Act.2-19 Gateway dragons dungeon!! scene.3
<一人称視点・ラナンキュラス>
〜蒼岩の洞窟 2F〜
階段を見つけて順調に攻略……とはいかない。やはり、ダンジョン攻略にはモンスターとの戦闘が付きもの。ということで……。
「ウィンドドラゴン(HP4500)だねぇ……ラスボスの紫の女神アメジスタが(HP19999)で、裏ボスの大いなる邪神の像が(HP39999)……確かラスダンの敵平均HPが4400くらいだったからラスダンの雑魚敵よりも強いってことになるねぇ……」
まあ、既存の不思議のダンジョン以外のものを導入できるようになっている時点で、このHPの優位性ってのはあってないようなものなんなけど(ちなみに、不思議のダンジョン時代のHPの最大値は999だった)。
「神速のエチュード、舞踏のパヴァーヌ、フォルティシシシモ、スフォルツァンド、アサシンズダンス」
援護歌と呼ばれる吟遊詩人系の特技を多用し、神速のエチュードで周囲の仲間と自分の武器攻撃速度と命中率を上昇させ、舞踏のパヴァーヌで周囲の味方と自分の敏捷性を上昇させ、フォルティシシシモで周囲の仲間と自分の攻撃力を特大上昇させ、スフォルツァンドで自分の攻撃力を更に特大上昇させ、連続で暗剣を繰り出すアサシンズダンスを放つというコンボ……『Eternal Fairytale On-line』時代は五連続とか六連続とかやったんだけどねぇ……まさかの一撃って。……これがゲーム設定の壁か。異種格闘技になった時点で制限が生じて無際限にインフレしている作品が勝つようになるっていうアレねぇ。
ウィンドドラゴンが落とした魔法薬を拾ってみる。
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ラナンキュラスはジュルジュルの薬を拾った!
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また未鑑定アイテムが出た……今度の魔法薬は真面な奴がいいなぁ……さっきのクッキーはゲームの時は重要なアイテムだったけど、お腹ゲージが無くなったらただのしっとりとしたクッキーだし……。
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アムリタ… 幻の霊薬。HPとMPを999回復します。
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凄いけど! 凄いけどッ!? 激レア消費アイテムだけど!?
なんだろう……この999っていうジョボさ。MMORPG『Eternal Fairytale On-line』だと上質回復薬の時点で4,000は回復できた筈だし。
まあ、調合とかの素材にすればいいか……凄い罰当たりな気がするけど。アイテムの価値的に。
「お嬢様、二体目のドラゴンが!」
「ブリザードドラゴン(HP4500)だねぇ……。ボクは一体狩ったし、次のはヘレナさん達の方で狩ってもらえないかな?」
「…………畏まりました」
毒を塗った短刀を鞘から抜き払い、幻惑魔法で発生させた霧の中に刀を持って突撃していくカレンと共に右と左から挟撃を仕掛けるヘイズ。
一方、真正面からは弓に雷の矢を番えたヘレナが絶え間なく雷の矢を放ち、サリアが器用に雷の矢を避けながら二本のナイフで連続攻撃を仕掛ける……「烈刃嵐撃-滅茶苦茶斬る-」よりは攻撃回数が少ないけどかなり速い攻撃だねぇ。
きっちり連携が取れて攻撃も洗練されている……流石は【ブライトネス王家の裏の剣】というところだねぇ。
ブリザードドラゴンも呆気なく討伐完了……これってボクが強いとかそういう話じゃないってことだよねