21 決裂
誰かがピュグマリオンを倒してくれたらしい。あれを倒せるくらい強いやつがいるのは残念だが、お陰で命拾いをした。こっそりサタンとマップに出てさっきのフィールドを見てみると、12と出ている。半分くらいがどこか別なフィールドに行ったか、死んでしまったのか。
「いやー、まじでやばかったなー。レベルアップ寸前で助かったわ。でも『飛天』もちを見つけたな、たぶん。……つーか」
正直、俺一人じゃ思った通り話にならない。あいつは対人慣れしてる感じがする。
「まあいいや。次の作戦を練ろう」
「………いやだ」
いやだ?
「もういやだ……。こんなのは私が思っていたことじゃない……」
「まあな。ストーリースキル持ちとか急に言われてもなあ。寄ってたかってはひでえよな」
「違う! 私は……一人で戦うつもりだった! こんなの遊びのつもりだった……。人間なんて……死ねばいいと思った……」
「??」
「お前なんか嫌いだ!」
がーん……。急に? 「好きぃ! 抱いて!」とまではいかないまでも、それなりに好かれてると思ってたんですが……。
「お前のせいで計画が全部狂った! こんなのちっとも面白くない!」
ががーん! 泣きそう。30過ぎてあれだけど心が痛いぃ。
「ごめん、ちょっとわからないんだけど、俺なんかした?」
「…………」
サタンの目からぼろぼろと涙が溢れた。
「ごめん。土の中に居させたのが嫌だったかな。他に思いつかなくてさ。このゲーム、建物はハリボテだからさあ」
「………」
「苦しかったよな。もうちょっとましな隠れるとこ考えよう」
サタンは泣き濡れた目で俺を見上げた。こうして見ると本当にかわいい女の子だった。胸はないけど。そしてつぶやいた。
「『妨げる者』」
体が瞬間的に固まる。指の一本動かせない。なんで? この雰囲気で? あーやだ。これあれじゃねーか?
「さよなら」
ほら! デジャブ……。
サタンが一歩後退った。俺の目を見たまま。もう一歩。そして……。
涙を堪えるみたいに唇を噛んでさっと身を翻し、走ってどこかのフィールドに消えた。
うそだろぉ~………。




