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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-113 王宮の東屋にて、第四王子殿下とその婚約者と――。 scene.1

<一人称視点・ローザ・ラピスラズリ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>


 翌朝、エルメンヒルデの執務室に赴いてヴァンとの面会ができる日を聞いてみたところ、その日の午後に時間を作れるということだった。


 今日は午後からプリムラの礼儀作法の教師のミランダ、ビアンカを交えたお茶会が予定されていた。ボクにも参加して欲しいという話だったけど事情を伝えるとビアンカとミランダも「心待ちにしていたけど、用事があるなら仕方ないわね」と少し残念そうにしながらも欠席することを許してもらえた。……勿論、どこかで埋め合わせはするつもりだよ。

 プリムラに事情を伝えたらこちらも許可をもらうことができた。同じタイミングでオルゲルトに午後からスカーレットに用事があることを伝え、スカーレットに午後から指定した場所に来るように伝えてもらいたいとお願いした。


 場所は王宮区画の敷地内にある特別な東屋だ。ラインヴェルドのお気に入りの場所で、許可が無ければ入ることはできない。

 許可を持っているのは、アクア、ディラン、バルトロメオ、アーネスト、ヴェモンハルト、スザンナ、ルクシア、ビアンカ、カルナ、ミーフィリア、カノープス、ノクト、ボクの十三人。……この中でボクだけ浮いているような気がしないでもない。


 一応、ラインヴェルドに使用することを伝え、その時間だけ空けてもらった。ラインヴェルドが「ふーん、まあ、今日は使う予定はないし、別にいいぜ」と何に使うのかあまり深く詮索して来なかったのは少しだけ妙だったけど……まあ、アイツのことだからその時間仕事サボって隠れて聞き耳とかしそうだよねぇ。


「筆頭侍女様、オルゲルト執事長から私に用事があるということでしたが……ヴァン殿下も関係があるお話なのでしょうか? それに、この場所は」


「ラインヴェルド陛下から許可はもらいました。許可をもらっている人が同伴していない場合は使用人でも高位貴族でも例外なく入ることができない陛下の聖域です。許可を持っているのはアクア、ディラン大臣閣下、バルトロメオ王弟殿下、アーネスト宰相閣下、ヴェモンハルト第一王子殿下、スザンナ様、ルクシア第二王子殿下、ビアンカ王太后様、カルナ王妃殿下、ミーフィリア様、お父様、ノクト統括侍女様、ボクの十三人です。ただ、第四王子殿下であれば許可を得ることもできると思いますが。意外に便利なところですよ。特殊な魔法も掛けられていて、密談にも便利ですし」


「……密談か。それで、ローザ殿。本日はどういったご用件なのだろうか? 今朝、エルメンヒルデから用事があると聞き、急いで予定の一部を修正したが、正直驚いたぞ」


「……ご用事を優先してどこかで時間がある時でよろしかったのですが。別に可及の要件でもありませんし」


「ローザ殿から面会の希望を出されたらそれを最優先するのは至極当然なことだ。ローザ殿の優先度は一国家君主と同等……いや、それ以上だと考えている。俺の見解に相違はあるだろうか?」


 ほら、スカーレットが困惑しちゃっているんじゃん。


「今回、スカーレットをこの場に呼び出したということはスカーレットに全てを打ち明けるつもりになったということだと思っていたが、違うのか?」


「まあ、そのつもりではありますけどねぇ。ただ、今回お二人を呼び出した本題は別にあります。とりあえず、長くなりますしお二人ともお座りください。飲み物はお二人とも紅茶でよろしかったでしょうか?」


 『統合アイテムストレージ』から取り出したティーセットで紅茶を淹れ、『統合アイテムストレージ』からお茶菓子としてスコーンとジャムを取り出す。


「そうですねぇ。まず、スカーレット様には断片的にではありますが、色々と話してきましたねぇ。時空騎士(クロノス・マスター)の話、多種族同盟創設の歴史とその目的に関するお話、創世神話として語った『管理者権限』を巡る戦いと三十の世界、そして創世の女神ハーモナイアに関するお話。リーリエやアネモネが同一人物であること、その前世が百合薗圓であるということもお教えしました。実はこの話には話していなかった部分が残っています。スカーレット様の身近にいる方で全てを知っているのは、ソフィス様、ヴァン殿下、メアリー様、オルゲルト執事長の四人ですね。他にブライトネス王国とフォルトナ王国の上層部……というか、多種族同盟の上層部はその辺りの事情を全て知っています。一部ではありますが、ヴィオリューテ様にも王女宮移籍後にスカーレット様達がご存知のない話を致しました。王女宮でお話ししたことと合わせれば大枠に関しては大凡把握したと思います。今回は、ソフィス様とヴァン殿下にお話しした残っている部分全てを包み隠さずお話しします。ただし、話す相手はこれでも慎重に選んでいますので、他言無用でお願いします」


