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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-79 魔法の国事変 scene.19

<三人称全知視点>


 初期型のスートランプはJOKERかいる限り復活が可能である。

 魔法少女一人分の魔力を供給すればスートランプ全員を復活させることができる。……このある種の不死性は厄介極まりないものだが、逆に JOKERが撃破されてしまえばそれまで無傷だったスートランプも撃破されてしまうという大きな欠陥を抱えている。


 スペードとクローバーの上位勢となれば武闘派トップクラスの魔法少女数人とほぼ同等の力を持つ。棍棒を武器とするクローバーはスペードに比べれば隠密特化である分戦闘力は確かに落ちる……が、それでも今後のことを考えれば落としておきたい。


 今回、オルグァの屋敷の討伐を任された菊夜達は事前に圓から想定される敵の可能性について伝えられていた。

 「大魔公安処罰班」、「退魔局」、「警備企画課参謀第零部」、「独立魔導小隊」――オルグァが動かせる戦力はいずれも本来必要とされる以上の戦力を抱えた魔法の国本国でも上位の戦闘力を持つ組織。

 ここから派遣されてくる魔法少女はいずれも尋常ならざる強者である。


 圓は彼女達を懐柔することが不可能と判断すればオルグァと共に討伐対象に加えて欲しいという意思を伝えた。

 当然、敵対する可能性が高い存在として覚悟している。そして、彼女達と戦うとなれば余計な戦力は事前にできる限り排除しておきたい。


 今回のオルグァ邸襲撃を菊夜達は二段階に分けて考えていた。

 「大魔公安処罰班」、「退魔局」、「警備企画課参謀第零部」、「独立魔導小隊」所属の魔法少女達の到着前と以後である。第二段階での戦いを優位に進めるために防衛用ホムンクルス【デモンズウィング】の撃破とスートランプの全滅は必須、できる得るならば先にオルグァも撃破しておきたいと考えていたが、どうやら見気でも見つからないほどの屋敷の奥深くに隠れているらしく出てくる気配はない。そして、わざわざ屋敷の中に行ってオルグァを討伐するよりもここで一体でも多くの敵を撃破した方が利益は多い。


 第二段階の結果を左右するかもしれないスートランプの JOKERの討伐はシーラ、ラファエロ、ミリアム、アルベルトの四人に託された。

 聖なる光を纏わせた剣で斬撃を放っていくミリアムとアルベルトを先頭に四人は三階への階段を上っていく。


 目的地はJOKERのいる屋敷四階の最奥部の部屋。

 ここまでで既に三度ほどスペードのA(エース)を斥けているが、それでもスペードのA(エース)が撃破される度にリセットを掛けられ、復活され続けているので敵のリソースはまだ残されていると判断し、消耗戦はやはり不可能と判断。足を一回も休めず四階への階段を上る。


 そう、闇の魔法の研究施設の制圧の際に圓にお姫様抱っこされていたあの頃がまるで嘘のようにシーラは俊身を完全にものにして愛するラファエロと共にここまで一度も息を切らせることなく近衛騎士と『剣聖』の足について行っていた。

 闇の魔法は習得していたものの、戦闘経験は皆無だったラファエロ共々目を見張る成長を遂げている。


「……二人に負担を強い続けるのも良くないし、ここからは私とラファエロの二人で引き受けるわ」


「まだ第二段階があります。お二人は魔力と体力を温存をしてください」


「……そこまで減ってはおらぬが、お言葉に甘えるとしよう」


 ミリアムとアルベルトが走りながらも速度を緩め、シーラ、ラファエロに先頭を譲る。


「私だって強くなっているのよ! 漆黒の槍ダークネス・スピア・ストライク! 地獄の火柱ダークネス・エラップション!!」


 シーラは闇の魔力を槍へと変化させて放って襲い掛かるスペードのJ(ジャック)Q(クイーン)K(キング)を貫いて撃破すると、闇の魔力を宛ら火柱のように噴き上がらせる闇魔法を発動して階段を降りながら槍を構えるスペードの群れを次々と闇の火柱に巻き込んで撃破していく。

 流石に消滅させるほどの威力はないが、スペード勢を撃破するには充分の威力だ。


闇夜の翼ダークナイト・ウィング! 断光の暗黒剣ロード・オブ・ダークネス!!」


 一方、ラファエロは闇の魔力を収束させて翼を作り出すオリジナル闇属性魔法を発動し、俊身を応用して翼を使って加速すると、闇の魔力を収束させて作り出した暗黒剣で次々とクラブの上位勢を撃破していく。

 更に分解の性質が付与されている闇の羽を無数に放って竜巻を作り出し、復活したスペードの上位勢を肉壁にしているハートの上位勢諸共分解の嵐の中で撃破した。


「……復活のペースが早くなっているわね。形振り構っていられなくなったってことかしら?」


「この廊下を走り切ればJOKERとのボス戦じゃな! 後一踏ん張りじゃ!」


 迫り来るスペードの上位勢をシーラは「漆黒の槍ダークネス・スピア・ストライク」で、ラファエロは飛翔からの暗黒剣で撃破すると、シーラとラファエロを先頭にスートランプのJOKERのいる部屋に突入した。


