11 ダンジョン
「本当に何も居ないな」
意外と通路が整備されていて歩きやすい。ダンジョンの中には点々と松明が灯されて、暗くて見えないと言うこともない。誰がこれ点けて回ってんだよ。なんの抵抗もなく、つるつると奥まで歩くことができた。奥には青く輝く石碑があった。
「おー! ラ◯ュタみたいだなあ」
文字が彫られている。日本語だ。違和感半端ない。国内向けゲーム……。
滅ぼす者を退けるには 犠牲を払わねばならぬ
なんかすげーあったりまえのことが書いてある。これ要るか? 「せやろな」という感じ。でもわかった。ダンジョンの中のこういう石碑にクリアのヒントが書かれているんだ。齊藤たちは知っているのか、いないのか。
どん詰まりなのを確認して来た道を戻ることにする。サタンは黙ってついて来ていた。大丈夫かな?
「ござる、怪我しただろう。大丈夫だったか?」
「お前は大丈夫だったのか」
「うん、お前が温泉を通ってくれたからな」
ちょっと着物の前を下げてみる。鎖帷子まで切られたが、衣装はすべて直ってしまった。ただ皮膚にうっすらと傷跡が残っている。温泉に治りきるまで入っているわけにはいかなかったからだろう。
「なんで急に齊藤たちはあんなことをしたんだろうなあ?」
「さあな」
「お」
来た時には見えなかった岩の裏側に、ドロップアイテムが残っている。誰かが俺たちの前にこのダンジョンを攻略して、エネミーを倒したと見えた。
「取れるかな?」
[それは取れますよ]
「そういやニド、お前にも助けられたなあ。まさに身を挺してって感じだった。ありがとよ」
[どういたしまして]
ドロップアイテムを漁ると、また「飛天の書」が出てきた。使い方はわからない。手裏剣もあった。おどろおどろしい蛍光黄緑に光ってるやつだ。
[毒付きの手裏剣です。良かったですね]
「ええー。エネミーに効くのかな?」
[蜘蛛などもともと毒のあるエネミーには効きません]
なんだかやっぱり装備については忍者優遇だなと思う。エネミーにそんなに有効ではないけど。弱職だからか? サタンにも何かないかと思ったが、他の職のものは装備品からしてない。
「悪いな、いつも俺のばっかりで」
「いや」
ダンジョンか。クリアについては少し俺たちも考えておかないといけない。本当にクリアしないと出られないなら、そして齊藤たちの見込み通り、「命の水」のゲージが尽きたら死ぬのなら、尽きる前にクリアしなければならないのだ。
「俺たちもダンジョン行ってみるか?」
「こんな風に誰かがクリアした後ならいいな」
「いや、お前の装備もあるしさ……でもお前、素手だよなあ。あって防具かな」
もう一度サタンを見る。防具……にしろ付けるところがない気がする……。グローブとブーツくらいか? 指輪とかアクセサリーで行動が速くなったりしないものか。
「じろじろ見るな」
「ごめんごめん」
ダンジョンを抜けてマップを見ると、もうダンジョンはなくなっていた。本当に短い時間しか出ないようだ。また出るのを待たないといけない。
「俺たちも少し情報を集めないとな」
俺の命の水は七割ほどになっていた。まあこれが本当に実際の命に直結しているのかはわからない。おそらく誰にもわからないに違いない。




