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勧誘してみた

さて、今日このお店の改装状態を確認していて気付いた事がある。

「あの、もしかして、また食堂をやりたいと思っていますか?」

私は息子さん夫婦に問い掛けていた。

新しく整えられた厨房、内装をガラリと変えた店内、テラス席から見える海。

そんな光景を息子さん夫婦はもの悲しげに見ていたからだ。

「未練がないと言えば嘘になります。父と母が築いた店には子供の頃からの思い出がありますから」

本当ならまだ続けたかったのだろう。

「あの、このお店の商品を出せるのは半年後になる予定ですが、もし良ければここで店長代理をしてみるつもりはありませんか?勿論、営業開始まで間はありますが、良ければ私の祖父と祖母のお店のお手伝いをしながら待って頂いても良いですし、勿論その間の賃金もお支払しますので、考えてみてはくれないでしょうか?」

現在、色々な商品を手掛けており、近所の奥様方に手伝っては貰っているが、正直に言うと企業秘密も何もないような状況だ。

まぁ、現在作成中の商品はレシピ本として流通させたからそれほどの問題はないが、今後はその辺りを良く考えねばならない。

それと言うのも、隣町に嫁いだ娘さんにレシピを教えてしまったと言う例があるからだ。

「良いのですか?」

息子さんより先にお嫁さんが食い付く。

「勿論です。カーター商会として正式に雇用契約をしたいと思っています」

実はこの店舗を購入する時にウシオさんから料理は旨いと聞いていたのだ。

そんな情報を棒に降るつもりはない。

チャンスを掴むものだから。

「是非お願いします」

これで4人の人員確保だね。

因に若夫婦は20代後半で老夫婦は50代らしい。

老夫婦と言いながら、まだまだ若いよね。

まぁ、この世界の結婚事態が早いから仕方がないのかもしれないけど。

「じゃあ、細かい手続きはキリさんにお願いしますね」

そして、再び面倒な事務仕事はキリさんにキラーパスしてしまう。

うん。

優秀な人材は本当に良いよね。

「勿論、心得ております」

キリさんは快く承諾してくれた。


「ところで、キリさん。レンジさんと一度お会いしたいのですが、良ければ開店前にここへご招待したいのですが、大丈夫でしょうか?勿論予定もあるでしょうから、それは合わせます」

プレオープンではないにしても、レンジさんにはお礼も兼ねておもてなしをしたい。

私の正体を知っても尚助けてくれる謎の大富豪だ。

感謝の言葉だけでは言い表せない。

だって、私は冷遇されていた隣国の姫だったんだよ。

嫁いでも歓迎されさえしなかったのに。

「了解しました。レンジ様は必ずご招待に応じると思いますよ」

そうキリさんは珍しく営業スマイルではない微笑みを見せた。

お読みいただきありがとうございます。また読んでいただけたら幸いです。

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