PR 畦道 作者: 汐 掲載日:2022/01/19 夜風に揺れるススキは月の光を受けて、黄土色の波を田んぼに浮かせていた。 街灯の無い田畑で唯一の光源に照らされる集落の様子は昼間には見せない顔を覗かせていた。冷たく美麗な横顔は飾り気のない質素な美しさだった。 そんな畦道に現れる淡く温かい光。 その光の中に浮かんだ人影は徐々に田畑を進み始めた。ゆっくりゆっくりと水面に歩を進める。田に建つ波紋は端までとどき、また光の下まで帰ってくる。 光の過ぎた後に残された穂は頭を垂れ、蛙は両手を合わせた。