ポテトフライはですね
翌朝、私は再び美味しそうな匂いで目を覚ます。
今日の美味しそうな匂いはパンの焼ける匂いだ。
小麦粉とバターが美味しそうに焼ける、想像するとクロワッサンとかパイとか、焼き立てをパリッとサクッと食べたくなるような匂いだ。
考えて見ると、記憶にある王女時代に食べた物って芋入りスープに蒸し芋、パンは何か硬めのパンだったが、種類は色々あった気もする。たまに、緑色の物体がスープに入っていたが、よくよく思い出してみると、あれはパセリの萎びた感じの物だった。
きっとパンもパセリも古くなった物を出していたのだろう。
今思えば料理を運んで来る侍女達は私が芋を食べる姿を見て笑っていたけど、そんな地味な嫌がらせのお陰で栄養を摂る事が出来ていたのだから有難い。
私はタンスの中から服をチョイスして急いで服を着替えると階下へと向かった。
「おはようございます。昨日はすみません。疲れていたみたいで、知らない内に寝ちゃってました」
私は二人を確認するや、子供らしくそう言って深々と頭を下げた。
何せ、昨夜はご飯を食べようとしていた所までは覚えている。
けど、食べる前に寝落ちって幼い子供でもないのに申し訳ない。
まぁ、この体の主の記憶を見るに部屋からも出ず引き籠もっていたようなので、急に体を動かしたから疲れたのだろう。
少しお店が軌道に乗ったら筋トレをするようにしなきゃ。
護身術なんかを習うのも良いかも。
二人は私の挨拶に「エトラだ〜」と嬉しそうに走り寄り、抱き締める。
物凄い歓迎ぶりだ。
「ところでエトラ、フライドポテトとポテトフライは何が違うの?」
何故ポテトフライを知っているのかは分からないが、ハンナさんは目をキラッキラさせながら聞いてくる。
本当に食べるのが好きなようだ。
「えっと、本来は同じ意味です。野球とべースボールみたいな?けど、私が区別し易いようにフライドポテトは昨日作ったように細長い形で、ポテトフライはジャガイモを薄く輪切りにした物な感じです。折角だから今日それも作って見ますか?」
「野球とかベースボールは良く分からないけど。新しい食べ物なら大歓迎よ」
ハンナさんは再び目をキラッキラとさせながらの私の手を取る。
「さぁ、こっちよ」
ハンナさんに手を取られ、走るようにジャガイモの前まで連れて行かれる。
ジャガイモはまだ木箱で山積みになっている。
息子さんはどれだけ家畜の餌を仕入れたのか。
これだけの餌なら既に買い手は見越せての仕入れだと思うが。大農場とか?
新鮮なお肉や牛乳、卵とか定期的に購入出来るかも。
大事な取引先だから後で聞いて見よう。
取り敢えず、私はハンナさんの要求を満たす為にジャガイモを手に取った。
お読み頂きありがとうございます。
また、誤字報告ありがとうございます。大変助かりました。この場で感謝させていただきます。本当にありがとうございます。
また、読んで頂けたら幸いです。
追伸、執筆のモチベーションアップのため高評価頂けたら嬉しいです。今後も宜しくお願い致します。




