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ダンジョンと言うなの寄り道

速歩で進む事も一時間程、そろそろ馬を休ませる時間になる。

「師匠、そろそろ馬を休ませましょう」

レックスさんがバーナードさんへ声を掛ける。

「ん〜、もうそんな時間か。分かった、あそこの木陰で休もう」

バーナードさんは一キロ程離れた場所に見える木を指し示す。

「分かりました。少し速度を落としましょう」

レックスさんの指示に私も頷き馬の速度を落とす。

次の村までは距離として40キロだ。

常歩でもお釣りが来る位の距離で、極端に言えば歩いて行けた距離だ。

木陰に到着すると馬達に水をやり、木にロープを巻き放牧させる。

少し速いけど私達も軽く食事を取る。

焼いたベーコンとレタスを挟んだ物と、たまごサンドの軽食だ。

それにボトルに入れた果実水を飲みながら小休憩になる。

「ここから10キロまではいかないが、そこから少し山沿いに外れた所にダンジョンがある。そこで馬達を休ませるからお前らダンジョンの入口を見て来い。特にエトラはその場所を良く見て置くように、村に着いて宿を取ったらダンジョンへレベルを上げに潜るぞ」

バーナードさんはあっという間にサンドイッチを食べ終えるとボトルの果実水を飲みながらそう私達に指示をだした。

「途中でダンジョンへ潜るんですか?」

正直に言えば早く前に進めたい。

「はっきり言わせて貰えば、お前ら二人共まだまだレベルが足りない。神の山の魔獣舐めんな」

バーナードさんの言う通りだ。

クロードさんも私のレベルでは無理だが、仲間次第ではと言っていた。

レベルを上げるのはやぶさかじゃない。

「少なくとも、王都に着くまでにはレックスは後5レベル、エトラは10レベルは上げておこうか」

バーナードさんは簡単に言うが、今日の行程でも、余裕の出来る時間はたかが知れている。

「早めに宿に入って、そのままダンジョンへ飛べば良いだろう。ダンジョン攻略したら今日は帰ろうか」

バーナードさんはそう言うとボトルをもう一煽りすると立ち上がり馬のロープを解いた。

「次の休憩は少し多めにするから頑張れよ」

そう言ってバーナードさんは一足先に馬に跨る。

私達も急いで馬のロープを解いてバーナードさんに続いた。

レックスさんは流石と言うべきか既にサンドイッチは食べ終わっていた。

私は残念ながらそう半分も食べていない。

「師匠と一緒だとゆっくりと食事は出来ませんので慣れて下さい」

レックスさんは苦笑まぎれにそう言った。

きっと、こういう事は良くある事なのだろう。

「ダンジョンからダンジョンへ、師匠にとってはダンジョンは寄り道程度なんです。けど、レベルは間違いなく上がりますので勘弁して上げて下さいね」

レックスさんは達観したように私に言うが、食事の時間位は欲しいと思うんだよ。


次の休憩場所までは10分で到着した。

そこからバーナードさんに馬を頼み、少量の軽食を置いて私とレックスさんはダンジョンの入口を目指した。

「確か、ここからなら1キロ弱位の距離にあったと思います」

レックスさんの説明を聞きながら、私は先程食べられなかったサンドイッチを頬張る。

「歩きながら食べるなんて、エトラさんは器用なんですね」

レックスさんは私の方を見て感心しているが、お貴族様じゃあるまいし、食べ歩き位するよね。

「バーナードさんと一緒ならそう言う事はなかったですか?」

「ああ、師匠は早食いなので座っている時間自体が短いんです。けど食べ歩きをしている所は見たことがありませんね」

なんと言う事でしょうか。

あのバーナードさんも食べ歩きしない方だとは驚きです。

そう言えば、テイクアウト事態が珍しかったんだ。

そうなると、私が食べ歩きを流行らせた事になる?

行儀悪い商会だと言われるとか?


そこまで考えて思考を一旦停止した。

まぁ、いいかなぁ。

何時かお祭りとかして出店も沢山並べたいし、そうすれば活気も出るかも。

そんな事を考えながら私はサンドイッチを貪る。

「行儀悪いですかね?」

ボソリと本音が出てしまう。

「どうでしょう。俺は気にしませんよ」

お読みいただきありがとうございます。また読んでいただけたら幸いです。

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