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1章《そして異世界へ》 4

今日は2回投稿出来そうです。

よかったら見てください

「ではどうするか、もうこの後から始めてもいいがまずは身体強化か――」


 ゼトスさんが続きを言う前にぐぅーーと海翔のお腹がなった。

 そういえばこの世界に来てからは何も口にしていなかったな。だがあまりにも失礼なタイミングではないか、せっかく説明と特訓のメニューを考えてくれているところを空腹の腹の音で邪魔するなど。


「ふふ、腹は生きている限り減るからな。なに恥ずかしがるな、今朝ごはんを作るからしばらく待ってくれ。料理も得意な方だ」


「あ、ありがとうございます…」


 消え入りそうな声で礼を言う。


 そして10分ほど経って出てきたのは茶色ぽくこんがりと焼けたパンのようなそれと薄く切られたベーコン?と野菜の炒め物、さらに琥珀色のスープであった。

 あの短時間にこれだけ立派に作れるのはすごいと思いながらスープを口に運ぶ。味は鶏ガラベースのコンソメスープだろうか、だが化学調味料で作るよりしっかりとした味を感じた。ベーコンと野菜の炒め物は味が濃いめで食欲をそそる。それと一緒にパンを食べると、やはり白米が恋しくなるのは日本人の性だろうか…


「いい食べっぷりだ。見ているといい気分だな、作ったものを美味しそうに食べてもらえるのは」


「ほんとに美味しいですからね。あ、ちなみに元いた世界にも同じようなのがあって――」


 と話し始めるとものすごい食い付いてきた。

 さっきと言い本当に興味津々なようで少し笑ってしまったが、とりあえず今回のご飯にでてきたものについて軽く触れる程度を教えた。



「つい食べすぎた…」


「ははは、こちらとしては嬉しい限りだよ。まー少し休憩したら始めようか。やるにしてもその服は不向きだな、動きやすい服を持ってくる」


 と言われ持ってこられたのは、なんというか…The冒険者のような服だった。

 布や革などが使われゼトスさんとは違い街とかに出て買い物に行くのもこれだと違和感はないだろうと思えるもの、それでいて軽く運動に適したものだった。


「それを着て裏に来い。まずは許容測定からだな」


 何でも人は生まれつき魔素を取り込める量が決まっているらしい。というのもこの世界では魔法を使うために魔素を自分の体から生み出すのではなく、外から取り入れ自分用に練り変えて魔法を行使すると考えられているそうだ。

 なんかすごく回りくどいことをしているが自分の体で生み出せないなら仕方が無い。


 渡された冒険者のような服を着て――元の服は海翔が起きた場所を部屋として使っていいと言われたのでそこに置いて――裏口がわからなかったので玄関らしきところから出て裏に回った。ちなみにこの家では土足で暮らすようだ。


 そこには部屋着としてきていためのではなく海翔と同じく冒険者のような、だが質は高そうだなと思える服を着てゼトスさんが待っていた。


「来たか、では測定をするが…、まず魔素については教えておこうか」


「そうですね、魔法と魔術を使うために必要ってことは知ってるんですけどそれ以外無知なので教えて貰えると…」


「あぁ、ではそうしよう。

 まず魔素は知っての通り魔法・魔術を行使する上での対価、または原料と言ってもいいかもしれんな。それを取り込み自分の思い通りの魔法にして放つ訳だが、ある一定時間内に取り込める魔素の総量は人それぞれ違う。それは生まれた時に決まっているのだからしょうがないと割り切るしかないことだ。

 基本その総量に達する魔素を扱うとそれ以降は使えなくなる。

 もし無理に使おうとすれば、体験したように気絶…ほとんどないがそれに抗い使うと最悪は死ぬ。身体が限界なのに無理に駆動させようとしたのだから仕方がない」


(僕があそこで倒れたのは魔法を使って許容量を一気に超えたのか……、まてよ?あの2回の魔法で許容を迎えたってことはめちゃくちゃしょぼいんじゃ………)


「それと魔法の威力についてだがこれは努力に比例するものだ。つまり許容総量が少なかったから、と言って諦めるかでは威力の方をあげれるように努力するかの2択ができるわけだな。

 これは魔法魔術両方に関係するが呼び方としては魔法純度という」


 総量が低いからと言って何もすることがないということは無いらしい。その純度を上げれば総量が上の相手も越すことが出来ると、そういうことだそうだ。

 ただしその純度を高める方法は人により違うものだと言うのが難しいところで、同じ属性でも例えば海翔の水でもとても気にいられている者と普通の者とを比べると最初からできる事の幅が違う。

