表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

929/1360

Act.9-77 魔法の国事変 scene.17

<三人称全知視点>


 魔法少女ヴィクトリアレディは倫理観を狂わせた魔法使いが生み出したデザイナーチルドレン、ただ美しくあればいいという目的で作られた愛玩用の魔法少女である。

 その魔法使いは生み出した魔法少女の人身売買にも手を染めており、欅達に武器である魔法のモップを向けている彼女達は、ザギルが購入してメイドとして使っている。


 愛玩用ということで慰み者に使われることも残念ながら目的の一つである。……まあ、非人道的な近親相姦、遺伝子操作、あらゆる禁忌(タブー)に触れて美しさを追求し、作られた存在なので、彼女達の存在はスートランプと並んで魔法の国の闇を象徴していると言えるのだが。

 そんな彼女の固有魔法「魔法のメイドの力でご奉仕する」の名称は意味ありげだが、その実態は炊事洗濯、果ては外敵の駆除まで行うことができるという万能魔法である。


 魔法のモップにはゴミ焼却用の火炎放射機能がついており、モップで殴る物理攻撃以外にも、火炎放射で遠距離攻撃をすることもできる。それに加え、生活魔法として「泡渦竜巻(バブル・ストーム)」、「脱水暴風撃(デザート・ブロウ)」、「冷却(フリーザー)」、「電磁放射(マイクロ・ウェイブ)」、「発光(フラッシュ)」などの魔法も使用することができる。

 生活魔法という括りではあるが攻撃にも転用可能であり、攻撃の幅も広く戦闘力もスペードの9程度はあるため、敵対する場合は極めて厄介な敵となる。


 しかし、欅達の方は必殺の「樹法秘術・栄枯盛衰アクセラレート・グロース」 コンボがある。

 神樹の力を宿した攻撃を浴びたものを樹木に変え、神樹の力で樹木の成長速度を早める技「樹法秘術・栄枯盛衰アクセラレート・グロース」は木の繊維を凝縮し、真剣とも張り合え、身体を突けば貫通させるほどの超強力な木刀を作り上げる「星砕ノ木刀」を神樹の力で強化した技である「星砕ノ木刀・神樹エデン・オブ・スター・ブレーカー」、万力の如き猛烈な力を持つ無数の木の掌を生み出す「樹法秘術・木千手掌」を神樹の力で強化した技である「樹法秘術・神樹木千手掌エデンズ・サウザンド・ハンド」、樹木をまるで自分の手のように操り、無数の木を木の槍へと変化させて放つ技である「樹法秘術・変貌の樹槍(ランス・オブ・エデン)」などと組み合わせることで無類の強さを発揮する。


 また、神樹の力を宿した分身を作り出す「這イ寄ル木偶ノ坊」と無数の樹神兵を創り出して嗾ける「樹神兵生成」を融合したような技である「樹法秘術・神樹ノ木偶ノ坊エデンズ・マリオネット」や戦乙女(ヴァルキューレ)を模した巨大な神樹を創り出す「樹法秘術・神樹の巨兵戦乙女ヴァルキュリアス・ヴァルキュリア」を使って人数差を埋めることも可能だ。


 しかし、欅達は自らに縛りを課し、「樹法秘術・栄枯盛衰アクセラレート・グロース」を使用せずに勝利しようとしている。

 その理由は、ヴィクトリアレディを軽んじているから……ではない。彼女達の身の上を知った欅達の主人である圓から彼女達の解放を依頼されたからだ。


 「樹法秘術・神樹界新誕(エデンズ・フォレスト)」で屋敷を攻撃した際にも見気でヴィクトリアレディの位置は把握しており、意図的に攻撃の対象から外していた。

 不殺を貫くというのは難しいが、欅達を信じて与えられた任務――その期待に応えられないということなどあってはならない。


『『『『『『『解呪の法(デスペル)』』』』』』』


 欅が発動したのはローザが開発した無属性・聖属性複合概念干渉系魔法だ。

 万物を軛から解放するという概念を宿した魔法であり、呪いの解除や地縛霊に掛かった地縛の解除、拘束具からの解放、奴隷魔法の解除などありとあらゆる縛りから解放することができる。

 聖人の領域に達した欅達にとっても極めて扱いの難しい魔法であり、欅達の練度では剣などに付与して直接触れなければならない。


 欅は俊身を駆使してヴィクトリアレディに肉薄すると、モップで攻撃される前に斬撃を浴びせてヴィクトリアレディを彼女を縛る奴隷魔法から解放する。


「…………ありがとう、ございます。……仲間も、助けてもらえない、でしょう、か?」


『『『『『『『勿論、そのつもりよ。……しかし、一人ずつ確実に斬撃を浴びせていかないからこの人数だし、スートランプの上位陣を片手間で倒すというのは現実的ではないわね。――樹法秘術・神樹ノ木偶ノ坊エデンズ・マリオネット』』』』』』』


 無数の欅の分身をスペードのスートランプに嗾しかけ、欅は次々のヴィクトリアレディに斬撃を浴びせていく。

 奴隷魔法に縛られているヴィクトリアレディ達も欅に応戦するが、モップの火炎放射で応戦するヴィクトリアレディ達の攻撃を止めるように解放したヴィクトリアレディ達が「泡渦竜巻(バブル・ストーム)」で応戦するので、欅は相性の悪い火属性攻撃(浴びたところで火傷を負う程度で死亡する訳ではないが)を浴びることなくヴィクトリアレディ達を解放することができている。


