25 原理
「サタン!」
やばい。今は。後ろからルイが……。サタンが声を張り上げた。
「サクリ持ちはここにいる!」
「やめろ!」
思わず彼女の口を塞いだが、遅かった。
「やっと出てきてくれましたね!」
「ござる、離れろ。私はこいつらと鏡の城に行く」
「いやいやいや! 待って!」
「『妨げる者』」
ええ~! またこのパターン……。
「では行きましょうか」
ルイがサタンの肩に手を置こうとすると、サタンはその手を振り払った。
「私に触れるな。つまらない人間」
なりきりは健在だ。サタンは二人の忍者に挟まれるようにして、入口の方に歩いて行く。俯きもせず、振り返ることもない。
そして、やがて見えなくなった。
「………」
[もう解けてますよ。『妨げる者』]
「いや、わかってるけどさ……」
なんで? 俺は、ルイの言う通りサタンに見限られたんだろうか。サタンは色んなことを諦めてしまったんだろうか。あ。ストーカーキモい的な?
「これからあいつ、どうするんだろう」
[何か奇策でもなければ、鏡の城の祭壇で殺されてゲームを終わらせるでしょう]
「もう俺はいらないのかな……」
いやいや。考えてみれば、最初から俺はあいつに必要ではなかった。ただたまたま出会ったから、俺が一人では強くなれなかったからあいつが一緒に居てくれただけだ。
「追いかけてもいいかなあ」
[あなたがサタン様に以前仰ったことを鑑みれば、追えばいいんじゃないですか]
「なんだよそのなげやりな……俺なんて言った?」
[結局、やりたいことしかできないんだから、俺はお前の側にいる。一人くらい味方が居たっていいだろう]
「あらかっこいい」
[お前を殺すのは俺を倒してからだ]
「ハハッ。そんな言い方したかな?」
[意訳です]
そうだった。一人では死なせない。
「サタンは嫌がるかもしれないけどなあ」
ズキンとさっき手裏剣でやられたところが痛む。かすり傷だったが毒が回ってきている。命の水の残りももうほんの少しだ。でもご主人様にはしもべがいなきゃな。俺は強いしもべじゃないけど……。
「行こう」
少し体が重い。でも、その時できるだけのことを。




