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夜の訪問者

「今日はお疲れでしょうから、ゆっくりと休んで下さいね。時間は気にせず、寝坊した時には起こしに来ますから」

レックスさんの有り難い申し出は、正直に言えば有難迷惑だ。

何せこちとら男装女子なのだから。

もし、万が一にだよ、寝相が悪くて女だとバレたらそれこそヤバイと思うんだよね。

「レックスさんの方こそ、私の事は気にせずに、どうしてもという時は思いっきりノックして下さい。それで起きると思いますので」

前世では目覚ましの音を小さくしていても起きれたのだからきっと大丈夫。

「では、お休みなさい」

そう言ってレックスさんの部屋の前で別れて部屋へと向かう。

何となく人の気配を感じる。

「まさか、幽霊とか出るのかな?」

ここは魔法要素の高いファンタジー世界だ。

幽霊の一人や二人居ても不思議ではない。 

何せ神様がいるくらいなのだから。

私は恐る恐る部屋へと入ると、そこにはキリさんがいた。

緊張感が一気に抜けて思考が逆回転する。

ってか、女性の部屋へ無断で侵入して待っているとはどういうこと?

「エトラ様。夜分遅くにすみません。レンジ様のお使いで来ております」

礼儀正しく一礼するキリさん。

けど、無断侵入が全てを台無しにしている。

「あの、仮にもですよ。妻でもない女性の部屋へ夜に忍込み、なおかつ待ち伏せはないと思います」

一応、キリさんは私の正体を知っているのだから、この場合女性の部屋でと言う下りは当てはまると思う。

「申し訳ございません。しかし、エトラ様は日中は旅に出かけでおり、朝も忙しいと思いますので、失礼を承知で待たせて頂きました。それに、私には最愛の妻がおりますので」

ポッと頬を染めるキリさん。


確かにねぇ、私は朝は弱いよ。

今日のバーナードさんのスパルタ具合なら多分明日は起きれない可能性の方が高いよ。

「分かりました。私も今日は疲れているので、用件を手短にお願いします」

手短にと言ったのには理由がある。

「心得ております。実は昨日話された車なるものの話をレンジ様にしたところ、直ぐにでも図案が欲しいと言われまして。早急に対処して頂こうと参った次第です」

「えっ、そう言われても、具体的に書くとなると時間が・・・」

主に寝る時間が無くなる。

「大丈夫です。エトラ様がお話して下さった内容から私が書面に移し換えます」

「分かりました。では、時間も惜しいので、車とは・・・」

・・・・・・と、約30分程説明してキリさんは納得してくれた。

くれたけど

「これは私の妻が作成したポーションと魔力回復ポーションです。これらはエトラ様用にと妻が持たせてくれたもので、私からこう言ってはなんですが、とても効能がバツグンなんです。実は私の子供もポーションを作るのですが、大人顔負けの完成度でして、良く親の欲目と言いますが、うちの子に限っては親の欲目ではなく、正真正銘の天才でして」

ああ、キリさんの子供自慢が始まってしまった。

これが始まると2時間は止まらないんだ。

だから手短にって言ったのに。


それから2時間、私はキリさんの家族自慢を聞かされる事になる。

その報酬はリアさん特製ポーションセットだった。

お読みいただきありがとうございます。また読んでいただけたら幸いです。

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