に出るようになるために、品物が豊富なのです」
この都市だけでも、一日にそうとうな金額が動くだろう。
商売をしていると何事も算盤勘定してしまうのは悪い癖だ。
入口には検問があり、不確かな身分の者は入れない仕組みになっている。
「冒険者カードの提示ですんなり通れるはずだ」
レックスさんは自転車を降り、私の麻袋へと自転車を仕舞う。
登録されていない魔道具だと、厳しい検問があるらしいが、自転車は魔道具ではない。
けど、見たこともない道具なのは確かなので、変な波風を立てない為に自転車は麻袋に収納する事にした。
「あの、そう言えばですが、私達の関係をきかれたら何と言うべきですか?」
検問の事は考えてもいなかったので、どこまで正直に回答するべきか分からかい。
「冒険者はパーティーを組むのは普通だ。基本は4人パーティーだが、2人でも3人でもパーティーを組むことがある。まあ、たまに大御所帯な所もあるけど」
「なるほど、では私とレックスさんはパーティーを組んでいて、次のクエストを受ける予定と言う感じでしょうか?」
「そうですね。そんな感じで大丈夫です。それと、ここの検問所は一般、商人、冒険者、そして、行政関係者で入口が違います。俺達は冒険者ですのであの紫の旗の入口から入ります」
確かに、城壁の入口は何個かあり、その入口には遠くからでも分るように旗がなびいている。
「予定より早い到着ですが、行きましょうか」
レックスさんに促され、私は冒険者用の入口へと向かった。
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