23 入口
地の果てというからには、端っこの方なんだろう、と思ってマップのキワを歩く。かなりの広さだ。まずキワに到達するまでに「キワってあんのか?」と何回か思う程度に歩いた。これ以上進めない見えない壁に突き当たった時は、思わずガッツポーズしてしまった。
「いやこれ。一周するとしたら……どんだけかかるんだよ」
[想像もつきませんね]
しれっと言うなよ……。もう少しヒントが本当に欲しかった。でもサタンがこれだけで行けたんだから。考えないと。
マップを開く。マップにはこのゲーム世界の大陸全体の形は表示されていない。長方形に地図がくり抜かれたような感じだ。俺の居場所を示す光点は今、底辺の左寄り3分の2くらいの位置にある。
長方形の中はフワッと四分割になっている。左上が遺跡フィールド。エネミーレベルに合わせていくつかのフィールドが用意されている。左下は森。右上が草原。右下が岩場。それぞれに街が点在する。
時のない大地の果。の、扉を開けよ……。
果て果てって二回も別な文言で言ってるんだからよほど果てなんだろうな。ハテハテ……。長方形の、四角の果て。
地面に書いてみる。「地の果」。
果。どうして、「時間なき」うんぬんの文言の時は「果て」で、「扉を開けよ」のときは「果」なんだろうか。このゲーム、その辺がおかしいんだよ。メテオレインとか言いつつ、他のスキルやコマンドは日本語。あえての日本語だよ。ややこしい。
果……。
「果」という漢字。田んぼの田に木。書き順はそうじゃないけど、見た目のつくりはそうなってる。「田」の部分は長方形に見えなくもない。フィールドの分割は「田」のそれぞれのマス目みたいだ。もしそうだとしたら……。
「まあ、物は試しだ。思いついたところからやってみよう」
ずっと見えない壁を右手側にして移動する。たまに壁に触れて、方向がずれていないか確認しながらだ。また相当歩く。疲労感というものが精神的なやつしかないゲーム世界ならではの遠距離徒歩移動。
マップを確認してみる。そろそろだ。このマップを「田」の字に見立てると、ちょうど底辺と三画目が交わるところ。底辺の中央。
ちょっと目には、何もない。見えない壁が続いているように見える。実際、手をやれば壁に触れる。
「あっ」
前を通り過ぎようとした時、ほんの少し変なものが見えた気がした。近寄って違和感を感じた部分を見る。3センチ×15センチほど、縦長に鏡がはまっている。
そっと触れる。これは、ドアノブだ。みつけた……。遠目ではわからないわけだ。こんな小さな鏡に、周囲の景色が映ってすっかり見えない壁の一部になってしまっている。
指をかけて押してみると、普通にかちゃりと開いた。
「うわ! 見つけちゃったな」
なんとなく足音を忍ばせて入ってみる。道が5つに分かれている……。あっ、「果」の「木」部分だから? すごーい……。
「……どれ?」
[どれでしょうねえ。ラビリンスですからね]
ニドお前、絶対知ってるだろ……。




