声
記憶に残る、貴方の声は、ずいぶん、遠い。
最後に聞いた言葉はなんだったかな。
ああ、またねだった。
またねは訪れることなく、ずいぶん時が過ぎてしまった。
記憶に残る、貴方の声は、確かに私の頭の中に残っているけれど。
耳元でささやいていたあの頃の声とは違って、遠すぎる。
脳裏に浮かぶ貴方の姿と、貴方の声。
私の中にある記憶が、とても、とても遠い。
記憶に残る、貴方の声は、とても優しかった。
いつだって私を癒してくれた。
いつだって私に力をくれた。
いつだって私と共にあった。
記憶に残る、貴方の声が、私に呼びかける。
まーだだよ。
記憶に残る、貴方の声は、私を呼んでいない。
まーだだよ。
記憶に残る、貴方の声を、私は夢で聞いた。
まーだだよ。
そろそろ、だめかなあ?
そろそろ、会いたいよ?
そろそろ、いいよね?
まーだだよ。
記憶に残る、貴方の声を思い浮かべながら、つぶやいてみる。
「もう、いいかい?」
まーだだよ?
記憶に残る、貴方の声が、私に聞こえた、気が、した。