表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/22

1章《そして異世界へ》 3

昨日遅かったから今日少し早め

と言ってもほんの少しだけど…


異人(いと)って確か…)

 エーギルも海翔の事をそう読んでいたのを思い出した。その時はその意味を聞こうなどと頭は回っていなかったが今また言わてみるとどうやらこちらの世界の言葉らしい。


「異人ってなんですか?」


「異人は次元を飛んで来た者の総称だ。広く知られてる訳では無いがそのような者がいるというのは聞いたことがある」


 どうやら次元と言ってもこちらの世界の海の向こう側にある大陸から何らかの作用があり落ちてくる、というのがゼトスさんの言う異人らしい。


 それこそ100年単位で起きるか起きないかというようなものらしいがそれをなぜまたまた知っていたのかと言うと――


「私はダークエルフ種だ。初めて見るかな?」


 元いた世界の知識では1番わかりやすいところで言うと耳が長いという特徴がなかった。そこまで同じではないようだ。


 ゼトスさんによるとエルフ種は白髪にならないという体質?らしきものを全員持っているらしい。

 それに対してダークエルフ種は寿命と魔法・魔素の扱いなどを除けば人と同じ、と言ってもそこまで来たら白髪になるエルフ種と言ってもいいような違いしかないそうだ。


「ということはここはエルフ種の住む場所ですか?」


「いや、あそこは合わない。だからこうして辺境の地で暮らしている」


 どうやらここは辺境の地らしい。


「ところでなんだが、カイト、お前の加護を見せてもらいたいんだが構わぬか?」


「加護って見れるんですか?てっきり魔法を使える14歳になった時に分かるものだと」


「普通はそれまで加護があるかどうかなど分からんのが一つの理由だ。

 だが稀に加護を貰った者に命の危機が迫ると神界から加護を与えた神が受けた者を経由して魔法を行使することがある。その時はいくつかある手段で見ることが出来る」


 つまり持っているかも分からないもののために費用を払って見る価値があるかどうかなのだということだ。


 ほとんどの人が持たないもの、もし貰えたならそや実力は魔法を扱える前から折り紙付きとなるがそれが分かるのは魔法を使えるようになってからでも遅くない。


「見れるなら僕も見てみたいです。お願いしてもいいですか?」


「あぁもちろんだ。そう言ってくれて助かる。では手を出してくれるか?体に触れていないといけないのでな」


 僕が差し出した手を握り、握手のような形をとると小さな声で何かを唱え始めた。エーギルさんも言っていたし必要なものなのだろうと黙って待つことにする。


 少し経つと変化があった。


 ゼトスさんの額に何やら丸い目のような模様が浮かび上がり握っている手はどこからともなく現れた水球に包まれた。

 最後にその水球が弾け、海翔は自分の中から何かがスっと流れるような感覚を覚えた。


「これは……、この特性もなんだと言うのだ…」


 微かに聞こえた。なにか特別悪いものでもあったのだろうか。ゼトスさんは手を離すと目を閉じ考え込んでしまった。



 10分程経っただろうか。未だ考えているゼトスさんに


「あの…なにか変なものが?」


 と聞いてみた。反応からするにいいものでは無いだろうと覚悟して聞いたのだが…


「あぁ、すまない。思っていたのと違ってな。

 結論から言おう、どちらかと言うと呪いのようなものだ。それと特性もあったのだがなんというか…」


 と言っておもむろに置いてあった紙を取りスラスラと何かを書いていく。それを渡され海翔は目を通した。


「【堕神の呪子】に【鈍化】?なんだこりゃ」


 素直な感想だった。加護と思っていたものを見てみれば呪子ときてさらにそれはただの神ではなく堕神だという。

 つまりアーギルさんは神でさらに堕落している?深く考えそうになるので一旦区切り、【鈍化】に関してはもう悪意しか感じられない。アーギルさんは確かに武器になると言った。があまりに形が予想を裏切ってきた。

 特性にわざわざ入れなくてもいいだろうと言ってやりたい。と考えていてふと気づいた。

(あれ?今なんでこの文字読めた?この世界の言葉知らないはずだよな…、アーギルさんがそこまで配慮してくれたのかな)