 スートランプはやはりスペードとクローバーが厄介で、上位勢は死亡せずに寧ろ「樹法秘術・神樹ノ木偶ノ坊エデンズ・マリオネット」で作り出された欅の分身達を撃破するという活躍を見せたが、スペードとクローバーも下位の数字はハートやダイヤと共に全滅し、警備を行っていた防衛用ホムンクルス【デモンズウィング】も全滅し、他にホムンクルスの姿はない。


 しかし、肝心のザギルの姿はない。これだけ暴れたのに姿を見せないとなると、そもそもこの襲撃にすら気づいていない可能性もある。


 ザギル・バル・グワミ・ゼントは暗くて狭くて静かでジメジメした場所を好んでいる。

 日中、仕事が無ければ魔法で守られた屋敷の地下室で執務を行っており、五老臣の会合がなければそもそも屋敷の中から出ることすらない。かつて魔法魔術学校で教鞭を取っていた頃は外を出歩く機会も多かったが、五老臣になってからはますます外出の機会が減っているようだ。


 どちらにしろ、地下室の位置を見気で捕捉している欅に奇襲が成立する筈も無く、どのタイミングで外に出てきても先制攻撃を仕掛ける準備はあるので困ることはないのだが。



『『『『『『『これで、最後の一人ね』』』』』』』


 最後のヴィクトリアレディを解放した欅はヴィクトリアレディ達に屋敷から離れるように指示を出し、「樹法秘術・神樹木千手掌エデンズ・サウザンド・ハンド」を放って残ったスートランプを全滅させた。

 その直後、地下室へと続く階段からドスドスと足音が聞こえ、一人の禿頭の老人が姿を見せた。


「……や、屋敷が……それに、護衛も全滅……ッ! 貴様がシェンテラ様が仰っていた百合薗圓の仲間か! わ、儂を殺しにきたというのか!?」


『『『『『『『その通りですわ。五老臣――貴方達は今後の魔法の国に不要です。大人しくここで果てなさい!』』』』』』』


「……長年仕えたアヴリス・パッチ・ウネ・ミューザィを裏切り、儂は五老臣の一人になった。ここで果てては何のために裏切ったか分からん! 儂はいずれ魔法の国を統べる者になる。愚かなQueen of Heartを操って国の実権を握り、魔法の国を支配する! 我が覇道の邪魔はさせん! 属性防御魔法エレメントバリア・チェンジ


 ザギルの発動した魔法は火、水、風、土属性のいずれかのダメージ以外を無効化するバリアを張る魔法だ。

 ザギルの保有する対抗魔法の一つで、弱点属性以外の物理攻撃、魔法攻撃を無効化することができるため、突破されない属性であれな尋常ならざる身体能力を有する魔法少女相手にも渡り合うことができる。

 ……ただ、弱点属性は選べないため、運悪く相手の得意な属性が弱点属性に当たると貫通されてしまうという危険もあるが。


『『『『『『『障壁干渉クラッキング・ディフェンス』』』』』』』


 しかし、ローザが開発した「障壁干渉クラッキング・ディフェンス」を使えば、「属性防御魔法エレメントバリア・チェンジ」の効果は無に帰す。

 相手の素の防御以外の強化や障壁の効果を0.001%に低下させる魔法でザギルの防御魔法を事実上無力化した欅はザギルに気取られる前に「属性防御魔法エレメントバリア・チェンジ」を使って生じた油断を突いて一撃で撃破するべく攻撃を仕掛けようとした……が、攻撃をしようとしたタイミングで監査部門を狙って隕石が降り注いだ。


「……『隕石落爆メテオ・ストライク・インパクト』か。あの魔法は三賢者でなければ使用できない。今の時代の魔法使いでは儂も含め、命を魔力に変換しなければ発動できないものだ。……誰が使ったのかは知らぬが、あれを使った者はきっと死を迎えたことだろう。……あれを浴びれば監査部門は壊滅、魔法の国全土にも多大な被害を出すことになるだろう。……いずれにしても、あの魔法を止める術はない。儂の『属性防御魔法エレメントバリア・チェンジ』ならば生き残ることはできるが、魔法の国全土を守り切ることはできぬ。……恐ろしい遺物を使いよって」


 ……まあ、その「属性防御魔法エレメントバリア・チェンジ」も欅にほとんど無力化してしまっているので、「隕石落爆メテオ・ストライク・インパクト」が落下すればザギルも被害を免れないのだが。


 しかし、「隕石落爆メテオ・ストライク・インパクト」は突如出現した漆黒の領域「ブラックホール」に消し飛ばされて消滅――監査部門や魔法の国が被害を受けることなく、コルジの文字通り命を賭けた魔法は無効化されてしまった。


「……まさか、『隕石落爆メテオ・ストライク・インパクト』をこれほどあっさりと無効化してしまうなど……あり得ない」


『『『『『『『当然よ、あの程度の魔法、お姉様なら余裕を持って対処することができるわ』』』』』』』


 ザギルと対峙する欅は誇らしげにブラックホールが出現した上空に一瞥を与えると、すぐにザギルに視線を戻して武装闘気を纏わせた二振りの「星砕ノ木刀・神樹エデン・オブ・スター・ブレーカー」を構え直した。

 お読みくださり、ありがとうございます。

 よろしければ少しスクロールして頂き、『ブックマーク』をポチッと押して、広告下側にある『ポイント評価』【☆☆☆☆☆】で自由に応援いただけると幸いです! それが執筆の大きな大きな支えとなります。【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしてくれたら嬉しいなぁ……(チラッ)


 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