「……ここまで来てしまいましたか。復活しなさい! スートランプ!」


 スートランプのJOKERは掌大の魔法結晶を粉砕して魔力を吸収――全てのスートランプを復活させると、自身も得物の武器を構えた。


「――ラファエロさん、あの魔法で!」


「――これだけの数を同時に相手するのは厳しいですし。シーラさん、やりましょう!」


「「闇の使い魔・黒き甲冑の騎士(ゴルビッツァ)!!」


 シーラとラファエロが手を繋ぎ、膨大な魔力を使って発動したのは火属性、氷属性、雷属性、無属性、闇属性複合魔法だ。

 その見た目はラファエロ一人でも発動できる「闇の使い魔・暗黒騎士(ダークナイト)」によって作り出すことができる暗黒騎士に似ている……が、当然ながらそこに込められている力は桁違いである。


 この魔法で創り出される黒騎士は自律して行動する。「超焔爆(ギガファイア)」、「超氷嵐(ギガブリザード)」、「超雷撃(ギガサンダー)」といった強力な三属性の魔法が使える他、闇の魔力で黒竜を顕現する「黒竜顕現」という魔法も使用できる。


 今回、シーラとラファエロはこの「黒竜顕現」を黒騎士に使わせることを目的に「闇の使い魔・黒き甲冑の騎士(ゴルビッツァ)」を発動した。

 この闇魔法で顕現される黒竜には特殊な闇の魔力で敵を麻痺させて動きを封じる闇属性魔法「呪縛の冷気(パラライズ・オーラ)」と自身の牙で即死級の高威力な一撃を浴びせる闇属性魔法攻撃「黒い牙(デス・ファング)」という二つの攻撃手段がある。


 ……まあ、ここまで説明をすれば既視感も感じるだろうが、カノープスのオリジナル闇魔法「闇牙黒竜撃(コクリュウノキバ)」及び、「闇牙黒竜撃(コクリュウノキバ)」を基にしたローザのオリジナル魔法「黒竜の闇牙死纏撃コクリュウノクロイキバ」を参考にして生まれた魔法である。……「黒竜の闇牙死纏撃コクリュウノクロイキバ」を分割したような魔法というのがイメージとしては一番近いかもしれない。


 「呪縛の冷気(パラライズ・オーラ)」を放ってスートランプ達の動きを封じると、そのまま JOKERに「黒い牙(デス・ファング)」を浴びせる。

 スートランプに即死耐性は設定されていないため、JOKERは抗うことすらできずに命を落とし、JOKERの死亡と同時に他のスートランプ達も溶けるように消滅した。


「……これでスートランプの討伐は終わったわね。そして、これが魔法陣――」


 スートランプの JOKERが座っていた椅子よりも斜め後方にある玉座を押すと、青い魔法陣が姿を見せた。

 屋敷の中に隠れていると思っていたが、どうやらこの魔法陣で転移できる転移先に身を潜めているらしい。


「もう間も無く『大魔公安処罰班』、『退魔局』、『警備企画課参謀第零部』、『独立魔導小隊』所属の魔法少女達がやってくる頃じゃ。一旦エントランスに戻った方がいい」


「師匠の仰るように捜索は後回しにした方がいいですね」


 黒騎士と黒竜を連れ、シーラ達は元来た道を戻って一階のエントランスを目指した。



 シーラ達がエントランスに戻った直後、無数の砲弾がオルグァの屋敷に撃ち込まれた。

 それを合図に魔法少女達が一斉に半壊したオルグァの屋敷のエントランスへと流れ込んでくる。


「……『大魔公安処罰班』班長のマリオネットパペットに、アローアローと十六夜(イザヨイ)。『退魔局』局長のホーリーヴィーナスに、上位退魔師のシスタールクスと(かんなぎ)水羽(みづは)。『警備企画課参謀第零部』裏理事のプロフェッサー=リリスに、リュネットと公公(ハムハム)。『独立魔導小隊』小隊長のヴァレンシュタインに、ジョリーロジャーと黒騎士セレンディバイト……圓さんの言っていた通り、猛者が揃い踏みってことね」


 予想はしていたが、やはり魔法の国でも上位の魔法少女達――スートランプ以上のプレッシャーをシーラ達は感じた。


 菊夜達は八人、対する「大魔公安処罰班」、「退魔局」、「警備企画課参謀第零部」、「独立魔導小隊」の上位魔法少女混成部隊は十二人――人数的には不利だが、一方でこれは想定されていた事態でもある。

 一人一人は強敵だが、決して勝てない相手ではない。それに、菊夜達には圓から与えられた敵の固有魔法に関する情報がある。敵に関する情報を持っているという点では菊夜達の方が圧倒的に有利だ。


 菊夜達は気を引き締め直し、それぞれ武器を構える。

 十二人の魔法少女達が菊夜達と対峙し、戦いの幕が切って落とされた。

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 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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