序章 1
聖熊の聖の方です。処女作なので暖かい目で見てください。感想レビューダメ出し等お待ちしております。
「えっと、、今日は帰りにスーパーに寄って2.3日分の食材買って…」
などとブツブツ言いながら車通りの多い駅に近い道を歩いている制服からして高校生らしい男子がいる。宮内海翔だ。
彼は特に特徴的な何かがある訳でもない普通の高校生、周りからはノロマとよく言われていた。当の本人はなぜだか分からずにいるのだがふと顔を上げると寄ろうとしていたスーパーを通り過ぎてだいぶ来てしまっていることに気づいた。寄らないわけにもいかないのでスーパーに向かって歩き出す。が、こういう所のことを言われているのだろう。高校での成績は中の上、友達は多くはないがいない訳では無い、どこにでもいる平凡な高校生。とても小さいことを言えば少し射的が得意なくらいだった。
母親は既に他界しており父親は自分のことにあまり関心がないように見える。最近話した内容すら覚えていないのだからお互いそれくらいの関係なのだろう。母親が闘病している間も看病やお見舞いにも滅多に来ていなかった。居なくなってしまった今では自分は邪魔なのかもしれないと考えることはよくある事だった。
約5分かけ通り過ぎたスーパーまで戻ってきた。駅に近いとあって基本スーパーで売っているものはなんでもある。買うものをメモした紙を持って着々と買い物を済ませる海翔だった。
「…失敗したな、いっきに多く買いすぎた」
と会計後ビニール袋に買ったものを入れ終わって呟いた。買い物をしてるうちにあれも少なかったな、そう言えばこれもと予定よりふえてしまったのである。買ってしまったものはしょうがないと両手にパンパンのビニール袋をもって帰ることにした。幸い家は15分も歩けば着くのでそれまでの辛抱だった。
この量を買っていなかったら着けていたかもしれない、この後に起こったことを回避出来たかもしれない。しかし起こってしまったことであった。
少し歩いたところにで信号に捕まった。車通りが多いこともあり信号が変わるまでそこそこに長い。ずっと買ったものを持っているのも疲れるので脇に置いて伸びをした。そして持ち上げようとした時買う予定出なかったもののひとつのオレンジが袋の口から後ろへ転がり落ちた。ただ見た時に美味しそうだからと買っていたもので、特になにか考えるわけでもなく拾おうとして中腰になると自分とオレンジの間になにか入ってきた。犬だった。
海翔は普通ではあったが苦手で怖いものはいくつかある、その中の一つで怖いと思うものの上位にいるのが犬だった。小さいころ野良犬に右腕を噛まれ数針縫った傷は今でもうっすら残っている。噛まれたことがトラウマとなりどんなに小さくても怖いものは怖いと基本的に近寄ることは無かった。
そんな犬が目の前にいきなり入ってきたらそれだけでも驚いて直ぐに離れたくなるだろう。ましてやいきなりこちらを向いて…
「ガウッ!」
なんて吠えられたらたまったもんじゃない。なんで吠えたかは分からない、威嚇なのかなんなのか知らないが海翔は「うわっ!」と小さく叫びながら大きく仰け反るようにバランスを崩してしまった。崩すには十分な出来事だった。中腰だったこともあり仰け反りながら後ろに飛ぶように倒れ込んでしまった。
ここまで驚く人は少ないだろう。でも、小さい頃にからのトラウマはそう簡単に消えるものでもないし傷もしっかりと残っているのだ。大袈裟に見えるかもしれないがいきなり起こったことだからしょうがない。
さて、海翔は信号に捕まっていてオレンジを拾うために信号に背を向けて中腰になっていたことになる。そして予想外の犬の登場と行動のおかげで後ろに倒れ込んだ。つまり車道に倒れ込んでしまっていた。もともと荷物を持とうとしたのは信号が変わりそうだったから、これが変わったあとなら良かったのだが、倒れ込んだ時はまだ車側の信号は黄色だった。そして運悪く来たのは大型バイクだった。
バイクの運転手からすればまだいけると思ってスピードを上げて来たのであろう。その前にいきなり人が倒れてきたらどうなるか、もちろん避けることは出来ず轢かれてしまった。
誰が悪かったのか、運転手?犬または飼い主?それとも買いすぎてしまった海翔?一つ一つは特に大きな影響を持っていなかったが全てが集まり1つの結果を作り出してしまった瞬間だった。
そして海翔にとって運命の選択を迫られる瞬間にも繋がったのであった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。もし良ければ続きも…
それと良ければ熊の方の「転生し、目指すは騎士道」も見てみてください