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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-72 魔法の国事変 scene.12

<三人称全知視点>


 ビターバレンタインはショコラティエ風の魔法少女で「魔法のチョコレート」という固有魔法を持つ。戦闘スタイルは板チョコの壁の生成やホットチョコレートの沼の創造などチョコレートに関するものであれば基本的に何でも行える。

 その見た目から戦えない魔法少女のようにも思えるが、監査部門に所属しているだけあって高い身体能力を有する。


 ビスケット公女は魔法のビスケットでできたミニドレスを纏った魔法少女で「手を叩くと増えるビスケットでできた兵隊を作り出す」という固有魔法を持つ。

 ちなみに、先述のビターバレンタインは一歳年上の姉である。


 ミセスあっぷるは林檎モチーフで林檎のイアリングを嵌め、赤いドレスを纏っている貴婦人のような魔法少女だ。その見た目から林檎にまつわる魔法を使うかと思いきや、固有魔法は「引力と斥力を操作する」というものである。まあ、完全に林檎に関わらない魔法という訳ではないが……。


 そして、テスタメントはヴェールを被ったウェディングドレス姿の魔法少女だ。「破られない約束を結ぶ」という魔法を持ち、この魔法を利用して虚偽の受け答えができないように約束を結んでから取り調べを行う。

 最後の一人――警邏婦警マリエラと共に監査部門(警察組織)に向いている魔法だったため、監査部門にヘッドハンティングされたという経歴を持つ。


 一見すると非戦闘員に見えるテスタメントも含め、全員が荒事にも慣れた戦闘のプロ――テスタメントに関しては魔法の詳細を知っている場合、約束を結ばないように立ち回れば固有魔法を発動されずに済むが、それ以外の魔法少女の固有魔法はどれも凶悪なので戦闘の鍵はいかに四人の魔法を無力化するかという点にあると言っていい。

 ちなみに、身体能力は五人とも高い……が、他の魔法少女達と同じく闘気や八技を使えば十分に討伐可能なレベルに収まっている。


万檎引力アップル・グラヴィティ


 先に仕掛けたのはミセスあっぷるだった。流石に四人を同時に狙うのは難しいと判断したのか、アクアに狙いを定めて強力な引力を発生させる。

 アクアが飛ばされた先は手錠を掴んだ警邏婦警マリエラ――このままでは手錠を掛けられて無力化されてしまうという戦闘開始早々いきなりの窮地に追い込まれたアクアだったが……。


「いい度胸だ!」


 空中で剣を回して逆手に構えたアクアがそのまま引力に身を任せつつ、渾身の斬撃を放つ。

 流石に警邏婦警マリエラもまさか引力をも利用して攻撃を仕掛けてくるとは思っていなかったのだろう。俊身を使って更に加速したアクアの斬撃を受けきれずに浴びた警邏婦警マリエラが壁まで吹き飛ばされる。


 しかし、流石は魔法少女、一撃では落ちない。斬撃を浴びた衝撃で手から手錠を離してしまったが、新たな手錠を今度は二つ取り出してアクアへと連続で投げる。

 アクアは見気と紙躱を使って超人的な回避能力で攻撃を避け切ると、三つの手錠を四次元空間に放り込んだ。その一瞬の隙を突いて新たに投げられた手錠も次々と四次元空間に放り込む。


「さて、そろそろいいか?」


 アクアに向けて投げられた手錠を掴み、アクアが獰猛に笑った瞬間――手を叩く音が聞こえ、一体、二体、三体、と鋼鉄よりも硬いビスケットの兵隊が作り出され、次々とアクアの方へと送り込まれた。


「おいおい、一対一の戦いに水を差すとか無粋じゃねぇか? 俺の親友と戦いたきゃ、俺を倒してから行きやがれ!」


 ディランの魂魄の霸気《影》を使い、《影撃部隊》を発動――無数のディランの形をした影達に武装闘気と覇王の霸気を纏わせてビスケットの兵隊達に嗾しかける。いくら硬いといっても所詮は魔法で強化された鋼鉄程度――覇王の霸気を纏った攻撃を耐え切れるほどの力はない。


「受け取れ! ディラン!」


「おう、ありがとう! ナイスタイミングだぜ! 相棒!」


 アクアから投げられた手錠を受け取ったディランは神速闘気を纏ってから俊身を駆使して一気に加速――それは、身体能力が強化された魔法少女の肉眼でも捉えきれないものだった。

