客間は広かった
レンジさんの別荘は入口を入ると広々としたエントランスがあり、ここだけで私の屋根裏部屋かを何個入るのか?と思われるくらい広かった。
入口で呆けていると奥の方から執事風の年配の男性がやって来る。
「お待ちしておりました。この館を管理させて頂いておりますケイレブと申します」
私達の前まで来るとそう言って深々と頭を下げた。
「おう、宜しくな。俺はバーナード、こっちがレックス、そしてこっちはエトラだ」
バーナードさんは年長者らしく私達の事を紹介する。
「レックスです。お世話になります」
レックスはそう言って頭を下げる。
私もそれに習い
「エトラです。宜しくお願い致します」
と、頭を下げた。
「バーナード様と、レックス様と、エトラ様ですね。了承いたしました。こちらに滞在の間に何名か使用人も増えると思います。気になる点がございましたら遠慮なく言って下さい。先ずはお部屋にご案内致します」
ケイレブさんはそう言うと私達を二階の部屋へと案内する。
「二階は基本的に客間になっております。三階はご主人様方のお部屋になっておりますので立ち入りはご遠慮下さい」
ケイレブさんは階段を登っている最中、そのように説明した。
二階に付くと階段に近い所からバーナードさん、その隣がレックスさん、その更に隣が私の部屋と言う感じになっている。
「お荷物を置きましたらお食事に致します。準備をしてまいりますので、先程のエントランスでお待ち下さい」
ケイレブさんはそう言うと階下へと降りて行った。
私達は其々の部屋へ入る。
部屋は16畳程の広さがあり、ベッドと机とソファーセットが置いてある。
そして、暖炉があったはずのそこにはレンジさんと共同開発した冷風と暖房を兼ね備えた、前世で言う所のエアコンが設備されている。
開発者特典と言いますか、貴族の皆さんに宣伝と言いますか、レンジさんは自身の所有する建物に惜しみなく設置。
ご招待したお客様がご満悦との事で、その後に飛ぶように売れた。
お陰様でカーター商会は国内の商会の番付に乗る位の売上を叩き出した。
けど、それも全て国への借金で消えたけどね。
あのクソ国王、目茶苦茶利息付けてボッタクられた。
直には会っていないけど、何時か会う機会があったら絶対に文句を言ってやる。
閑話休題。
私は特別な荷物はないので部屋を確認しただけ。
何せ、私が今背負っているリュックにはゴンちゃんが眠っているだけだしね。
部屋の間取りだけ確認したら部屋を出よう。
私は大事なトイレとお風呂を確認して直ぐに部屋を出た。
廊下にはレックスさんが既に立っており、私を確認すると「荷物は置かなくて良かったのですか?」と問い掛けて来る。
そりゃ、そうだろう。
「えっと、このリュックにはティムした魔獣がいるだけでして」
本当は、私が卵から産んだ神獣ですが、建前は大切だ。
「エトラさんはテイマーでしたか。そうですよね。俺の知っているテイマーもティムした魔獣を家族だと言っていましたから」
レックスさんはそう言うと私を階下へ促す。
「師匠は先に下に降りていますので、俺達も行きましょう」
なんと、レックスさんはわざわざ私を待っていたようだった。
すみません。
しかし、バーナードさん、大人なのに先に下へ行くなんて、大人気ない人だなぁ。
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