Act.9-139 フルレイド『大穴の果てへの参道』終盤ゾーン 十五日目 scene.2
<一人称視点・リーリエ>
「――汝、六属性の一角を担う火の精霊王よ! 今こそ契約に従い、我が下に馳せ参じ給え! 精霊召喚・イフェスティオ!」
レミュアの手の甲に赤い魔法陣のようなものが浮かび上がり、呼応するようにレミュアの目の前に灼熱の渦が生じた。
渦の中から現れたイフェスティオはすぐに武器型の精霊武装と衣装型の精霊衣装へと形態変化する。
「天壌焼き焦す聖焔の剣」
レミュアは精霊王の力を宿した『妖精剣士の彗星細剣』に更に聖属性の魔力を込めて、聖なる炎の斬撃――否、灼熱の奔流をレイドエネミーの群れへと放った。
防御力が高い付喪化した銅鏡鐸でも一撃で撃破されるレベルの高火力攻撃だから、他のレイドエネミーでは炭火確定。無数のドロップアイテムを残して次々と消滅していく。
「蒼氷の女王の尖兵」
ミーフィリアの戦法は後半戦のゾーンに入ってからも変わらない。
『氷の尖兵を作り出す魔法』、『作り出した氷を分解する魔法』、『空気中の水分と氷像の水分を凝固させる魔法』の三つからなる複合魔法――「蒼氷の女王の尖兵」を使って創り出した大量の氷の尖兵を嗾しかけてレイドエネミー達を討伐していく。
レイドエネミー達では武装闘気の防御を破れないみたいだし、覇王の霸気を纏わせた氷の尖兵の攻撃はレイドエネミーの中で最も硬い付喪化した銅鏡鐸の防御も突破できることが確認済み。今のところは大量の尖兵が一体も撃破されることなくレイドエネミー達を蹂躙していっているようだ。……まあ、仮に壊されても空気中の水分使って修復できるんだけどねぇ。
「魂魄の霸気《幻魔》! 黒狼ノ秘剣・禍風一閃」
ラルはあらゆる存在証拠を抹消する魂魄の霸気《幻魔》を使い、魔物達に悟られることなく戦場を駆け抜け、その双刀から繰り出される斬撃で次々とレイドエネミー達を駆逐していく。
本来なら《幻魔》を使えば居場所は分からなくなるんだけど、討伐した部分が線になって見えるからラルがどこにいるのかは一目瞭然。まあ、レイドエネミー達はそれに気づけないんだけど。
厄介だと感じた相手には両方の剣を鞘に戻して、敵とすれ違った瞬間に目にも止まらぬ抜刀で剣を抜き去り、剣を抜いた瞬間に膨大な闇の魔力を変化させた炎を纏わせて斬撃を浴びせた瞬間に傷口に黒い炎を留まらせて治癒を阻害しつつダメージを与えるラル独自の暗殺秘剣「黒狼ノ秘剣・禍風一閃」を放っている。
双刀よりもかつて使っていた一刀流抜刀術の方が使い慣れているから、ラルの場合は一刀流抜刀術の方が攻撃速度が速いからねぇ。まあ、双刀の方が攻撃範囲が広い分、一度により多くの敵を倒すことができるんだけど。
「殺糸戯曲」
スピネルは近距離でなければ強酸や強塩基の影響を受けないことを利用して遠距離から『万物切断千変万化-レットドラゴーンプラティナクロース-』を設置し、設置と同時に同時に武装闘気を纏った『万物切断千変万化-レットドラゴーンプラティナクロース-』が一斉に動かし、無数の糸でレイドエネミーを種類関係なしに葬っていく。一網打尽ではあるものの、死を呼ぶ汚泥と超塩基粘性体の女王と真っ向から戦うと厄介なスライム系をなるべく巻き込む形で殲滅してくれているようだねぇ。
「【機械帝神の権能】――全武装一斉掃射ッ!」
ペストーラは『浪漫武装-機械帝神-』の【機械帝神の権能】を発動し、幻想級の銃火器を装備を生贄にして全身を銃火器で武装して遠距離からレイドエネミーの群れを次々と撃破していく。
「武装闘気硬化! 黒槍突衝爆!」
チャールズは『武装変化-マスターウェポン-』を槍状に変形させると武装闘気を纏わせ、俊身と空歩を駆使して死を呼ぶ汚泥と超塩基粘性体の女王以外のレイドエネミーを狙い撃ちして撃破していく。弱いけど放置しておくと敵を呼びまくって厄介な状況になる大悪魔の召喚術師をメインで討伐してくれているようだねぇ。
「武装闘気硬化! 万物両断ッ!」
ボルトスは『万物両断-アサルトシザーズ-』に武装闘気を纏わせるとハサミを開いて構え、俊身と空歩を駆使してレイドエネミーの群れに突撃していく。こちらも死を呼ぶ汚泥と超塩基粘性体の女王は避けて敵の戦力を増やす黄金の馬の黙示騎士や大悪魔の召喚術師をメインで討伐してくれていっているようだねぇ。
「【獅子連撃】、【大地鳴動】!」
「百獣王の尾錠」を起動し、獅子の耳と腕、脚と尻尾が生えて半獣人化したカルメナが『大地鳴動-アスタディザスター-』を次々と黄金の馬の黙示騎士や召喚された黙示騎士達に叩き込んでいく。
カルメナも死を呼ぶ汚泥と超塩基粘性体の女王は避けているみたいだねぇ。コイツらは近距離戦闘を得意とする者にとっては天敵みたいな存在だから仕方がないんだけど。
白夜は「魂霊崩壊」を連続で放って次々とレイドエネミーを消滅させていく。前半と同じ戦法だねぇ。
「狐火火葬砲」
シャルティローサは「狐火火葬砲」を連発してレイドエネミー達を仕留めていく。ゾーン後半に入ってからは火力不足を感じたからか武装闘気と覇王の霸気を込めることで威力を大幅に上昇させたみたいだねぇ。