 ビスケット公女は手を叩いて新たなビスケットの兵隊を作り出す間も無くディランの武装闘気を纏わせた拳を腹に受けて壁まで吹き飛ばされ、意識が朦朧としたタイミングで手錠を掛けられる。手錠の効果で変身が解除され、ビスケット公女は五人の中で最初の脱落者となった。


 一方、アクアは警邏婦警マリエラに肉薄して多量の神光闘気を流し込んでダメージを浴びせつつ、ポケットを探って魔法の鍵を回収して四次元空間に放り込み、警邏婦警マリエラが弱り切った手錠を嵌めて無力化した。


 警邏婦警マリエラとビスケット公女が無力化され、残るは三人。

 そのうち、ビターバレンタインはマグノーリエが、ミセスあっぷるとテスタメントはプリムヴェールが引き受けるとアクアとディランにアイコンタクトをした。

 アクアとディランは二人の意思を尊重して裏武装闘気を解除する。無論、敵陣のど真ん中で警戒を解くことは死に直結するため、見気については解除することせず、辺りの様子を絶えず確認して敵の動きを探ることは止めない。


「チョコレートテンタクルス」


 ホットチョコレートの沼から触手のように変化した液体チョコレートが一斉にマグノーリエへと迫る。


「チョコレートは私も好きですけど……チョコレートの触手は要りません! 俊身! 審判の光爆矢ジャッジメント・アローズ!」


 神聖魔法によって作り出した矢を裏武装闘気で作り出した弓に番え、放った瞬間に矢は無数に分裂――チョコレートの触手の中へと次々と突き刺さり、眩い輝きと共に爆発を巻き起こす。

 爆発した部分に「魂霊崩壊エーテリアス・ディスインティグレーション」を引き起こす特殊な光の矢によってチョコレートの触手はほとんどが消し飛ばされた。しかし、ビターバレンタインは僅かに残ったチョコレート液を凝固させて手裏剣を形作り、一斉にマグノーリエに向けて放つ。


 しかも、これはただの手裏剣ではない。チョコレートを操る力で自在に軌道を変化させることができる上に、仮に打ち砕いても砕かれた破片を操って攻撃を続けられるという厄介な効果を持っている。

 仮に僅かでも傷を負えば、チョコレートを血管から侵入させ、脳や心臓といった主要器官に攻撃を仕掛けることも可能だ。


 対策は武装闘気を全身に纏い、チョコレートの侵入を防ぐこと。幸い、ビターチョコレートのチョコレート攻撃にはいずれも武装闘気を突破できる力はない。


「マグノーリエさん、使うといいよ」


「ありがとう、アクアさん」


 アクアから手錠を受け取ったマグノーリエは、「奔流の束撃(デリュージランチャー)」をビターバレンタインに向けて放つ。


「チョコレートウォール」


 しかし、巨大な板チョコに阻まれてマグノーリエの激流は届かない。しかし、僅かではあるが確実に水圧で板チョコは削れており、板チョコの突破も最早時間の問題かと思われた。

 ビターバレンタインが新たな板チョコを生み出すべきかと検討していたタイミングを狙い、三つの魔法陣が展開され、一斉に激流がビターバレンタインに襲い掛かる。


水撃の奔流(ハイドロバースト)! 聖なる鎖セイクリッド・チェーン!」


 激流でダメージを負ったタイミングを狙って聖属性魔法で光の鎖を生成、ビターバレンタインの手足を拘束する。

 そのまま二本の光の鎖を動かして両手を前に突き出させた。マグノーリエはプリムヴェールとは違い魔法以外の戦闘はそこまで得意ではないが(闘気や八技など一通り習得しているため、近接格闘ができないという訳ではないが、あくまで魔法使いベースなのでやはり前線に立てる剣士達や騎士達には遠く及ばない。剣の腕も圓と出会う以前のプリムヴェールにすら劣るレベルである)、ここまでしっかりと場を整えれば魔法少女に近づいて手錠を掛けることも流石にできる。


「チョコレートショット! カカオランス! ッ! やっぱり効かないのね! それに、この鎖も壊れない……このままだと、摩那(まな)みたいに……」


 ビターバレンタイン――甘宮(あまみや)摩耶(まや)の妹摩那(まな)は手錠の効果で魔法少女の変身を解かれ、戦う力を失っている。今のところ敵に危害を加えられてはいないのはまだ救いがある。手錠を解除すれば、また戦線に加わることができるからだ。