 スカーレットに話した内容は前世の記憶について、ボクとアネモネが同一人物であること、そして創世神話で語られる三十の世界の正体がボク達が作った三十のゲームが基であるということだった。

 前回の話の方が内容的には濃かったと思うけど、まあ、驚いていたねぇ。アネモネとローザを分けて考えていたのに、それが同一人物だっていう事実が明かされることの衝撃はどうやらボクの思っている以上に大きいものらしい。


「……確かに、時空魔法があればアネモネ閣下と筆頭侍女様が同一時間軸に存在できますわね。それに何より、アネモネ閣下の姿を見せられれば納得するしかありませんわ。……本当に驚きました、心臓が飛び出るかと思いましたわ」


「スカーレット、俺だってローザから話を聞いた時には驚いた。……あまりにもスケールの大きな話に驚かされたものだ」


「……アネモネとローザが同一人物だという事実に自力で到達したヴァン殿下が何を仰いますのやら。スカーレット様、別に悪意を持って騙していたという訳ではありません。ただ、今後のことを考えるとあんまり波風を立てたくないという思惑はありますが。……姫殿下に関しては、ボクも内心恐れを抱いています。マリエッタやその背後にいるローザ=ラピスラズリとの対決が終わったら、話さざるを得ない時が来たら全てを打ち明けるつもりですが。正直、姫殿下関連のことについては冒した罪の量が多い……良かれと思ってやったことの結果ですが、場合によっては拒絶されても仕方のないことだと思っています」


「……そんな、圓様は姫殿下やシェルロッタ様――カルロス様や陛下の気持ちを慮って行動しただけですのに。……確かに、もっと良いやり方があったとは思いますが、例え私が圓様の立場に立ったとしても私には何もできなかったと思います。何も知らなかった私に何かを言う権利はありませんが、それでも……」


「俺も少々偽悪が過ぎると思う。……ローザ殿は、圓殿は悪人ではない。他者の思いを斟酌し、圓殿なりの方法で幸せにしようと頑張ってきた結果だ」


「……いや、悪人だよ、ボクは。前世でも今世でもボクの手は血で汚れすぎた。ただ、シェルロッタと姫様には幸せになってもらいたいと思うし、今世でできた大切も、前世の家族も、ボクの手で守りたい。……本当はメリエーナ様を生き返らせたいところだけどねぇ。それはちょっと道から外れ過ぎている。同じように家族を失った者にも同様のことをしないと釣り合いが取れなくなるからねぇ。だから、せめてシェルロッタと姫様が幸せになれるように色々と手を打ってきたつもりなんだけど……ヴァン殿下の父親のあのクソ野郎が散々邪魔してきたせいでなかなかうまくいかないんだよねぇ」


「本性を知ってから模範的な王だと思っていた父上がとんてもないクソ野郎だと知ったが、ローザ殿への対応に関しては正しいものだと思っている。例えシェルロッタ殿とプリムラを身分差を乗り越えて暮らせるようにするためだとしても王女宮筆頭侍女や専属侍女の立場を渡してプリムラの側からフェードアウトするのは、プリムラにとっても、ローザ殿にとっても良くないことだと思う」


「そうですわ! シェルロッタ様とローザ様をそもそも二者択一にするのがそもそもおかしいのですわ。もっと、何か方法が――」


「……メリエーナ様はねぇ、平民だから認められなかった。身分差っていうのは貴族社会で生きる限りは逃れられない厄介なものなんだよ。シェルロッタとプリムラ様を今後もずっと一緒に過ごせるようにするためには立場が必要なんだ。性格はクソでも、頭だけはいいラインヴェルドが何故それを理解できないのか、それとも理解するのを放棄しているのかは知らないけど、シェルロッタの方がどの点においても適任(・・)だってことくらい分かっていると思うんだけど。ソフィスさんの時とは違うんだから。……まあ、こういう話をしていても実りはないし、そろそろ本題に入ってもいいかな?」


「ああ、俺やスカーレットの言葉ではローザ殿の考えを変えさせることはできないことは理解しているからな。ローザ殿の盟友である父にすら変えさせることができなかった、ならばもうプリムラに賭けるしかない。――ローザ殿の考えはプリムラを思ってのもの、それをプリムラに否定されたら流石に考えを変えざるを得ないのではないか?」


「私もプリムラ様ならきっとローザ様のお考えを否定してくださると思いますわ。……ところで、本日の本題はどういったものなのかしら? ……既に前菜だけでお腹いっぱいなのですが」


 王子殿下と婚約者、二人揃って「ローザ様の願いが叶いませんように」って酷いと思うんだけどねぇ。まあ、いいか。

 二人のカップが空になったので紅茶を注ぎ、ボクの方は珈琲を用意してから、ボクは本題のバトル・アイランドの完全予約制のクラブ『クラブ・アスセーナ』のプレオープンへ二人を招待する話をすることにした。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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