表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

975/1360

Act.9-123 ヴァンヤール森国からの救援依頼 scene.4

<一人称視点・アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>


「ヴァンヤール森国に残された道は二つ、従属か死か。そして、彼女達からしてみればどちらを選んでも良いのでしょう。……先程の話を聞いて分かりましたが、彼女の技術力を持ってすれば安定生産でエルフを作り出し、奴隷として市場に流すことも可能なのだと思います」


「……そんなことしないし、奴隷制度は緑霊の森の多種族同盟加盟の際に必死こいて消し去ったけどねぇ。関連する貴族を見せ占めにする形でこのクソ陛下が皆殺しにして」


「俺じゃなくて、ラピスラズリ公爵家と俺の息子だぜ? 直接手を汚したのは」


「ボクらとしても、別にヴァンヤール森国がどうしたいかは自由に選んで欲しかったんだ。多種族同盟に入るだけが正しい選択じゃない。距離を取ることだって立派な考えだ。奴隷問題の禍根は根深い。謝って済む問題でもないと実感している。今更態度を変えたところで分かってもらえる訳がない。実際、緑霊の森でも完全に分かってもらえた訳じゃなかったんだ。それでも、互いに理解し合い、少しずつ認め合えるようになって来ていると思う。……今回の問題だって、君達が解決すべき課題だ。この地を捨てるなり、命を捨てる覚悟で魔物と一戦を交えるなり、君達の考えで道を選べは良かった。……別に理解して欲しいなんて言いたい訳じゃない。でも、助けて欲しいと駆け込んだ難民の分際で緑霊の森の在り方にケチをつけ、剰え自分達を助けることが至極当然のこと、更には多種族同盟と手を切れと宣う。それは度し難いことなんだよ? 放っておいたって勝手に全滅するのに、求めに応じて動いたのは女王陛下が、リーティアナさんが頭を下げたからだ。……残り二分、改めて問おう。戦争で果てるのか、魔物の蹂躙で果てるのか、それとも君達がエルフの面汚しと罵る緑霊の森の庇護下に入って生き恥を晒すのか、好きな選択肢を選べ。君達には未来を選択する権利がある!」


 ……まあ、緑霊の森はトップがアレなのはともかくミスルトウが橋渡し役として動いていて、エイミーン不在でも緑霊の森の治世が成立するように動いてくれている有能な人が沢山いる。

 緑霊の森の傘下に入ったところでヴァンヤール森国が最悪の国家になるとかはないと思うけどねぇ。

 ……生き恥って言ったけど、どう捉えるかは人それぞれ。ただ、【新生・エルフ至上主義ネオ・グローリー・オブ・ザ・フォレスト】みたいな連中の出現はごめん被りたいよねぇ。


『……ヴァンヤール森国の守り神として私はずっと見守って来た。貴女の頑張りも人一倍理解しているつもりよ。大丈夫、貴女はずっとこの国のことを想って頑張ってきた。例えそこの元老共が貴女の頑張りを否定してきたとしても、それでもめげずに。リーティアナ、貴女の好きにすればいいわ!!』


「わ、私は――この国の未来を考え、ヴァンヤール森国の女王として緑霊の森への従属を希望致します!!」


「そ、そそ、そんな……」


 この国の神である精霊王から見捨てられ(というか、利権にしがみついている老人達だってちゃんと認識されていたんだねぇ)、リーティアナの宣言も止められず、崩れ落ちる元老達。

 ……だけどさぁ、もうちょっと早く決着つけられなかったかな?


「死亡から三十一分経過、元老アイウォスさんご臨終です」


 元老達が睨んでくるけど、お前らがグダグダ会議を長引かせてる結論を出させないようにしたからじゃないの?


