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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-78 魔法の国事変 scene.18

<三人称全知視点>


武装強奪(プランダー・アームズ)


『『『『『『『武装解除(エクスペリ・アームズ)』』』』』』』


 最初の魔法使いノーアの遺品で希少な竜であるルナザウルスの骨を芯材に、希少な木材であるリグナムバイタを使用した最強の杖であるリグナムバイタの杖を構えたザギルは武装解除魔法を発動するが、その攻撃を読んだ欅も敵の武装を解除する魔法を放って対抗し、両者武器を奪われる結果となった。

 予め杖の吹き飛ばされる位置を予想していた欅は「蔓鞭ノ乱打」で作り出した蔓で杖を確保する。


『『『『『『『この杖で魔法の発動を簡素化していたのね。これが無ければ、流石の貴方でも素早く魔法を使うことができない筈よ』』』』』』』


「……舐めてもらっては困る。儂は魔法だけでなく剣も使える。貴様の剣で貴様を屠って……ッ!」


 欅の持っていた木刀を奪って構えたところで、木刀がドクンと脈動し、刀の形を維持できなくなった木刀だったものが無数の枝を生やし、ザギルの手を突き刺した。


「な、なんだこれは! わ、儂の手が……腕が……」


『『『『『『『樹法秘術・栄枯盛衰アクセラレート・グロース……神樹の力を宿した攻撃を浴びたものを樹木に変え、神樹の力で樹木の成長速度を早める技よ。その手から始まった侵食はやがて全身に及ぶ。そして、加速した成長の行き着く先は枯死という結末。……諦めなさい、貴方がもう助かる道はないわ』』』』』』』


 ザギルは侵食を止めようと風の魔法を唱えるが、神樹の侵食はザギルの想像を遥かに超える速度で進み、上半身が完全に木化、更に首と腰の方へと侵食していく。

 更に最初に侵食を受けた右手は木刀と共に枯死し始め、ザギルの手が塵と化して風で吹き飛ばされ始めた。


 肺が木化し、息ができなくなる。次第に呻き声すら出せなくなり、数分後にはザギルが完全に木と化した。

 もうしばらくすればザギルは完全に塵と化すだろうが、そこまで待っているつもりはない。


 欅は解放した魔法少女ヴィクトリアレディ達を圓から事前に渡されていた魂魄の霸気《転移》のナイフを使って《蒼穹の門(ディヴァイン・ゲート)》を発動し、圓の保有する屋敷の一つに転移させると、圓達に加勢するべくハート魔導城へと向かった。



 欅達がザギルの屋敷に襲撃を仕掛けたのと同時刻、菊夜、沙羅、美姫、火憐、シーラ、ラファエロ、ミリアム、アルベルトの八人はオルグァの屋敷に襲撃を仕掛けていた。

 しかし、後手後手に回っていたザギルとは異なり、オルグァ・パッヅァ・エル・レギドゥは菊夜達の襲撃に比較的早い段階で気づいており、万全ではないものの対抗手段を取ることに成功している。


 オルグァは契約しているスートランプと屋敷の警備に使っている防衛用ホムンクルス【デモンズウィング】を襲撃者達に嗾しかけつつ、各所に連絡を入れた。


 魔法の国の貴族はいざという時に頼りにできる兵隊を必要とするが、私兵を集めるのは維持費も含めて相当なお金が掛かる上に、変なことをして目立っては出る杭が打たれることになってしまう。

 維持費が苦ならない、目立ったところで打たれるものか、という強い貴族以外は、こうした機関に寄付を納めて「いざという時は何卒よろしく」と頭を下げている。

 オルグァが連絡を入れたとという四つの機関はそうした本来必要とされる以上の戦力を抱えた組織だ。


 こうした組織を元々はオルグァは使わない立場にいた。情報局の魔法少女を子飼いの私兵として利用できたからだ。しかし、情報局の解体に伴い、情報局所属の魔法少女も散り散りとなった。

 そこで、オルグァは五老臣の権力を惜しみなく使って「大魔公安処罰班」、「退魔局」、「警備企画課参謀第零部」、「独立魔導小隊」を支配下に置くことにした。彼女達の実力は折り紙付き、情報局の魔法少女以上に頼りになると踏んだのである。


 オルグァはただ時間稼ぎをしていればいい。彼女達が到着すれば形勢はひっくり返り、オルグァの屋敷に襲撃を仕掛けてきた不届き者は揃って血祭りに上げられるのだから。



氷結冷気(アイシクル・コールド)-ホワイトウィンド-」


 オルグァの屋敷へ襲撃を仕掛けた面々の中で真っ先に行動した美姫は「極寒の天恵」に氷魔法を融合した「氷結冷気(アイシクル・コールド)-ホワイトウィンド-」を使って屋敷の一階エントランスを極寒のフィールドへと変えた。

 単体で「氷結冷気(アイシクル・コールド)」を使うよりも「極寒の天恵」の力による消耗を減らすことができる。


 「極寒の天恵」の力をフルで使えば生命が生存できないほどの極寒を作り出すことができるが、氷魔法と融合させることでその消耗も大きく減らすことができる。

 つまり、ほとんど消耗無しに大技を使用することもできるようになった訳だが、今回の襲撃では美姫はその力を使うつもりはない。


 一つは敵だけでなく味方にも被害が及ぶからである。武装闘気を纏えば耐えられるが、当然ながら生命が生存できないほどの極寒の中では常に闘気を維持しなければならない。

 万が一闘気が途絶えれば一瞬にして凍りついてしまう。そのようなリスクのある技を使用して戦うのは現実的ではない。


 そもそも、生命が生存できないレベルの極寒を発生させなくても「極寒の天恵」を使用した技は全て使用可能である。わざわざ温度を生命が生存できないレベルまで下げたとして得られるものは意外に少ない。


