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ワサビは鼻に

笹を思わせるような皿にウニとイクラの軍艦巻きにマグロとサーモンとイカとエビが一貫ずつ並んだ物をレンジさんの前に出す。

「これは」

レンジさんがウニとイクラを興味津々と眺めている。

更に味噌汁と茶碗蒸しを出して特上寿司セットが出揃う。

「このセットをオープン一ヶ月間のメインにしようと思います。取り敢えず一ヶ月はこの商品のみに力を入れたいと思います」

「ああ、キリから聞いているよ。オープン価格で500リンにするそうだね。その後は幾らにするんだい?」

「一応900リンから1,000リン位にしよと思っています」

「ふむ、オープン価格は半額か。どれ」

レンジさんはそう言うと箸を取った。

ヤマト島の住人は箸を上手に使っていたが、そうでない人達はマチマチだった。

レンジさんは箸を使える人らしく、上手に箸を動かしている。

パクリと、最初はマグロを食べる。

そして、数回咀嚼し「ん?」という顔になる。

そう、お寿司と言えばワサビ。

まだ馴染みでない為にワサビを少量入れている。

それと、醤油も箸に慣れていない人の為に漬けにしている。

正直お寿司を漬けでお出しするのには抵抗があったが、致し方ない。

オープン価格が終わったら、付けるか漬けにするかを選んで貰うようにする予定だ。

「これは、鼻にツーンとくるが、何とも癖になるような味だね」

鼻を押さえながらレンジさんは料理を褒めてくれる。

「ありがとうございます。ヤマト島で使われている食材のワサビを用いています。これもオープン価格終了後に選べる形式にしようと思います」 

耳かき程度しか入れていなかったが、やはり慣れていない人からしたら刺戟的なのかもしれない。

続いてレンジさんはサーモンを食べた。

やはり鼻にツーンとくるらしく軽く鼻を押さえる。 

そして、やはりと言うべきか、最後に残されたお寿司はウニとイクラだった。

「赤い方が鮭の卵を加工したものです。茶色の方はムラサキウニと言う物を調理したものです」

レンジさんにそう説明する。

「ああ、今回貴女が新しい食材として申請した物ですね」

新しい食材申請は許可が下りるまでは限られた人しか知らないはず。

キリさんがレンジさんにリークしたのだろうか?

そう思いキリさんを見た。

が、それは直ぐにレンジさんによって否定された。

「キリはそういった事は私に教えないよ。これでもそれなりの力があるのでね、色々な情報は直ぐに耳にするんだよ」

レンジさんは私に優しく説明をする。

「そうでしたか。失礼をしました」

私は深々と頭を下げた。

「いや、気にしないで良い。では、新しい食材とやらを食べてみようか」

そう言ってレンジさんがウニに箸を向けた。

おお、レンジさんは以外と冒険者なのかもしれない。

皆さんが排泄物と避けていたものをイクラより先に選ぶとは。


お読みいただきありがとうございます。また読んでいただけたら幸いです。

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