「言っておくけど、その元老さんが死んだ責任はボク達にないからねぇ。折角、解答次第では蘇生してあげよっかな? って思っていたのに。えっと、エドヴォットさんに、アオファルさんと、クェートロさんだっけ? 君達がアイウォスさんを見殺しにしたってヴァンヤール森国に広めよっか? それに、君達が女王陛下の邪魔をして民を見捨ててでも利権を守ろうとしたとも……民衆ってのは怖いんだよねぇ。一向一揆もそうだけど、トップが存在しない流れみたいなものって、誰かを倒したところで解決したりしないんだ。ヴァンヤール森国はボクらが手を出すまでもなく血で血を洗う戦争の時代に突入するんじゃないかな? 良かったねぇ、自滅できるよ? ……まあ、冗談はここまでにして……実は蘇生可能なんだよねぇ、アイウォスさんって。制限時間は超えちゃっているけど」


「ほ、本当ですか!?」


「いや、親友……流石に無理じゃねぇか?」


「ラインヴェルド陛下、まさかボクが根拠なく口から出まかせを言っているなんて思わないよねぇ?」


「いや、そうだけどさぁ……」


 まあ、これまでもこの三十分の壁は越えられないと思われてきた。それが蘇生魔法を使える者にとっては常識なんだから、覆す方法がないと思うのは当然かもしれない。


「リコリスさん、魔法解除させてもらうねぇ」


 ボクがリコリスに掛けていた魔法――「豊饒之海(オーバーレイ)」を解除した瞬間、姿を見せたのは彼岸花の花を彷彿とさせるドレスを纏った赤髪の魔法少女だ。

 変身前の姿がエルフだったことを示すように耳はエルフ耳、ただリコリスの面影は残しているものの、知らない人が見たら別人だと思うんじゃないかな?


「……変身済みの魔法少女の姿を魔法で偽装していたってことか? 精度が高過ぎるから見破れなかったぜ」


「変身を解除すれば、いつものリコリスさんの姿に戻るよ。ただ、魔法少女の変身を解除すると魔法も解除されるからすぐに変身解除とはいかないんだけどねぇ」


「魔法少女の力を得たタイミングはノイシュタイン卿がブライトネス王国を発った次の日です。割と便利な魔法を獲得できたので正直驚きました」


「リコリス=ラジアータ、どちらも彼岸花を示す言葉なんだ。そして、彼岸花の彼岸とはこの世を示す此岸の対義語に当たる。つまり、死後の世界を表す言葉だねぇ。法華経では天上の花として彼岸花――曼珠沙華は扱われている。ただ、あんまりボクの前世の世界だといいイメージはないんだけどねぇ。お墓に咲いている不吉なイメージ……まあ、これは球根に毒がある彼岸花が土を荒らす害虫や害獣を避けるのに打ってつけだからなんだけど。このように何かと死と直結したイメージの魔法少女の固有魔法は『魂に干渉する魔法』……転生を阻害して魂を留まらせる結界を張る、阿頼耶識を有さない霊魂を生成して攻撃に使用するといったことが可能だそうだ。特に転生を阻害して魂を留まらせる結界を張ることは魂魄属性魔法をもってしても不可能なリコリスさんにしかできない技術ということになる。元老達の言動で怒りを覚えたイフェスティオさんが元老を焼き尽くすことを想定し、ここに来る前にリコリスさんに変身しておいてもらった。後はリコリスさんに魂を回収してもらいつつ、元老を殺された恐怖を利用して交渉を円滑に進めようと動いたというただそれだけ。簡単でしょう?」


「相変わらず先読みが凄いなぁ。イフェスティオが焼死体作ることを読んでリコリスに変身させていたってことだろ?」


「仮にイフェスティオさんが来なくても誰かが殺ってたでしょう? 血の気多い連中ばかりだし」


「……圓を含めてな」


 失敬な。煽りに弱いプリムヴェールには言われたくないぞ!!


