冒険者ランクの上げかた
「実は私、転移魔術が使えるんです」
キリさんが私の能力をどこまで把握してるかわからないが、大事な事なので最初に話しておこうと思う。
「転移魔術ですか?」
おや、キリさん驚いている様子。
「あの、キリさんはどの辺りまで私の能力を把握できますか?」
やはり最初に確認しておくべきだったかも。
「その方の名前、年齢、称号、基礎レベル、冒険者レベル、体力、魔力、魔術属性、加護、固有スキル、そして状態異常の場合はその情報も見れます。これは私の固有スキルなのでレベルの制限はありません」
「なるほど、そのレベルの制限とは何ですか?」
キリさんの説明の殆どが理解出来たが、最後のレベルの制限が分からなかった。
「自分のレベルより高いレベルの人を鑑定しようとすると弾かれる事があります。ただ、このレベルが基礎レベルなのかどうかは判断が難しいです。と、言うのも私の場合は誰にも気付かれず鑑定出来ますので」
なんと恐ろしい能力だろうか?
「因みにですが、もしやその鑑定でスリーサイズや趣味趣向などは」
「分かりません」
私の問い掛けにキリさんは珍しく顔を赤くして抗議する。
「そうですか。それは良かった」
別に、私に変な趣味趣向がある訳ではないけど、出会ったお偉いさんが変な趣味趣向の持ち主だった場合、鑑定する側が大変な思いをするとおもうんだよね。
けど、考えようによると、とても便利な能力だと思うんだよね。
羨ましそうにキリさんを見ていると
「鑑定自体は習得可能スキルですので、エトラ様も習得出来ますよ」
とキリさんが私を励ましてくれる。
「ありがとうございます。レベル上げ頑張ってスキル習得しますね」
よし、頑張るぞ。
「では、手始めにギルドで依頼を受けましょう。ギルドの冒険者ランクを上げるには採取や作業依頼のような魔獣討伐以外の依頼と魔獣討伐や魔獣の素材集めなのど魔獣討伐系の依頼に分かれて、どちらも決まったポイントを稼いでランクアップを目指すのが一般的です」
「なるほど、因みに一般的でないランクアップとは?」
何か裏技が?と目を輝かせてキリさんを見る。
「高ランクの討伐依頼を成功させると、異例でランクアップする事があります。けど、結構な荒仕事になりますのでお勧めはしません」
キリさんはそう言うと何処か遠い目になった。
「知り合いのS級冒険者に結構荒事が好きなヤツがいましてね。今ある子供を預かって、相当無理なレベル上げをしているらしいのですが、ちょっとお仕置きも兼ねて意地悪モードに入っているらしいんですよね」
「はぁ、そうなんですね」
キリさんが個人的な話をするなんて珍しい。
「死なない程度にはヤッていると思うんですが、何せ、その子供。上司の息子さんなので」
キリさんもタメ息を吐きながらそう話すが
「ああ、上司ですね」
相当厳しい上司なのだろう。
息子さんも災難だな。
「生きている事を願うばかりですよ」
はぁ、と再びキリさんはタメ息を吐く。
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