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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-59 とある日の王女宮の授業風景 scene.1

<一人称視点・ローザ・ラピスラズリ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>


 臨時班メンバーが続々と会議室に残っていき、会議室には最後にラインヴェルド、オルパタータダ、アクア、ディラン、エイミーン、マグノーリエ、プリムヴェールが残った。


「もうそろそろ施錠するんだけど、まだ会議室使うの?」


「いや、そうじゃなくてな。興味深いもの見つけたんで話を聞きたくて待ってたんだ」


「ふーん? 興味深いものって何かあったっけ?」


 「まさか、地下への隠し通路見つけたんじゃないよねぇ?」と裏見気で本心を隠しつつ尋ねると、どうやら別件だったらしい……まあ、あっちはあっちで「あちゃ、気づかれたか」って感じだったんだけど。


「凄いギャラリーなのですよぉ〜」


 ラインヴェルドに引っ張られて連れて行かれた先にあったのは隠し扉……その先にある特別な画廊だ。


「左側が前世、右側が今世か……差し詰め、お前の冒険の記録ってところか?」


「まあ、たまには自分の人生の軌跡も眺めたくなるから作ったんだよ。あっ、この部屋の絵画は持ち出し禁止だからねぇ、複製くらいは作るけど描き直し依頼は受けないよ」


「えっ、複製作ってくれるの!?」


「……作れって顔しているじゃん」


 左側は前世の話を聞いている面々にとっても新鮮だったみたいだ。まあ、ボクの家族がどんな顔なのか知らないからねぇ。


「一枚目は『始まりの日』、幼少頃のボクと月紫さん、父さんと母さんが描かれている。傷を負った月紫さんを追ってきたくノ一をやり過ごした後、治療をしたのがボクにとっての始まりだった。確か、八歳の夏だったねぇ。この時にボクは月紫さんを守ると決意して父さんと母さんに迷惑を掛けないために家を出た。そして、二枚目の『陽夏樹家の陽だまり』の絵にもあるように陽夏樹燈さん達と出会い、少しずつ家族が増えていった」


「……異世界に召喚されなくても濃厚な人生送っていたんだなぁ。クソ楽しそうでいいなぁ」


「オルパタータダ陛下、そんな楽しいものでも……あったか。色々な痛みを抱えて、そういう人が集まって、少しずつ補い合って家族になっていくことができた。大変だったしあっという間だったけど、あの時間は間違いなくボク達にとってはかけがえのないものだった」


「……お嬢様、本当に斎羽さんってヘクトアールに似ているですね」


「本当にそっくりだなぁ、あのサボり魔の庭師と」


「へぇ、色々とやってんだな。『マヤの大予言事件』に、『蒼岩市事件』、『クリスマスのタイアップ企画』に『「ドリルお嬢様の優雅なお茶会」のアフレコ風景』、『「ノーブル・フェニックス」の日常』……気になることがいっぱいだなぁ、まあ、今度、色々と聞かせてもらいたいな。お前の過去の日々を……掻い摘んだものじゃなくて、どんな人生を歩んできたのか、家族や仲間達との思い出とか一緒にな」


「勿論だよ。まあ、時間がある時にゆっくりねぇ」


「……そして、これが『運命の日』か。シャマシュ教国に召喚され、『【ルイン大迷宮】への挑戦』……この二枚だけで色々なことが分かるぜ。というか、やっぱりお前って『(タワー)』の正体に気づいていたんだな?」


