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シュヴァリエ・デオン伝 決闘
物価の高いロンドンで追い詰められる経済危機打破のため、デオンはロンドン中のチェス道場を荒らし廻り、賭け金を稼いでいた。
デオンはフェンシング勝負としてロンドン最強の剣士騎士サン=ジョルジュとの挑戦を思いついた。
衆人環視でのロンドン1の剣豪と女剣士という対決は、ロンドン中の話題となった。
1789年4月、高位高官を従えたウェールズ公臨席のもと、御用邸カールトンハウスで行われた。
シュヴァリエ・デオンは、黒い絹のドレスと時代がかったブラウスを身につけ、頭にはバラの羽飾りのついた縁なし帽をかぶっていた。
60歳に近いデオンは腰に絡みつく3重のスカートに悩まされながらも、20歳年下の剣士を7回も突き刺した。
不敗を誇っていた剣豪は苦痛の叫びをあげた。
デオンは425ポンドの賞金を手に入れ、ウェールズ公から縄編み文様彫りの拳銃を下賜された。
翌日、ロンドンのあらゆる新聞がこの快挙を報道した。