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22 追跡

 いやいやいや。ベイビー、俺は君のパーティメンバー。しかも飛天もち。君がどこにいたって……。


「『飛天』」


 マップが出る。あれだけお別れ感満載でふられて(二回目)性懲りもなくストーキングするのも我ながらどうかと思うが、ほかにやることもないし。


「んんん?」


 光点がない。


「えあっ」


 殺されちまったのか? でもそれならクリアでログアウトしそうなもんだ。


「おいニド、壊れたのか? バグってんのか?」

[どちらでもありません。マップに表示されるフィールドにはいらっしゃらないのですね]

「何それ??」


 全く意味がわからない。


「マップに表示されるフィールドにいないってことは、マップに表示されないフィールドにいるってこと?」

[……あ、はい]

「……かわいそうなやつを相手にするような返事すんなよ」

[いえいえそんな]

「そんなフィールドある?」

[ありますよ。鏡の城とか]

「あー……」


 すっかり忘れてた。鏡の城で(・・・・)いけにえを捧げないとクリアにならない感じだったんだ。


「鏡の城ってのはどこにあるんだよ?」

[やっとストーリーに沿った質問をなさるようになりましたね]

「お前な、もっと自分から喋れよ。情報を開示しろ」

[あまりでしゃばると自主性が損なわれますから]

「何目線だよ……」

[鏡の城にたどり着くには、ダンジョンを攻略する必要があります。ダンジョンにはヒントが隠されており、謎を解けば鏡の城に辿り着くことができます]

「おう。スラスラ喋るじゃねえか」

[どうも]

「それで終わりか?」

[そうですね]


 鏡の城にかかわる文言はあまり出ていない。サタンが「飛天」でも追えないところにいるらしいというのは好都合だ。他の飛天もちの忍者にも追えないんだから。この隙にダンジョンを少し回って文言を集めよう。


 それにしてもサタンはどうやって鏡の城に行けたんだ?


 整理してみよう(二回目)。今までゲットしたヒントは次のとおり。


① いけにえを持つものを祭壇に捧げよ、さすれば滅ぼす者は封印されるだろう


②滅ぼす者を退けるには 犠牲を払わねばならぬ


③滅ぼす者は決して割れぬ鏡の城にいる


④ 祭壇に生贄を捧げれば『滅ぼす者』が姿を表す


⑤犠牲者の死肉によって滅ぼす者は眠りにつく


⑥ 地の果の扉を開けよ


 ③にしか鏡の城の話は出てなくて、場所のヒントは⑥だけだ。


「厳しいッ」

[がんばってください]


 一人でいくつかのダンジョンに入ってみる。文言はあまり種類がないらしく、被りもある。やっと新しいのを見つけた。


 時無き大地の果てに鏡の城は立つ


「わー! 抽象的ィー」

[ヒントですからね。直球で書いてあったらヒントじゃないですから]

「もう一個くらいなんかないかなぁ」

[サタン様はどうしてわかったのでしょうね]


 そうなんだよな。サタンだって俺と同じヒントしか持ってなかったはずだ。⑥のヒントだけで……。


「時なき大地って何か思いつかないか?」


 ぱっとニドを振り返ると、ニドが進化していた。


「うわっ!」

[どうしました]

「お前また、でかくなって……」


 20センチくらいのカゲロウみたいだったニドは、50センチくらいのよくわからないものになっていた。翼の生えた卵……みたいな。卵部分は10センチにも満たない。羽の部分がデカい。


[先程私もレベル38になりましたので]

「ええ……。おめでとう」

[ありがとうございます]

「ほかのやつのインフォマ、こんなでかくなくない?」

[所有者の敏捷が二度の進化のタイミングで最も高い場合にのみこの姿になるんです。つまりずっと忍者だった人専用の形態です]

「あ、そう……」


 なんだっけ。「時なき大地」の話だ。あと「地の果」か。


 ステータスを開く。このゲームに入ってからもう少しで二週間というところ。午後8時を示している。でもマップもフィールドも、実時間に合わせてグラフィックが変わるわけではない。


「どこもこのゲームの中では時間の影響なんかないだろ。実時間は関係ないのか」

[実時間というのが何かは知りませんが、時間の影響はありますよ。フィールドは時間によって変化します]

「フィールドは?」

[気付いてなかったんですか]

「あれか? ずっと同じフィールドにいると3時間くらいで日が登ったり暮れたり……」

[そうですね]

「なるほど! わかった!」


 フィールドではこのゲームの世界での時間が流れる。でもマップではいつも昼も夜もない。どんな時も同じ、夜明けとも夕暮れともつかないグラフィック……。


「鏡の城はマップ上にあるわけだ!」

[まあ、どのフィールドもマップ上にはあるんですけど]





 







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