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学園奉仕活動―活ー  作者: k.Dameo
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乙女の丸ティ盗難 THE 5




ーーー鬼我島学園控え室棟前。




「はぁ……それでなんか」


「そう、みたいだよ。3回は死んだって百太郎くん言ってたよ」


「まあ、そうやろな……。たまに、全く空気読まん所あるからなあいつ」


「女の子が被害に遭ってる時の女の子達の団結ってほんと凄いからね……」


男は女が被害遭ったとき、女は女が被害遭ったとき……そう考えると男ってなんやろって思うな。


「でもさ、それなら、なんであいつ今居らんの? つうか、どこ居るん? サボってる?」


「いや、サボり……ではないんじゃないかな。多分」


「多分て。自信ないんやん。やっぱサボりやろ」


「いや、そういう訳じゃないけど……いや、まあ、百太郎くんに至ってはほんと自信はないんだけど……。多分、予定通りなら、演劇部の練習観てる筈だよ」


演劇の練習観てる? あいつが?


「やっぱ、サボりやん。なんで、泥棒捕まえんのに練習見とんねん、あいつ」


連れ戻したる。そう思って、身体の向きを変えようとすると、ロピアンが肩を掴んでくる。


「いやっ、違うっ。違うんだよ、ゴリラ君っ」


「違う? 違うって何が違うん? ―――つうか、ゴリラ君って言うな。それも違うからなっ」


「ああ、すまないっ。なんか、僕も癖になってて、その、ごめんなさい……」


「いや、まあ、そこまで頭下げんでもええねんけどさ……。つうか、違うってなにが違うん?」


「それは、その、少し話を戻すけど……百太郎君は、絶対にないんだけど、有馬先生のせいで恋ちゃんや中島さんや由加ちゃんに下着泥棒疑惑を持たれてた訳だからさ……」


まだ、完全に疑惑が晴れた訳じゃないので、とりあえず1回目である今回の見回りは保留。

でも、誰の目も届かない所に居るのも駄目ってことで、布丸を監視に付けた状態で演劇部の練習を観てるいうことらしい。


「難儀なもんやな、それも」


「そうだよね、ほんと……。ま、まあ、明日からは多分、百太郎君と布丸君も参加できるし、寝子君も手が空くって言ってたし、人数は多くなるよ」


「なんや、あのキノコの二人とかも来る言うとったな。一気にむっちゃ増えるやん」


「そうだね。人手は多い方がいいしね。捕まえれなくても、抑止力になればそれはそれでいいと思う」


「そうやな。……まあ、今日はアリス等が騒ぎまくっとるし、多分ないやろうから、角まで行ったら戻ろうや。疲れたわもう」


「……だね。もう30分以上は歩いてるしね……。まだ一周どころか、半周もしてないなんて……ね」



長すぎるわ……控え室棟。絶対、150室やない。

確実にもっとあるぞこれ……あほちゃうか、ほんま……。



練習観てるだけの百太郎が単純に羨ましいわ、ほんま……。



























ーーー鬼我島学園控え室棟内部。



「ドボロウ、イェェ、ニェガァー!」


上階から恋の声が聞こえる。……あやつはふざけてるのだろうか……。

叫ぶ度に言葉がどんどん変わっていき、最早、原型がわからなくなっている。


「はぁ…………」


まあ、恋の事を考えても結局、わからないといった答えに毎度たどり着くので、考えるのは止す。


「ここは……54部屋目、か……いや、56だったか……」


わからないが、まあ、何度目かのどこぞの控え室に静かに足を踏み入れる。


「なにもなし、か……」


これも恐らく何度目かになるが口にしている。


「ふぅ…………」


下着泥棒の捜索とはいっても、肝心の演劇部の控え室を見失ったのが失敗だったか……。

部屋自体は女子の控え室棟であり、女子生徒であれば、皆、カードキーで開けることはできるので入ることは容易い。

だが、肝心の部屋が、事件以降、部屋を記した名札はどこも取り外してるが故、入ってみるまではわからん。


「ぅ~ん……」


それに、初めは私も少しばかりノリノリで探していたこともあり、今さら『演劇部の控え室どこ?』なんて、聞くのも少し恥ずかしい……。


恋には茶化されるであろうし、かといって、今や同じ奉仕活動部の仲間となり前ほど嫌いという訳ではない今でも、中島に聞くというのは私の内なる何かが許さない。


となれば、悟られまいと涼しい顔で探し、上階、下階の二人には、部屋は知ってるけど付近を調べている風を装うしかないわけだが……。


『ガッ……アロマ姐さん。アロマ姐さんどうぞ~』


む、無線きたっ……。


「う、うむ……。どうぞ」


『ガッ……演劇部の控え室はどうでしたか? もう見てますよね?』


え、知らん。というか、私はもう見ているのかっ?


「う、うむ……演劇部の控え室は……」


まあ、50部屋以上は見てるし、どれかがそうだったんだろうが……単純にわからんな。


『ガッ……え? なんて言いました? 途中で切れたので、もう一回お願いします』


いや、切れたんじゃなくて、切ったんだ……。


「あぁ……どうしよう。なにを言うべきか……」


『ガガッ……アロマ姐さん。アロマ姐さんどうぞ~』


「…………」



“プポッ”



「ふむ……ここを押せば電源が切れるんだな」



そして、ここを外せば……。



「ふむ。これがバッテリーだな。よしっ」



すまんな、恋っ……!













ーーー鬼我島学園控え室棟前。



「ぃぃいったぁっ!!」



「ど、どうしたんだい!? ゴリラ君っ!」


「ぃいった、痛っ。まじで、痛い、なんなんっ?」


「ん? あれ、なにか黒い物が落ちてるよ?」


「いったいわぁ……あぁ、これ? ほんま、急に肩に落ちてくるとかなんやねん……」


掴みあげてみると、なんか見たことあるような物や……黒いプラスチックの背面にニッケルとかなんや色々書いてる……。


「これ、バッテリーちゃうん!」


「バッテリー? なんのだい?」


「絶対そうや! わからんけどなんかの! 小さい機械のなんかのバッテリーや!」


なんでこんなもんが落ちてくんねん。ていうか、誰が落としてん。危ないし腹立つわっ。



「あーもういやや。戻ろう」


「そうだね。一応保健室で診てもらった方が良さそうだしね」


ロピアンと共に来た道を引き返そうと身体の向きを変えた時、丁度、控え室棟の中央入り口の扉が開くのが見えた。





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