「……何のこと?」


「まあ、惚けたいなら惚けておけばいいさ。ふーん、コイツらが圓を殺したのか?」


 ラインヴェルド達に怒りを通り越して殺意を向けられる鮫島大牙、東町太一、聖代橋曙光、「(タワー)」、新宮寺愛望……まあ、愛望はあんまりダメージないだろうけど。


「『二度目の人生』……自分の姿を確認するローザと扉の隙間から覗くアクアが描かれているな。……変質者にしか見えないな」


「プリムヴェールさん、私は変質者じゃないですよ! なあ、ディラン! 援護してくれよ!」


「いやぁ、おじさんもこれは流石にアウトというか、ロリコンにしか見えないな――」


 あっ、「ド阿呆」と叫びながら教育的指導の拳を食らわせてディランを撃墜させた……これは全面的にアクアが悪いのに。


「ここからはビオラ関連の絵が並ぶなぁ……で、カノープス達に真実を明かした場面の次が、ナトゥーフとの出会いで……おいおい、なんだよこれ! 『クソ陛下登場!』じゃねぇよ! 懐かしいなぁ、戦闘使用人達とローザの模擬戦か」


「その次の次が『悪い大人達に拉致られた純粋無垢な公爵令嬢(幼女)』って、アハハハ! ウケるんだけど!」


「おい、圓! これと前の奴の題名変えろよ!」


「致しません、と。まあ、大凡合っているからねぇ。その前のは『義弟ネストとの出会い』……まさか、彼が【血濡れ公爵】を継ぐことになるとは思わなかったねぇ。冒険者活動の絵を挟んで『アクアマリン伯爵家にて、美形兄妹とのお茶会』……あの頃はソフィスとこんな関係になるなんて思わなかった。ボクも乙女ゲーム関係者のソフィスのことは避けようと思っていたし、当初の予定とはかなり違った結果だけどねぇ。まあ、良かったと思うよ」


「つまり俺達のおかげってことだろ?」


「五月蠅い、事実だけどそれ言われるとなんか腹が立つ。そして、次がエルフ編だねぇ」


「『エルフのお姫様と姫騎士』……マグノーリエを守ってアネモネと対峙するプリムヴェールか。この光景、俺達見れてないんだよなぁ」


「……まあ、この時は陛下が使節団のメンバーとして動いていなかったからねぇ。アクア達はボードゲームに興じて全然何もしてくれなかったしちょっと思い出すとイラッとするよ」


「凛々しいプリムヴェールさんなのですよぉ〜」


「……良かった、あの絵ではないんだな」


「ちなみに、プリムヴェールさんご希望の恥ずかしい絵は裏面に」


「だ、誰が希望したって!? ま、圓さん! 今すぐ白く塗り潰してくれ! あれは黒歴史なんだ! あの時はマグノーリエさんが傷付けられるかもと怯えていたし、人間に対する偏見も深かった……本当に申し訳ない態度を取ったと反省している……だから、そろそろ許してくれ!!」


「どうやったら裏側観れるのですか?」


「楽しみなのですよぉ〜」


「絵の隣の壁をちょんと叩くとボタンが出るから、それを押せばいいよ?」


「や、やめて……やめてくれ! マグノーリエ様!」


「マグノーリエさん、ですよ? 押しました」


 マグノーリエってやっぱりドS属性あるなぁ、と思いつつ、これプリムヴェールだけじゃなくてマグノーリエもダメージ受ける奴だけど大丈夫かな?

 純白のドレスを身に纏い、ガラスの靴を履いた姿の赤面する美形エルフの少女二人が馬車に乗り込む姿を描いた一枚絵を見て赤面するマグノーリエとプリムヴェールを放置して更に先へと進む。


「しかし、本当に色々とあったなぁ。バトルロイヤルに、使節団派遣に、フォルトナ王国の擾乱、『怠惰』戦、ルヴェリオス帝国での戦い……そして、王女宮での生活の日々、ペドレリーア大陸への使節団派遣……お前がどんな人生を送ってきたのか、この場所に来て絵を眺めれば、大体分かるし、こういうことあったなぁ、って思い出せる。……その、『王女宮の仲間達と』の一枚、後で複製貰えるか?」


