支配のロープってなんかあやしい
ダンジョンボスを倒し、戦利品のドロップアイテムと、ダンジョンボスだけが落とすと言うレアアイテムの宝箱の中身を回収。
ダンジョンボスのドロップアイテムは大きな魔石と支配のロープ。
レアアイテムはミッドガルドの盾。
戦利品を回収した所で「おお、ダンジョンボス攻略だなぁ」と、呑気な声が頭上より降りて来た。
バーナードさんだ。
「師匠、何故上から?」
バーナードさんはヒラリと9階層から降りてくる。
とても元気そうで良かった。
「ちょっと登り過ぎてな、丁度穴が空いたから降りて来た」
バーナードさんの言葉に上を見てみると地上の光が見えている。
「ちょっとこれは・・・」
「巻き込まれた冒険者は?」
レックスさんは直ぐにバーナードさんに問い掛ける。
「ああ、実は俺が落ちた時の振動が凄かったらしく、天変地異が起きる前触れとダンジョン内にいた冒険者は全員脱出したそうだ。まぁ、これも怪我の功名だな」
バーナードさんはそう言いながら豪快に笑う。
「まぁ、俺も深く落ち過ぎたから脱出の魔法で飛んだんだが、そしたらまた大きな音がしたので来てみたと言う訳だ」
バーナードさんはそう言うとガハハハハと大きな声で笑う。
つまり、一旦ダンジョンの外に出ていたと言う訳なんだ。
ダンジョンの脱出魔法は転移魔術とは違い特定の条件でダンジョンを出る事が出来る。
1つ目は階層ボス戦中でないこと。
2つ目はダンジョンボス戦中ではないこと。
3つ目が途中で魔力遮断の層がないこと。
これがらあるとその手前までしか飛べない。
レックスさんの話ではここの階層にも魔力遮断の層はあるらしいが、バーナードさんが開けた穴のお陰で皆さん脱出魔法が支障なく使えたらしい。
本当に怪我の功名だ。
「おい。それ」
バーナードさんは私達が持っているロープに目を止める。
「まさか、支配のロープか?」
物欲しそうにロープを見るバーナードさん。
私の手前か、とても遠慮がちにロープを見ている。
「はい。支配のロープです。何に使うのでそょうか?」
用途がさっぱり分からない。
「それはなぁ、拷問用のロープだ。そいつで縛られたヤツは縛ったヤツの言う事を何でも聞くらしい。どんなに訓練されたスパイでもペラペラと自分の知っている事を話すと言う幻のロープだ」
なんかなぁ、それなら自白剤でも良いんじゃないかと思うんだけど。
「おー、お前らしょうもない事をと思っているな?良いか訓練されたスパイは自白剤でも嘘をつくんだ。自白剤だから本当の事を言っていると思わせて、本当のような嘘をつくんだよ。けど、このロープは自白剤なんて生温いものではない。強制的に相手を支配しイカレタレコーダーのように聞かれた事に素直に答えるんだ」
なんか、妙に説得力があるように聞こえる。
けど、説明するバーナードそんの目はすでに多く正気ではない。
「分かりました。では、レンジさんに送って有効活用をしてもらいましょう。それが一番良いですから」
私はそう言うと手早く支配のロープを麻袋へと入れた。
バーナードさんに渡したらきっと変な事に使われそうだったからだ。
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