Act.9-80 魔法の国事変 scene.20
<三人称全知視点>
マリオネットパペットは、強力な武力を有する公的機関の一つである「大魔公安処罰班」の班長――つまり、「大魔公安処罰班」のトップである。
ゴスロリ姿の人形と見紛う魔法少女で「人形を自在に操る」という固有魔法を持つ。人形といってもマリオネットパペットが人形と認識したものであれば思い通りに動かすことができる。
認識さえしていればいいため、厳密には人形ではない彫像のようなものも動かすことが可能だ。
アローアローは、「大魔公安処罰班」のメンバーで狩人風の魔法少女だ。
「どこまでも追尾する魔法の矢」という固有魔法を持つ。
十六夜は、「大魔公安処罰班」のメンバーでビキニ水着のような上半身に着物風のミニスカート、網タイツという露出度の高いくノ一風の魔法少女だ。「投げたものが必ず命中する」という固有魔法を持つ。
彼女達が所属する「大魔公安処罰班」は一応、監査部門の一部署という扱いだが、実際には独立した指揮系統を持ち、魔法の国の公安組織として機能している。
マリオネットパペットを中心とする面々は魔法の国の国益のために心を殺して残虐な任務もこなしてきたが、圓曰く可能性はかなり低いがまだ交渉の余地が残されている部類に属するらしい。
今回のオルグァの屋敷制圧及びオルグァの討伐任務では「大魔公安処罰班」を含む強力な武力を有する公的機関との戦いも視野に入れられているが、ただ思考停止して敵だから殺せという訳ではなく、可能であれば味方に引き込んでもらいたいと圓は事前に要望を出していた。
「大魔公安処罰班」の三人はその難易度から優先順位は割と低めだが、可能であれば裏切らせて味方につけたいと圓は考えている。菊夜達も善処はしてみるつもりだ。
続いて「退魔局」。
ホーリーヴィーナスは、強力な武力を有する公的機関の一つである「退魔局」の局長で女神をモチーフとした魔法少女で美形揃いの魔法少女の中でも宗教を起こしてしまいそうなほど異彩を放っている。
「聖なる祈りで全てを浄化する」という固有魔法を持ち、光で包んだ存在を抹消することができる。
この魔法で敵対する者を浄化ことこそが、敵対するという咎を犯した大罪人への唯一の救済であると頑なに信じる狂信者であり、会話など成立しない。「彼女については死体を回収してくれればそれで良い」と圓は死んだ魚の目で言っていた。
シスタールクスは、「退魔局」所属する白い修道服にを身を包んだ銀髪碧眼の魔法少女だ。「聖なる拳」という魔法を持ち、聖なる力を宿した拳で敵を殴ることで浄化する殴りシスターである。
お淑やかそうな見た目に反して直情的なところが玉に瑕。やや戦闘狂の性質が垣間見えるところがあり、「退魔局」を含め、強力な武力を有する公的機関に所属する魔法少女の中では交渉の余地がある方だと圓は考えている。
巫水羽は、「退魔局」所属する青い巫女服に身を包んだ魔法少女であり、「聖なる水を操る」という固有魔法を持つ。
この水は敵に対しては浄化や攻撃に使え、味方に対しては癒しの力で傷を癒すことができるという両面があり、攻撃と回復を同時に熟るため重宝されている。水の性質の変化は任意で行えるが、二つの性質を同時に兼ね備えることはできない。
「退魔局」の中では常識を持ち合わせている魔法少女で、シスタールクスとは別の意味で交渉の余地がある。
続いて「警備企画課参謀第零部」。
プロフェッサー=リリスは、強力な武力を有する公的機関の一つである「警備企画課参謀第零部」の裏理事――つまりトップである。
蛇の尻尾を生やし、鱗型のビキニの上から白衣を纏った露出度の高い学者風魔法少女で、「どんな道具でも完璧に使いこなす」という固有魔法を持ち、使用する道具の性能を最大限発揮させることができる。
魔法の国の国益を第一に考えている「警備企画課参謀第零部」の中でも一際愛国心が強い。圓も彼女が魔法の国を裏切って多種族同盟側につくことはないと考えているようで、実質会話が成立しないホーリーヴィーナスの次に交渉は困難である。
リュネットは、「警備企画課参謀第零部」所属する眼鏡を掛けた知的な魔法少女で「望んだ場所の風景が見える魔法の眼鏡」という固有魔法を持つ。
非戦闘員と見せ掛けて高い格闘能力を誇り、荒事を得意としている。
公公は、「警備企画課参謀第零部」所属する天女のような姿の魔法少女で、手には魔法の拡声器を持っている。
「頭の中に直接語り掛ける」という固有魔法を持つ。
非戦闘員と見せ掛けて高い格闘能力を誇り、荒事を得意としている。
プロフェッサー=リリス以外の二人はまだ交渉の余地があると圓は考えていたが、それでも他の者達に比べたら交渉の余地は薄い。
最後に「独立魔導小隊」。
ヴァレンシュタインは、強力な武力を有する公的機関の一つである「独立魔導小隊」の小隊長を務める胸元を露出した軍服姿の魔法少女だ。
