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イリュージョン

我が家のきいちゃん

お出かけ時間の二時間前になると

やれ何を着て行こう? 

この服にはこの靴かな・・・など

まあ、毎回大騒ぎで準備に取り掛かる。


しか~し、しょうおばちゃんはあまり服には感心がない。

おしゃれして出かける予定もない

車で出かけてササっと帰るだけなので

最近はもっぱら三着を着まわして過ごしている。


だがきいちゃんはそうはいかないようだ。

高校生の頃は制服も靴もカバンにいたるまで

校則で決められていて土曜日も学校があったので

服には感心をしめさなかったのだが大学生になって一変


まあ朝からやれ化粧だ、髪だ服だと大騒ぎだ。


そう、それを自分の部屋で一人で騒いで完結してくれれば

こちらとしても何も文句はない、


「きいちゃん、ママを巻き込まないで・・・何を着ても可愛いよ」


娘ラブの親ばかしょうおばちゃんからしたら本気でそう思うのだ。

きいちゃんはそれでは納得がいかないようで、


いつの間にか一階の和室の角に突っ張り棒をして

自分の服やスカートやズボンなどをかけるようなっている。


そうして、姿鏡の前で衣装替えをして

これどう? などと

隣のリビングでテレビをみてくつろでいる私に聞いてくるのだ。

適当に答えると不機嫌になる


さすがのしょうおばちゃんも毎日続くとうんざりしてくる

ある日のことだ


「ママ! 昨日ここにかけてあった白のロングスカート知らない?」


と言うのである。

さもママがどこかに片づけたんでしょう!

早く出してよ! 

と疑っている口調だ。


「はあ…しらないよ~ 触られたくなかったら自分の部屋に置くかきちんとかけておきなさいよ」

と反論するが明らかに不満顔だ。


頬をパンパンに膨らませてスカートをつっている場所を探している。

どうやら見つけられないようだ。


しか~し、母は知っている。

きいちゃんは慎重派なのだが少しおっちょこちょいな所もある。

そこがまた可愛い所なのだが…いつも同じパターンなのだ。


私は重い腰を上げて立ち上がり

昨日かけてあったという場所をゆっくり確認していく

「これのこと?」


するとすぐにお目当てのスカートを発見。

そうスカートはずっとそこにあるのにきいちゃんが気付かないだけなのだ。


しかしきいちゃんはパ~と笑顔になって近づいてくる。


「ママすご~い、そこさっき見た時にはなかったのに、イリュージョンみた~い」

と急に笑顔になるきいちゃん。そういつものことなのだ。

どういたしましてといいながら再びリビングに戻る私。


そう、我が家では時折起きる怪事件なのだ。

その名も

「さっきそこ探した時にはなかったのに」

事件簿である。


それはきいちゃんだけでなく

いっちゃんもしかりで

いつものことだから別段驚きもしない。


そういう私も時々探し物が見つからない時がある。

そんな時は探すのを中止する。

だって探してない時に探しても

その時に見つかる確率が我が家では低いからだ。

どうしても入用な時は家にいる家族を巻き込んで大捜索をするのだ。


もしかしたら

この家にはいたずら好きの妖精が居ついているのかもしれないな。

今日も我が家ではあれがな~いの声が響いている。



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