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シュヴァリエ・デオン伝 ロンドンのデオン
1784年11月9日のヨーロッパ通信紙上で、デオンのロンドン時代の家主ラウテムは「シュヴァリエ・デオンの蔵書ならびに機密書類一切を次回の競売にかける」という告知をしてきた。
1785年11月17日。デオンがヴェルジェンヌから付与された清算金6000リーヴルを持ってロンドンへ着いた。
デオンは自分のための小さなアパルトマンを用意してくれた家主ラウテム宅に寄宿した。
交渉が好転して家具や8000冊に及ぶ蔵書の売却をされずに済んだ。
ロンドンのデオンは好奇の目にさらされたが、宮廷からも一般市民から歓迎された。
ロンドン在住のフランス人たちからも、デオンは好意的に迎えられた。
大使はしばしばデオンを晩餐に招き、豪華な四輪馬車で送り迎えをしてくれた。
貴賓たちはすべて、マドモワゼル・デオンに特別な思いやりを示した。