 戦う力を失うと思うとゾッとする。抵抗する力がなければ監査部門を守ることはできない。


 しかし、ビターバレンタインの抵抗も虚しく、俊身を使ってビターバレンタインに肉薄したマグノーリエに手錠を掛けられ、魔法少女の変身を解かれてしまった。


「……くっ、確かに私は負けたわ。でも、まだミセスあっぷるとテスタメントが残っている。二人が勝てば、私も摩那も手錠から――」


「残念ですが、それはあり得ません。私の大切な人は、私なんかより遥かに強いんですよ」


 マグノーリエが頬を僅かに赤く染めながら勝気な笑みを浮かべている丁度その頃、プリムヴェールとミセスあっぷる、テスタメントの戦いも熾烈を極めていた。

 前衛にはテスタメントが立ち、ケーキ入刀に使われるリボンのついた長い包丁を振るい、プリムヴェールと斬り結んでいる。


 剣の腕はプリムヴェールが大きく優っているが、最悪のタイミングで後衛のミセスあっぷるが絶妙に引力や斥力を発生させてバランスを崩させに掛かることで戦いはイーブンのまま続いていた。


「な、なんでこれだけ体勢を崩されているのに持ち直せるのよ!」


「どのタイミングで引力や斥力が発生するかは未来視で掴めている。それに、体勢を崩されたぐらいで対応できなければ圓の剣は使いこなせない。……ダークマター・カンタフェイト!」


 圧縮した暗黒物質を剣先から飛ばし、敵の足元に命中させると同時にそこから暗黒物質を顕現して勢いよく地面から噴き上げる闇属性フェイク魔法を威力を落としてテスタメントに放つ。

 痛みのあまり苦悶の表情を浮かべるテスタメントに追い討ちをかけるように残像すら見えず、辛うじて魔法少女の肉眼でも白熱した輝きを捉えることができるほどの光速にも迫る圓式の刺突を的確に急所を外すように次々と放った。


 テスタメントは耐え切れずに膝をつき、ウェディングケーキナイフを落としてしまう。武器を失った一瞬の隙を突いて肉薄したプリムヴェールは手錠を嵌めてテスタメントを無力化する。


万檎斥力アップル・リパルション


 その瞬間――猛烈な斥力がプリムヴェールに襲い掛かる。そのまま壁まで吹き飛ばされるプリムヴェールだったが、俊身を駆使して壁を走って斥力圏を脱出すると、空歩を使って落下するよりも早く横に一直線を描くようにミセスあっぷるに向かって迫る。


「ダークマター・フォージ」


 魔法少女にも不可能な物理法則を逸脱した動きにミセスあっぷるが驚き、一瞬だけ生まれた隙を突くように暗黒物質を剣先から飛ばしてミセスあっぷるにダメージを与える。

 正気を取り戻したミセスあっぷるは「万檎斥力アップル・リパルション」を次々と放つが、プリムヴェールは空歩の蹴る方向を変えることで「万檎斥力アップル・リパルション」を正確に回避し、着実にミセスあっぷるとの距離を詰める。その間も「ダークマター・フォージ」を放つ手は緩まない。


 ミセスあっぷるを殺さないギリギリを狙って蓄積された「ダークマター・フォージ」のダメージが遂にミセスあっぷるに牙を剥き、ミセスあっぷるは膝をついた。それでも抗おうと立ち上がる……が、その頃にはプリムヴェールはミセスあっぷるの至近距離に到達し、足を地面に下ろして剣先をミセスあっぷるの首筋に当てていた。


 そして、剣を持たないもう一方の手には手錠が握られている。

 ミセスあっぷるは最後の抵抗を試み、「万檎斥力アップル・リパルション」を使おうとするが、その前に手錠を片手に掛けられ、魔法少女の変身が解除された。


「これで五人全員撃破だな。マグノーリエ様、念のために鎖で捕縛を」


「分かっているわ。……プリムヴェールさん、マグノーリエ様じゃなくて、マグノーリエさんよ。――もう恋人なんだから」


 ビターバレンタイン以外の四人を念のため裏武装闘気と聖属性魔法を融合した特殊な鎖で拘束してから、マグノーリエ達は更に上の階を目指して走り出した。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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