 突然渡され普通に読めた事への違和感があったがアーギルさんが何らかの魔法をかけてくれたのだということにしておく。


「えぇーっと…どんな効果があるんですかね」


「全てを見れる訳では無いから見えた部分だけ言うとだーー」


 見えた内容は【堕神の呪子】の方が、属性を1つしか扱えなくなる。この世界ではどうやら右と左で2つの属性を扱えるらしい。


 右と左というのは、それぞれ身体の右半身と左半身に別々の魔素を扱う機関があり…などと途中から難しい話になり理解が追いつかなくなってしまった。


 目の前にいるアーギルさんも風と水の2つを使えるらしい、それが僕は1つしか扱えないということになる。圧倒的な手数不足と戦術の幅が狭くなるというデメリットしかない。


 次に【鈍化】に関してはほぼ分からないようなものらしい、がわかる事として無素機質の速度を遅くする、というものらしい。こればかりは試さないと分からないと思った。


 ちなみに無素機質というのは元の世界で言う無機質と似たようなもの、と理解した。

 この世界にあるものには魔法などを扱う魔素と別の種類の魔素がその物質を構築していると考えられている。

 それは例えば木で言うところの幹の中心部分から全体に送られているものであり、葉が落ちるとそれは有素から無素になる、といことらしい。


「私はこれでもお前とは比べられん程に生きてる。

 そしてエルフ・ダークエルフ種共に多くのものがそうなのだがその長い寿命故か知識欲が豊富なものが多い。

 私も例外ではなくてな、そこら辺の者よりは加護や特性、もちろん魔法についても知っているという自信はあるのだが…、これらのことは全く見た事がないな」


 正直えぇー……である。

 自らそれらの知識に自信があると言っている人が全く知らないとなるとそれほどまでに希少か、または海翔のためだけに生まれたものなのかもしれない。

(呪子はいいとして鈍化は僕用なんだろうなぁ……そんな入れて欲しい要素でもないんだけど…)


「カイト、お前は何処から来た?

 このような特性と加護…いや呪いを有する者がいるなど聞いたことも無い。出身地特有のものなのか?」


 どうやって説明をすればいいだろうか。

 違う世界から来ました、などと言って大丈夫なのか。でも…

(せっかく助けて貰っておいて嘘を突き通すのもなぁ)

 嘘は諸刃の刃だ。

 バレなければ良いがバレた時に相手からの信用は地に落ちる。ましてやまだこのように短い時間しかたっていない時にバレることなどあったら簡単に信用は消え、捨てられるかもしれない。


 そうなるのであれば――


「ゼトスさん、異世界ってあると思いますか?」


 話すことにした。

 嘘がバレて追い出されるより自分から真実を言い追い出された方がいいと、海翔自身がそう思ったから話した。



 そして少し話してみると――


「この世界以外にも多くの世界があるというのか!」


 めっちゃ食いついてきた。

 どうやら知識欲が豊富というのは本当のようだ。

 ただこの世界に来た経路の触りだけを話したのにこう簡単に信じてもらってもいいのだろうか。


「こんな突拍子のない話、信じられるんですか?僕が嘘ついてるかもとか…」


「その嘘を証明出来るものがあればな。嘘と証明出来ないのであればそれはあるものとして行動すべきだ。全て無いと否定して楽しく面白い人生などないのだよ」


 なんかすごい為になる話を聞いているような気がした。


 とりあえず次元の隙間に落ちそこから色々あってこちらに渡れたと説明した。

 嘘ではない、が全ては話せない。時が来たら話すことになるだろう、それまではエーギルさんとの約束も守れるようにとすこしはぐらかして説明した。


「とても興味深いな。

 その次元の隙間、冥境とやらに行ってみたいものだ。となるとカイトはこの世界のことは何も知らないと言うことだな?」


「そういうことになりますね…、魔法とかあと魔素とかの存在は知ってるんですけど」


「なるほどなるほど…」


 机に肘を立て両手を組みそこに額を乗せてまた考え込んでしまった。

 話すことは話した。ただ少し予想外の反応ではあったが、この後僕はどうなるのかと海翔も考えていると


「よし、提案があるのだが、どうだ?私にカイトが元いた世界の知識を提供してはくれないか?

 もちろんタダでなどとは言わん。ここに住んでもらっていい、それとこの世界で生きるのに困らなくしてやろう。

 エルフは魔法・魔素の扱いは一般的な人と比べると圧倒的に上だ。

 もちろんエルフが劣る部分もあるし、それを超える人もいるが…、それでも私はその様に簡単には超えられない自信もある。

 どうだ?悪くは無いとは思うのだが」


 願ってもいない提案、というか出来すぎてはいないかと思えるほどに魅力的なものだった。

 まだ高校生ではあったがそれなりに勉強はしてきていたし別に教えて減るようなものでもない。それを教える代わりに面倒を見てくれると言うのだ。

 それも人に教わるよりもいいであろうダークエルフから。もちろんそんな提案を断る理由はない。


「僕、何も持ってませんよ?

 お金とか…、払えるもの何も無いんですけどいいんですか?」


「何を言ってる、知識は金以上の価値だ。

 金などいくらでも作れよう。だが知識は自ら探し身につけるか持っているものから受け継ぐか、しか出来ない。知識こそが財産だよ」


 なんとも学者のようなことを言う。

 だがそれでいいと言ってくれているのだ、甘えない手はない。

 実際これを断ってできることなどなく待っているのは死だけだろう。

 ならば存分に生かさせてもらおう。


「僕の知識で良ければいくらでも!それで足りるかわかりませんが魔法を教えてください。お願いします」


「足りる足りる、お釣りが出るとも。

 もちろん承ろう。そこら辺の冒険者や上級貴族なんかより強くしてやろう」


(ん?なんか目指すところが高いような…)

 と思いつつも無事住まわせてもらう所と魔法の先生を見つけることが出来た。


 そしてその訓練に心を折られそうになるのを海翔はまだ知らない。

読んでいただきありがとうございます!

意見感想レビューなどお待ちしております!

自分で見てるとあんまり分からないので気づいたことあればどんどんお願いします



明日は出来れば昼頃とこの時間とで2回投稿できるかもしれません、楽しみにしている人がもしいらしたらぜひ見に来てください!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