「……圓殿、椅子一つ余分だったのは元々イフェスティオ様が来ることを予知していたからではないのですか?」


「……まあ、ミスルトウさんの仰る通りだねぇ。勿論、全部計算尽くだよ。本当は止めようと思えば元老の焼死も防げたんだけどねぇ。舐められっぱなしだと交渉にならないし、適度に恐怖を与えようと思ってあえて見逃した」


 残る三人の元老達と、リーティアナとアレクサンドラがまるでエイリアンを見たような顔をしているけど、ボクって別に変なこと言ってないよねぇ?

 ボクはボクの守りたいものを守るだけ、世界を守るヒーローとかじゃないから関係ない人まで守るつもりはない。本当はお互い不干渉でいきましょうって言いたいところだけど、それは難しいし、これまでのヴァンヤール森国のやり方を見ていれば交渉が不可能なレベルであることは明らかだ。……自分達は助けて欲しい、多種族同盟とは手を切って緑霊の森が自分達の庇護下に入るのは当然、人間はエルフの奴隷になるべきだ、エルフを不当差別して来た人間は死んで当然……そんな要求、応じられる訳がないからねぇ。


 この場に来たのは頭を下げた女王リーティアナの顔を立ててということが大きいけど、元老達はそれを勘違いした上で更に恥の上塗りをしようとした。そして、こういった輩は敵対すると後々タチが悪くなるのは経験で知っている。

 【新生・エルフ至上主義ネオ・グローリー・オブ・ザ・フォレスト】の二の舞は嫌だし、交渉を円滑に進ませるためには五月蠅いのを潰しておく必要があった。……まあ、結果としては一人焼き殺したところで元老達のスタンスが変わる訳じゃなかったんだけどねぇ。


「アイウォスさん、エドヴォットさん、アオファルさん、クェートロさん――元老達はボク達の方で引き取らせてもらうよ。長くヴァンヤール森国の政治を腐敗させて来た老害連中が居なくなった方がやりやすくなるでしょう? まあ、リーティアナ政権は間も無く終焉を迎えて、今後は緑霊の森の傘下――緑霊の森の幹部として頑張ってもらうことになるんだけど」


 アイウォスの魂を時空魔法で復元した身体に戻してもらい、アイウォス、エドヴォット、アオファル、クェートロの手に手錠をかける。


「こんな手錠、魔法で……くっ、魔法が、使えん!」


「精霊の力を借りれないだと!?」


拡流石(かくりゅうせき)の手錠をはめれた気分はどうかな? ウルツァイト窒化ホウ素を凌駕する硬度と驚異的な耐熱性質を有するだけに留まらず『触れている存在からあらゆるエネルギーを強制的に引き出し、拡散させる性質』を有する究極の鉱石。魔法、闘気、霊力、なんでもいいけど、何らかのエネルギーを使用する技は必ずエネルギーを収束して練り上げる必要がある。だけど、石が触れている場合は強制的にエネルギーが拡散してしまうから、物理以外のあらゆる特殊攻撃が封じられることになる。その物理でも手錠の破壊は不可能に近い。ちなみに、魔法大監獄を改装し終えたところで看守長室にこっそり十億個の手錠を置いてきたから、今後魔法大監獄は更なる鉄壁の監獄と化すんじゃないかと想っているよ。それじゃあ、リコリスさん。このご老人達を例の屋敷に送り届けてもらっていいかな?」


「承知致しました」


 変身を解いたリコリスが手錠で力を完全に封じられた元老達(エルフの中でも高齢の三万歳……そんなに生きているのに阿呆なのは何故なのだろう? 柔軟性がないからなのか? それとも加齢によって意固地になっているからなのか?)を空間魔法でボクの所有する屋敷の一つに転移させた。

 お読みくださり、ありがとうございます。

 よろしければ少しスクロールして頂き、『ブックマーク』をポチッと押して、広告下側にある『ポイント評価』【☆☆☆☆☆】で自由に応援いただけると幸いです! それが執筆の大きな大きな支えとなります。【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしてくれたら嬉しいなぁ……(チラッ)


 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