クロードさんの言う事には
この世界の建物の内装は木材、布張り、塗り壁、タイルからなっているが、今回キリさんの屋敷を建てる時に壁紙をアイデアとして出した所即採用され、試験的に壁紙を使った内装になっている。
勿論、お風呂とかトイレとか水回りの所は従来通りタイルを使用。
その内にビニールも開発してクロスも復旧させようと思っている。
ああ、野望が尽きない。
そんな事を考えている内に二階の執務室へと到着していた。
「こんにちは、エトラです」
そう言って扉を開くとリナさんがニコヤカに執務机に座ったまま手を振ってくれた。
「キリから旅の事は聞いていたから、そろそろ来ると思っていたよ〜」
何時も通りの明るい対応。
ルアン君はと言うと、座り心地の良さそうなソファーにドデンと座ってくつろいでいる。
「やぁ、エトラ待っていたよ」
どうやらルアン君は今クロードさんのようだ。
「取り敢えず、座れ」
子供の姿でその命令口調はないと思うんだよ。
私はクロードさんの言う通りにクロードさんの向かいの席に腰を下ろす。
「ここ三年で大分戦闘能力も上昇したが、戦力としてはまだ心許無い。姉上はこれから補充するメンバー次第では大丈夫だろうと言うが、そこも懸念事項が多い。それでも向かってくれるか?」
行くなとは言わないのは、もう後がないからだろう。
今回の生贄で体が完成してしまうと言う。
「もし、私が討伐に失敗した場合はどうなりますか?」
今までは怖くて聞けなかった事だ。
「体が完全に完成すると、精神体と肉体との完全融合のために、しばし冬眠に入る。そうなるともう手出しができない。あとは復活するのみだが、その間、数年ほどの猶予があるだろう。その間に神々でさらなる対策を練らねばならないことは確かだ」
つまり、神様同士の戦いリバースと言う事になる。
前回の戦いでは広範囲の大陸が消えたと言う。
勿論、そこに住んでいた民達も道連れにだ。
「これで決意がつきました。絶対に諦めないという決意が」
私はクロードさんに笑顔で宣言する。
「ああ、エトラならそう言うと彼も言っていたよ」
「彼ですか?」
誰の事だろう?
「君は決して一人じゃない。困った時、孤独になった時、君の中に問い掛けてごらん。答えはきっと見つかるから」
クロードさんはそう言いながら私の頭を撫でてくれる。
ほんわかと温かい物がクロードさんの掌から流れて来て心地良い。
「山の神域に入る前までなら、いつでも転移の魔術を使う事が出来るから、困った時は帰っておいで」
「はい」
ルアン君の顔で言われるとなんだか緊張感がないけど、
「行ってきます」
私はそう言うと転移魔術でその場を後にした。
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