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ウカさんの神殿に飛びました

あの後、レンジさんの別荘に戻ってからケイレブさんに夜食のリゾットをご馳走になり、私達は其々の部屋へ戻った。

レックスさんには「イメージトレーニングは大事です。今日私が自転車に乗った時の事を思いだしイメージトレーニングしてから休んで下さいね。イメージトレーニングをした後の睡眠で頭が学習する事があるので」

そう、私はレックスさんにイメージトレーニングと言う名の睡眠学習を実行させる事にした。

子供の頃なら何度か体に覚えさせれば出来るだろうが、何せレックスさんは結構な年齢になっている。

子供と同じやり方はでの指導は私には無理だ。

だって、自転車を押さえるにしろ、きっと私の方が力負けしてしまうだろうからだ。

「分かりました。やってみます」

レックスさんは素直に応じる。

「くれぐれも言っておきますが、イメージトレーニング重視ではなく睡眠学習が重要なんです。記憶の定着の為にも睡眠時間は確実に確保して下さい」

ビシッと言うと、レックスさんはコクコクと頭を縦に振る。

「では、おやすみなさい」

レックスさんと廊下で別れて私は割り当てられた部屋へと入る。

入ると直ぐにリュックを下ろし、中にいたゴンちゃんを確認。

ゴンちゃんは体の周りに膜を作り休眠中になっていた。

ゴンちゃんはこうやって何度か孵化を繰り返して大きくなっている。

孵化をするのに必要なのは、体を大きくする為の魔素のようなモノらしい。

普段は空気中に漂う魔素を摂取しているらしいが、特に神力の魔素を好む。

ウカさんのお庭で採れる野菜などには、育成する過程で神力を与えるので、育った実にも神力が残ると言う。

だからゴンちゃんはウカさんのお庭で採れた野菜を好んで食べる。

そして、何度か孵化を繰り返して今の大きさになって一年。

それからは変化が無かったが、今日あの湖で精霊が消えた後にゴンちゃんが重くなり、孵化する為の膜を張った。

「まさか、ゴンちゃん。精霊とか食べたんじゃないよね」

勿論、ゴンちゃんは何も言わない。

想像したくないけど、そう言われるとさっきの現象の辻褄が合う。

「嘘だよね、なんで?」

そう言った瞬間、私は見なれた聖地のウカさんの神殿に居た。


「こんばんは、エトラちゃん」

ウカさんはニコニコとしながら私の向かいに座っている。

「ウカさん、これって・・・」

「ゴンちゃんが成獣になる為の最後の孵化に備える為に呼んだの」

リュックの中に入っていたゴンちゃんは、今はウカさんの手の上にいる。

「最後のピースは、この世界に存在する何かとの融合。成獣になるにはこの世界の自然に干渉出来る存在を取り込む事が必要だったの。貴女のいた世界の言葉を借りれば依り代って言うのかな?」

その何かとは、生きているモノなのだろう。

ヤマタノオロチが生贄を糧に体を取り戻そうとするように。

「ヤマタノオロチは肉体とそれに含まれる魔素を糧にするけど、ゴンちゃんはあくまでも融合だから。お互いにお互いが承諾し、干渉し合う、言わば運命共同体。ヤマタノオロチとは根本的に違うの」

ウカさんはそこまで言うとフゥーと息を吐く。

「聖獣になる為にはより多くの神力がいるの、ここでは他の神々もいるから神力はみなぎっているわ。孵化するまでここで預かりたいの」

ウカさんはそう言うと困ったような顔をする。

「あの、クロードさんはどうしたんですか?」

こんな大切な話にクロードさんがいないのはおかしい。

ジッとウカさんを見ると、再びため息を吐く。

「クロード様達は今、聖域の結界を貼り直す作業に入っているわ。万が一に備えてだけど、多分一月はかかるかと、その間エトラちゃんの事をお願いされたのよ」

万が一にか。

そうだよね。

今の私達では万が一が起こると思っていると言う事だ。

「分かりました。ウカさん、ゴンちゃんをお願いします」

私はウカさんにゴンちゃんをお願いすると深々と頭を下げた。

神様と仲良くなったからと甘えが出ていたんだ。

何とかなるってどこかで思っていた、けど、そうじゃない。

「私、もっと強くなります。ゴンちゃんが聖獣になった時に主として相応しいように。だから、それまでゴンちゃんを宜しくお願いします」

私はウカさんをジッ見つめた。

「分ったわ。頑張ってエトラちゃん」






お読みいただきありがとうございます。また読んでいただけたら幸いです。

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