 美姫は靴に氷のブレイドを作り出すと同時に触れている床を凍り付かせ、アイスダンスを踊るように滑り出すと、冷気を使って氷の銃を造形して次々と敵のスートランプに氷の弾丸を撃ち込んでいく。


「……スペードやクラブの上位層だと躱されて、ハートの上位層だと耐えられてしまうのね。大体強さは分かったわ」


 適当に狙ったと見せ掛けて、スペードのK(キング)と5、クラブのQ(クイーン)と7、ダイヤのA(エース)、ハートの8とA(エース)を的確に狙い、それぞれの反応を見極めた美姫に続き、「青焔鳳(ブルーバード)」を使用して「飛翔の天恵(モデル:鳳凰(フェニックス))」の効果で青と橙が混ざったような特殊な焔を纏い、鳳凰へと変化した火憐が分裂して見えるほどの速度で槍を突き出すスペードのA(エース)目掛けて勢いよく相手に炎を叩きつける。


青焔鳳凰撃(ブルーブレイブバード)


 しかし、流石はスペードのA(エース)、一撃では撃破されずに美姫に連続で槍を突き刺してくる……が、「飛翔の天恵(モデル:鳳凰(フェニックス))」の力ですぐに再生し、武装闘気を纏わせた鳳凰化させた足の爪を用いて切り裂くような飛び蹴りを繰り出す「鳳凰脚(ブルーオングル)」でスペードのA(エース)を仕留めた。


爆破粘土造形魔法ボンバークレー・スカルプチャー小型蜘蛛(ミニスパイダー)!」


 菊夜は土属性と火属性を融合して作り出した爆破粘土という特殊な物質を作り出して造形するオリジナル魔法。茶色の無数の小型蜘蛛を作り出し、無数にばら撒いて次々と自爆させる。

 小型のため爆発の威力は弱く下位層のダイヤも一撃では撃破できないが、十体以上の小型蜘蛛を爆発させることで下位層のハート程度までなら撃破できることを実際に爆発させて確かめると、菊夜は再び「爆破粘土造形魔法ボンバークレー・スカルプチャー小型蜘蛛(ミニスパイダー)」を発動して爆弾をばら撒き、糸を束ねた槍に武装闘気と覇王の霸気を纏わせてスペードのQ(クイーン)に戦いを挑んだ。


 見気で完璧に槍の動きを把握し、紙躱を駆使して文字通り紙一重でスペードのQ(クイーン)に槍を突き刺し、撃破に成功した……が、そのタイミングを狙ってスペードのJ(ジャック)K(キング)が同時に槍を構えて菊夜を狙った槍を突き出した。


「日輪赫奕流・劫火竜顎門」


 菊夜を守るようにスペード二人の目の前に滑り込んだ沙羅が霊力を変化させた炎を纏った剣で斬撃を放ち、その斬撃を竜の顔へと変化させて襲わせる日輪赫奕流の型の一つを放って焼き尽くした。


「……ありがとう、沙羅さん」


「礼を言うには早過ぎるわよ」


 スクリューのように回転して襲い掛かる防衛用ホムンクルス【デモンズウィング】を沙羅と菊夜が斬撃と突きで撃破したタイミングで二人が撃破したスートランプ達が他の撃破されたスートランプ達と共に消失し、屋敷の奥から新たなスートランプが続々と姿を現した。


「プロトタイプのスートランプにはJOKERの復活機能が搭載されているわ! 予定通り、私達が道を切り開く。シーラさん、ラファエロさん、ミリアムさん、アルベルトさんは先に進んでJOKERの討伐を討伐してください!」


「既にJOKERとやらの位置は見気で捕捉しておる。儂達に任せるのじゃ! アルベルト! 切り開くぞ!」


「了解です師匠!」


「「ジュワイユーズ流聖剣術 聖ノ型 聖纏魔祓」」


 剣に聖属性の魔力を纏わせたミリアムとアルベルトは同時に剣を振り下ろし、膨大な聖属性の魔力の奔流と化した斬撃を階段目掛けて放った。

 降りてきていた大量のスートランプ達を吹き飛ばし、生じた道をミリアムを先頭にアルベルト、ラファエロ、シーラが俊身を駆使して駆け抜けていく。


「闇の使い魔・黒虎! 沙羅さん達に加勢しなさい!」


「闇の使い魔・暗黒騎士(ダークナイト)! ここはよろしくお願いします!」


「……そこまで気を遣ってくれなくても良かったのだけど、でも嬉しいわ。――ここはアタシ達が対処するわ。だから、JOKERをお願い!」


 シーラ達にJOKERの討伐を託し、シーラ達を見送った沙羅は剣を構え直し、鋒を先ほどのミリアムとアルベルトの攻撃で撃破を逃れたスペードのA(エース)に向ける。


「……この屋敷を目指して何人か向かっているわね。いずれもかなりレベルの高い……まず間違いなく魔法少女だわ。……きっと圓さんが言っていた『大魔公安処罰班』、『退魔局』、「警備企画課参謀第零部』、『独立魔導小隊』所属の凄腕魔法少女達ね」


「彼女達が到着する前に予定通り(・・・・)最低でもJOKERは落としたいところだけど……こればかりは四人を信じるしかないわね」


 追加戦力のことを考えると少しでも敵は減らしておきたい。

 菊夜、沙羅、美姫、火憐は階段で一階エントランスに降りてきたスートランプ達と防衛用ホムンクルス【デモンズウィング】を少しでも撃破するべくそれぞれ更なる戦いに身を投じていく。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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