13歳になりました
あの後、私は冷蔵庫と冷蔵庫、そして、クーラーとヒーターまで、レンジさんと共に共同開発し、翌年には貴族は勿論の事、大きなお店にも浸透させることに成功した。
お陰で莫大なお金がここ数年で稼ぐことが出来、念願のお祖父様の名前と爵位を国からの買い戻す事に成功した。
カーター商会としての収入もあり、失った領土もついでに買い戻す事が出来た。
けど、その為に今まで稼いだお金の大半を失う事になったが、まぁ、借金ゼロのスタート地点に着けたと思えば気持ちも楽になる。
これからは稼いだだけ収入になるし、モチベーションは鰻登りだ。
冒険者ランクもキリさんのスパルタクエストのお陰でBランクに入り、もう少ししたらAランクと言う所まで来た。
スタンプラリーも先日やっと一枚目終了し、クロードさんの宿題も完遂する事が出来た。
最初は簡単だと思っていたけど、其々の条件が色々あり、牛歩並の速度で消化する感じだった。
が、ようやく、全ての課題が終わった。
まるで、夏休みの宿題を夏休み最後の日に終わらせたような感じ。
「やりきった」
その一言に尽きる。
が、そんな今現在、私にはタイムリミットが来ていた。
何のタイムリミットかって?それは、私がこの冬の始めに14歳になるからだ。
つまり、ヤマタノオロチへ生贄を出す年になったのだ。
生贄は丁度14歳になった日でないといけないらしく、13歳になった春、本格的にルワールへ戻らなくてはいけない時期になった。
ここは、直線距離で行ったら海を超えて行けば近いのだが、ヤマタノオロチが暴れた影響か、船の航行は無理との事で、内陸を経由しながらの移動になる。
お嫁に来た時のように、軍馬での移動ならともかく、普通の馬を使って行くとなるとルワールの城まで数ヶ月はかかるだろう。
問題があるとしたら、国と国を跨ぐ時の関所だろう。
「知り合いのSランク冒険者が同行してくれる事になった」
キリさんは仕事もプライベートも色々とお世話になっている。
因みにだが、キリさんは2年前に目出たくリナさんと結婚しました。
それも、デキ婚。
可愛い男の子が産まれました。
そして、現在第二子がリナさんのお腹の中に。
こんな大切な時期だからキリさんには同行してくれるAランク以上の冒険者をお願いしていたら、まさかのSランクとは。
本当に出来る人間は要望以上の成果を見せてくれる。
「ここから北に40キロ行った所に大きな町があります。そこにルノー商会の支部があり、彼はそこでエトラ様を待つ間アルバイトをして頂いております」
「アルバイトですか?」
Sランク冒険者が?
「ヒーター用の魔石を作って貰っています。毎日魔力が枯渇する位に、ですから、お会いするなら朝の方が良いですよ。魔力がある内に」
魔力枯渇って、吐き気はするし、頭は痛いし、熱中症の酷い状態みたいな感じのあれだよね。
キリさんの助言で何度かやったけど、ハッキリ言って死ぬかと本気で思った。
「あいつの師匠はステータス上げのオタクで変態ですので、それで慣れたようですよ」
あれに慣れるだなんて、よっぽどのマゾなのだろう。
「私、変態はちょっと」
冗談でそう言うとキリさんのツボにハマったらしく、笑いが止まるまで暫し時間を要した。
お読みいただきありがとうございます。また、読んでいただけたら幸いです。