「了解。やっぱり、この絵を欲しがると思ったよ」


「……で、ここに明日からの新たな戦いの絵が飾られるのか?」


 今はまだ何も飾られていない空白の壁、ここにラインヴェルドの言うように新たな絵を飾るつもりだ。

 ……場合によっては一枚で済まない可能性もあるけど。


「まあ、そうだねぇ。ここに新たな絵を飾るためにもこの戦い、絶対に負けられない」


「いや、お前が負けるなんて万に一つもあり得ないけどな! まあ、他の臨時班のメンバーも負けないように組んだようだし大丈夫だろ?」


「絶対はないけど、多分大丈夫だよ。……ってか、陛下達に関しては王としての執務もあるんだからしっかりとやることやってねぇ。その約束で臨時班のメンバーに入れているんだから」


「分かっている分かっているって……しかし、魔法の国の一件が終わったら冒険者親子の父親の方に準男爵の叙爵か。これからますます楽しくなってきそうだなぁ! なあ? 親友?」


「まあ、面倒なことこの上ないけど、ボクが求めるものを得るために必要なプロセスだからねぇ。しっかり励むしかないか……ってボクは王女宮筆頭侍女としての職務に励み、魔法学園の改革に着手するだけだけど。それよりも、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸の不穏さが気になるし、手遅れにならないように学院都市セントピュセルに潜入しようと思っているから更に忙しくなるねぇ」


「忙しくなるって言いつつ楽しそうな顔しているじゃねぇか! 流石、仕事中毒(ワーカーホリック)!! ってか、お前だけでクソ楽しいこと独り占めするんじゃねぇぞ! 美味しいところは俺に寄越せ!」


「……なんか腹立つ物言いだけど、今回の臨時班のメンバーにはペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸の方でも頑張ってもらうつもりだからねぇ。頼りにしているよ」


「おう、任せておけ!」



 三千世界の烏を殺して王女宮筆頭侍女の執務室に飛び、プリムラを起こしにいく。

 朝食を配膳し、朝餉が終わったタイミングで授業というのが恒例の流れなんだけど……。


「姫さま、少しよろしいでしょうか?」


「何かしら? ソフィス? どうしたの?」


 ソフィスが少し時間をもらいたいと願い出た。まあ、何をしたいかは大凡察しがつくけどねぇ。


「明日からですが、時空騎士(クロノス・マスター)の任務でしばらく王都を離れることになります。重要な任務でして、その間、王女宮の侍女の仕事を休ませて頂きたいのですが大丈夫でしょうか?」


時空騎士(クロノス・マスター)の任務? 重要なお仕事なら仕方がないわね。分かったわ。……でも、大丈夫かしら? 私もあまり詳しくはないのだけれど、時空騎士(クロノス・マスター)の任務は危険と隣り合わせなのよね?」


「そうですわね。多種族同盟の上位の者達……つまり、この国の騎士団長達にも比肩する猛者が力を惜しみなく振るわなければ達成できない任務のようなものですから。私は園遊会の場で襲撃者と戦い、その実力を見込まれて時空騎士(クロノス・マスター)に選ばれた新参者ですから今回の任務でしっかりと実力を示したいと思っています。大丈夫です、任された任務も比較的簡単なものですから、すぐに戻ってきますよ」


「そうなのね! 良かったわ!」


「姫さま、もし宜しければ本日の授業は時空騎士(クロノス・マスター)についての講義に致しましょうか?」


「お願いできるかしら? 私達がこうして平和に暮らせるのも時空騎士(クロノス・マスター)の皆様のおかげなのでしょう? 知らないままで居たら感謝することもできないし、この機会に知っておきたいの。勿論、ローザの話せる範囲で構わないわ」


 感謝の心を忘れないプリムラ可愛い。……まあ、国防はあんまりメインになっていないどころか率先して油を撒きに行っているところもあるから非常に申し訳ないんだけどねぇ。


「私もあまり詳しくことは知らされていない身ですから、話せることには限りがありますができる限り説明させて頂きますね」


 ……と言ったら、シェルロッタとメアリーとヴィオリューテにジト目を向けられた。……君達、ローザとアネモネが別人扱いになっていること、すっかり忘れていないかな?

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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