威力上昇により効率は大幅に良くなり、レイドエネミーの討伐数も増えた。……まあ、それを差し引いても多過ぎるくらいレイドエネミーが犇めいているんだけど。全然減ってないよねぇ? これ。
「獣巨人の鉄拳!」
シアは「獣化の天恵(モデル:獣の巨人)」の力で巨人化し、武装闘気と覇王の霸気を纏わせた拳で次々とレイドエネミーを駆逐していく。
「風化の天恵」を併用して発動することで風化侵食の追加効果がシアに殴られた部分に発生して、レイドエネミーの体が急速に蝕まれて死に向かう。……まあ、ほとんど一撃で仕留めているから風化侵食の効果が発生することは滅多にないんだけど。
稀にレイドエネミーの攻撃を浴びることもあるようだけど、「風化の天恵」で風に変化することで攻撃を無効化しているため被ダメージは特に無し。まあ、そもそも、レイドパーティのメンバー全員がここまで被ダメージゼロなんだけどねぇ。
「青龍の熱息砲!!」
リコリスの方は魔法少女に変身して武器に意志を宿らせる技術を使って彼岸花型の魔力弾をレイドエネミーに向けてばら撒きながら、「泳魚の天恵(モデル:青龍)」を食べさせた青龍刀「偃月蒼雲」から灼熱のブレスを放ってレイドエネミーの群れを焼き払う。
『漆黒無双両太刀・黒刃大竜巻!』
エヴァンジェリンは漆黒の靄のようなものを纏わせた両刀をクロスさせ、そのまま八の字を描くように剣を斜め下方向に高速で振り抜くことで漆黒の竜巻のような斬撃を放ち、目の前のレイドエネミー達を一直線に巻き込んで次々と撃破していく。
『劇毒粘液弾』
ドミティアの手が一瞬粘液――スライム状に変化して、無数の激毒の塊がレイドエネミーの群れに放たれた。
一回の攻撃で撃破数はエヴァンジェリンより劣るもののドミティアも確実に戦果を出している。
『暗黒流星槍』
リヒャルダは黒いオーラを槍の穂先のような形に変化させ、更に武装闘気を纏わせた槍で高速の突きを次々とレイドエネミーの群れに放つ。
中には一体倒すのに二、三度突きを浴びせる必要があるレイドエネミーもいるけど一切止まることのない怒涛の攻撃で確実にレイドエネミーの数を減らしていっている。
『狩猟豹の脚! 熊の爪!!』
ベラトリックスの手と脚が一瞬にしてチーターのものへと変わる。チーターの脚力による猛烈な速度と俊身を組み合わせ、レイドエネミーの中をすり抜けながら次々と熊の手に武装闘気と覇王の霸気を纏わせて引っ掻き攻撃を浴びせていく。
レイドエネミーの中にベラトリックスの速度に追いつける個体はまずいない。一方的な戦いになるのも仕方がないよねぇ……まあ、それでも全然減らないんだけど。
『叛逆する御使』
サトゥルニナが翼を大きく広げ、武装闘気を込めた黒く染まった無数の光条を放つ。
無数の光条はレイドエネミーの群れの急所をピンポイントで確実に貫き、一撃で複数のレイドエネミーを撃破した。ただ、流石にレイドエネミーの背後にいたレイドエネミーに貫通ダメージを与えることはできないので再び「叛逆する御使」を放つ、その繰り返し。……サトゥルニナの表情が心なしかゲンナリしているように見えるけど、ボクだって同じ気持ちだよ。……多過ぎる。
『蜂毒針!』
アピトハニーは無数の毒針に武装闘気を纏わせてレイドエネミーの群れに放ち、針を貫通させると共に毒を体内に侵入させて絶命に追い込む。
『大海竜の大狂奏曲』
琉璃は無数の水の球を創り出し、一斉に槍状に変化させて敵を撃ち抜く精霊術法を連続で放ってレイドエネミー達を撃破している。レイドボス戦に取っておくために「崩滅雷龍咆哮」や「崩滅雷龍咆哮三重連撃」は今回も封印しているみたいだねぇ。
「兎式・雷鎚覇勁・猛打連撃でございます!!」
メアレイズは得物に聖属性の魔力と稲妻のように迸る膨大な覇王の霸気を纏わせた状態で次々と戦鎚を振るい、レイドエネミー達を殲滅していく。
レイドパーティ総掛かりでのレイドエネミー討伐。ボクも魔物の大河をただ見ているだけという訳ではなく、魂魄の霸気を使って光の速度まで加速し、光速を超えた圓式の斬撃を放って魔物達を討伐しつつ、「ダークマター・フェイク」をばら撒くように放ってエネミー達を討伐していく。……そして、討伐した側から別の魔物が供給される。
しかし、これだけレイドエネミーが次々とやってくるとなると今晩ゆっくり休めるのか心配になるよねぇ。しっかりと休息を取らないと明日のレイド攻略に響くし、できれば早めに大襲撃が終わってくれるといいんだけど。
そんな願いが通じたのか、大襲撃は四時間で収束し、しっかりと夕食と睡眠を取ることができた。以降は大襲撃が発生することなく攻略も順調に進み……本当に、なんだったんだろうねぇ、あの大襲撃って。
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それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。
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