「雷を支配する」という固有魔法を持つ。普段は愛用する軍刀に雷を纏わせて攻撃を行うが、雷を降らせるなどの攻撃も可能。
無類の戦闘狂であり、「独立魔導小隊」を含む強力な武力を有する公的機関所属の魔法少女の中では最も交渉の余地が多い女性である。
ジョリーロジャーは、「独立魔導小隊」に所属する露出度の高い女海賊風の魔法少女だ。
「空飛ぶ魔法の海賊船」という固有魔法を持つ。風力を必要とせず、魔法の力で亜音速の速度で飛行することができる。 また船には大砲や備品などがあり、全て自由に使用することができる。
武器はピストルとカットラス。
黒騎士セレンディバイトは、「独立魔導小隊」に所属する全身黒鎧姿の魔法少女だ。
「暗黒騎士の力を得る」という固有魔法を持つ。
その身に纏う鎧には無尽蔵の回復能力をもたらす効果があり、鎧を他人に貸し与えることでまた他者も回復させることができる。
戦闘ではこの力で損傷した自分の肉体を次はより強い負荷に耐えられるように一段強い肉体に再生し、身体能力を永久的に累積上昇させるという使い方をしている。
鎧と共にコスチュームの一部となっている暗黒剣には命を削って強力な闇属性攻撃をするという効果がある。
ジョリーロジャーと黒騎士セレンディバイトは流石にヴァレンシュタインほどではないが、戦闘狂の部類に入る。交渉の余地は十分あると考えて差し支えない。
「大いなる慈悲の光で罪から解放致しましょう! 浄罪聖爆」
屋敷に突入早々、ホーリーヴィーナスは問答無用で消滅魔法を放った。
これには、ヴァレンシュタイン、ジョリーロジャー、黒騎士セレンディバイトも顔を顰めている。
「……一応、話を聞く気はないのかよ? 襲撃を仕掛けてきたのにも理由があるんじゃないのか?」
「魔法の国の秩序を乱す輩は悪に他なりません。せめて慈悲の心を持って殺して差し上げるのが優しさではありませんか?」
「……圓様の仰っていた通りですね。歪んだ価値観の持ち主、魔法の国の秩序? 現在進行形で乱しているのはミューズ・ムーサ・ムーサイとリツムホムラノメノカミを倒し、国を支配して圧政を敷いているQueen of Heartと、五老臣なのではありませんか? 貴女方特別な魔法少女には実害が出ていないから平気な顔をしていられるのでしょうが。……それとも、Queen of Heartや五老臣に命じられたら彼女達の望むままにドロドロに溶かされて魔力となって、文字通り魔法の国の礎となるのですか?」
消滅効果のある光をブラックホールの如く猛烈な引力で暗黒剣で吸収したラファエロがホーリーヴィーナスを睨め付ける。
「……まあ、確かに今の魔法の国には不信感しかない、それは確かだ。しかし、問答無用で五老臣の屋敷に襲撃を仕掛けてきたアンタらを信用しろっていうのも無理がある話だと思うぜ? 戦争を仕掛けてきたってことは、大義名分があるってことだよな?」
ヴァレンシュタイン、ジョリーロジャー、黒騎士セレンディバイト――「独立魔導小隊」の面々が軟化した態度を見せ始めたのをチャンスと捉え、シーラはラファエロから引き継いで交渉を始めることにした。
残る面々も、一応話には耳を傾けるつもりのようだ。……ホーリーヴィーナスに関しては耳を傾けるつもりはなかったが、必殺の魔法が防がれてしまい攻撃手段がなくなったので、暗黒剣対策が用意できるまでは迂闊に手を出せないという理由で一時級戦を選択しただけだが。
「Queen of Heartの支配によって、この国は魔法少女を使い潰す国へと変わったわ。その結果、苦しんでいる人々も大勢いるのよね? 貴女達の方が詳しいとは思うけど、私もそう聞いているわ。それから、Queen of Heartが三賢者のうち二人を討伐し、牛耳っているという事実。……この国の主権者と代行者達は不当に政権を握り、圧政を敷いている。それを、許せないと革命を起こそうとしている黒の使徒と同盟関係にある私達の所属する多種族同盟という共同体はQueen of Heartと五老臣という魔法の国の癌を取り去り、この国に平和な時代を取り戻す。……というのが、建前上の理由ね。勿論、この建前の部分にも嘘はないわ。この国の癌を全て取り去った暁には、黒の使徒を中心に据えつつ、各部門と連携して新国家を建国――多種族同盟も全力で戦後復興と安心して暮らすことができる国家づくりに協力するつもりなのだそうよ。私は多種族同盟に所属する時空騎士という立ち位置で別に多種族同盟の政治に関わっている訳じゃないから、こういう意思を持っているという言葉を伝えることしかできないのだけれど」
「……なんか気になる言い方だな。つまり、アンタらの所属している多種族同盟は革命軍――黒の使徒とは別の目的で動いているってことだろ? その目的ってのは、一体なんなんだ?」
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