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人手が欲しいらしく

あのポテトフライを出した翌日から目まぐるしい忙しさで厨房をまわす。


因みにこの世界のお店に定休日と言う概念がなかった。


強いて言えば、日曜日の午前中は各神殿で礼拝がある為に休みになっている位で皆さん働き通し、滅茶苦茶ブラックな世界だと思う。

これが現代なら労基違反で直ぐに処罰の対象になるレベルだ。


が、言わせてもらえば休暇がないってあり得ない。

今後の企業展開で一番に改善させるべき問題だと思う。

 

一週間頑張って休めるのが日曜日午前中の半日だけだなんて絶対ない。


少なくとも週休二日制は必要だ。


日曜日は稼ぎ時だとしても、それ以外で二日の休みは入れたい。


そう言えば、何故この世界は前世と同じ曜日なのか?不思議だ。


時間が出来たらこの世界の事を勉強しなくてはいけないなぁ。


なんかやる事いっぱいだなぁ。


そんな事を考えながら朝食後にホットミルクを飲んでいた。


「では、行って来る」


旦那さんが礼拝に参加する為に正装をしてお出かけするところだ。


この世界の神様は五行神とそれらを統べる二神からなっているが、そこから更に色々な神様が生まれている。


例えば商業の神様、例えば武闘の神様、例えば・・・と言う感じで。


旦那さんは毎週五行神と二神の神殿へ礼拝に行っているらしい。


私は特に何も信仰はしていないし、神様がいる事も知らなかった。

因みに、旦那様はこの町の神殿を巡るらしく、この町だけでそんなに神殿があるのかと驚いている。


私とハンナさん二人で旦那さんを見送り、その後はゆっくりと半日の休暇を過ごす事にした。

ハンナさんは伯爵家が領地を没収されてからは神殿には行ってないらしい。


詳しくは聞いていないが、何かあったのだけは分かる。


故に、私とハンナさんは午前中はこうやってまったりしながら過ごすことにしたのだ。

何せ、他のお店も全て閉まっているのだから。

お店は3時から2時間だけ開けるそうなので今はゆっくりしている。


ホットミルクを半分飲み終わった頃にハンナさんがソワソワと私の方を窺う。


何か言いたそうにしているのは明白。


「お祖母様、どうかしましたか?」


ここは大人の対応で相手が話しやすいように誘導をする。


「実はね、今週とても忙しかったでしょう。もし、エトラが賛成してくれるのなら人を雇いたいんだけど」


確かに、今週は忙しかった。

でも、この忙しさが何時までも続くとは思えない。


それに、ジャガイモを加工している過程を見られるのはまずくないだろうか?

世間的にジャガイモは家畜の餌なのだから。

人を雇ってその結果この店葉お客様に家畜の餌を出しているなんて噂になったら致命的だ。


そこまで考えた所で出した結論が

「販売だけなら人を雇っても良いと思います。理由は、ジャガイモは皆さんの認識では家畜の餌だからです。今の状態でポテトフライの材料がジャガイモだと世間にバレたら、きっと私達は家畜の餌を人に出したと非難されると思うんです」


自分は王女時代散々ジャガイモを食べさせられたけど、それを食べている私を見て侍女達は笑っていた。

今だから分かる。

あれは家畜の餌を王女に与えて面白がっていたのだ。

私の話を聞いたハンナさんがハッとしたように顔をうつ向かせた。


「言われて初めて気付いたわ。だから旦那もエトラに相談しろと言ったのね。私に教養がないから、ごめんなさいね」

ハンナさんは悲しそうに言う。

勿論そこに反省の色も濃い。


「皮さえ剥いて切ってしまえば、元がジャガイモだとは分からないと思います。皮むきについてもいずれ改善しますので安心して下さい」

私はそこまで言うとハンナさんの手を取る。


「で、その新しい人手は目星がついているんですか?」


既に、三人ではとてもさばききれないのは目に見えている。


私はそう尋ねるとハンナさんは「隣の金物屋の奥さん」と答えた。


忙しさのあまり隣の家が何をしているのかすら知らなかった。

けど、金物屋?これって私、ツイテいる!!

お読み頂きありがとうございます。

また、読んで頂けたら幸いです。

執筆のモチベーションアップのため高評価頂けたら嬉しいです。

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