表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/270

試食会の前夜

さて、試食会から1日前に戻るが、新しい商品を開発したらメルさんに見せる約束をしていたので桶にいっぱいのウニとイクラの軍艦巻きを携えてメルさんの神殿に突撃していた。

お祖父様とお婆様にはヤマト島に行って来ると話して出掛けたから、帰りが明日になっても大丈夫だろう。

「メルさん、約束の新商品です。明日の試食会の前にお持ちしました」

前回はご機嫌を損ねてしまったからね。

今回は先回りして提供しようと、手土産をどっさりと用意して来たのだ。

メルさんの神殿の床に大きなクロスを敷き、その上に寿司桶を一段、二段、三段と順番に並べて行く。

今日持って来たのは特上寿司のセットになる食材達だ。

それと、私チョイスでタコとネギトロなど、色々なお寿司も持参。

寿司桶は十段にものぼり、それを所狭しと並べて行く。

勿論茶碗蒸しも味噌汁も持参済み。

どれもおかわり出来るように多めに持参している。

勿論、お手製のガリも作成済み。

「では、新しい食材二種をウニとイクラをご賞味ください」

私はそう言うと一段目の寿司桶と二段目の寿司桶に入っているウニとイクラを指し示す。

メルさんの目の前には取り皿と醤油を注いだ小皿、そして箸が置かれている。

勿論、ヤマト島の方達は箸で食事をしていたのでメルさんも箸は使えるだろう。


案の定メルさんは箸を取り、取り皿にウニとイクラの軍艦巻きを乗せる。


「作法では、ガリに醤油を付けて、ガリでネタの上に塗るように醤油をつけるんですが、今はウニとイクラを流行らせる事が重要なので、今回はハケで醤油を塗ってしまいますね」


多分、箸で食べるのも難しい人もいると思うし、寿司はまだまだ課題が多いわ。


私は用意したハケでササッとネタに醤油を塗る。


一通り醤油を塗り終わるとメルさんの方を見た。

どうやら未だにウニを箸で持ったまま固まっている様子。

やはり見た目があれに似ているからか、食べるのに勇気がいるよね。


よし、ここはと思い私も箸を取った。

そして一口でウニの軍艦巻きを口の中にほおる。


「モグモグモグ、うん上手い」

そして、イクラもパクリ。

私を見ていたメルさんもパクリと食べる。

神妙な顔で口にウニを入れたメルさんの顔が、やがて目をキラキラさせて食べている。


ゴクリと飲み込むと「上手い」と大絶賛。

すると、どこからかクロードさんとララさんがマイ箸を持って現れた。

「エトラ、何故声をかけなんだ?」

ララさんが不服そうに私に訴える。

「いつもヌシの商品を楽しみにしておるのに」

またしても頬を膨れさせ訴えるララさん。

けど、そんな事を言っている間にメルさんとクロードさんの二人がお寿司をパクパクと食べているではないか。

「あの、早くしないと無くなっちゃいますよ」

そう私が指摘した所でララさんも慌ててウニを取る。

大量に入っていたはずの寿司桶はものの数分で空になってしまった。

「これなら明日の試食会も大丈夫だろう。私が太鼓判を押そう」

三人の神様にあっという間に平らげられたお寿司。

神様の言う通りに明日の試食会は大成功だった。

お読みいただきありがとうございます。また読んでいただけたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