 普通の者がやって純度が上がった方法をとっても気に入られた方は全く変化が無いということがほとんどだそうだ。

 つまり試行錯誤し自ら方法を見つけなければならないということ、それは途方もない作業でもあるということだ。事実諦める人も多くいるらしい。


「と、魔素についてはこのような感じだな。とりあえず計ってみないことには始まらん、これを右手にこっちを左手に持て」


 と言われ持たされたものは、左手側がよく化学の実験などで使われる漏斗を木で作ったような、でも液体を容器に注ぐための細い先は閉じられていた。

 右手側にはガラスで作られているように透明で中の空洞な砂時計を大きくしたような物。手のひらで中間の細くなっているところを握っても少し余るくらいの大きさで重さもあるが片手で持ち上げられないほどでは無い。


「これは……?」


「簡単に言えば左が魔素を集め体に流し込むもの、右がその流れ込んだ魔素を集め量を測定するもの、だな。この装置でぶっ倒れることは無いから安心しろ」


 するとゼトスさんが手を漏斗の口の広い方に被せた。

 変化があったのは砂時計のような測定器。緑っぽい薄く光るものが溜まってきている。それが徐々に増えていくと半分を少し過ぎたところで止まった。

 多分これが海翔の許容量なのだろうと思っていると


「よし、止まっ…っ!」


 止まったと言いかけたのだろう。だがもう一度測定器を見てみるとまた進み始めていた。


 そして光るものが機械いっぱいに溜まるとまた下から、しかし今度の溜まっていく色は青っぽい物が溜まり始めた。

 そしてまたさっきと同じようなところで止まった。が、ゼトスさんは口を開くことなく黙って測定器を見ている。そして―また動き始めた。


 この出来事があと2回続き結局溜まったのは薄紫色の物で3周と3分の2程だった。

(この結果大丈夫なのかな…、どこが上限か分からないし)

 ゼトスさんは黙って右手の測定器を睨んでいた。


「ゼ、ゼトス…さん?あの…そんなに悪いですか?」


 終わってから何も答えることなく黙っていたので言えないほどに悪いと思ったのだろう。だがハッとしてこちらに顔を向けたゼトスさんが言ったことは―


「酷いなんてもんじゃない」


(あぁ、ですよね)


「多すぎるのが問題なのだ。

 通常は多くても2周で止まる。この機械も一応のため4周の紫まで作ってはいるがそこまで満たせる者を想定した訳では無い」


「え?てことは許容量が少なくて魔法が使えないとかは……」


「あってたまるか!カイトが使えん魔法などこの世界の誰も使えんと言えるぞ」


 しっかりと言い切られた。

 どうやらゼトスさんにそこまで言わせるほどの許容量を持っているらしい。しかも通常多くて2周のところの1.5倍以上の量を持っていることになる。

(もしかしてこれって結構チートな部類なんじゃ…)


「どういう訳か知らんがカイト、お前は少し常識から外れているのかもしれんな?私でも2周回るか回らないかのところだ。単純同威力の魔法を打ち合えばお前に負けると言うことだ」


 なるほど普通におかしい。元の世界のしかも総量が多い人に打ち合いで勝てるなど。


「これは鍛えがいがあるというものだな。この歳にもなっても興奮はするものだな、ふふ…」


 なにかつけてはいけないものに火をつけてしまったような感じがするが気のせいだと思い込み―


「え、えと、今日からもうやりますか?」


 なにせ魔法を使うための訓練だ。海翔自身も胸が高鳴っている。実際使えるのは1年後だがそれでも魔術は使えると言われていたので早く始めたい気持ちが溢れていた。


「もちろんやるとも。だが、気を引き締めておけよ、普通10数年かけて魔法と魔術を使える身体を作るところをあわや1年と少しでやろと言うのだがらな。

 これほどの密度の訓練をこの世界でするのはお前が初めてかもな。まぁ、根本的に足りないから魔法習得後も少し継続することになるだろうが」


「10数年を1年ちょっとで…」


 単純に10倍の密度でやるということだろう。


 高校での体育の成績は万年3。良くも悪くもなく筋力も普通、くらいにはついている。がそれがどこまでゼトスさんの訓練で信用できるかは別問題だ。

(今更だけどめちゃくちゃなこと言われてる気がするな…、生きて魔法使えるようになるかな?)

 などと心配していたが事実死にそうになった。初日から。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

今日の夜の投稿話もお時間が合えば夜見に来て貰えると嬉しいです


感想レビューなどお待ちしております。


ではまた夜に…

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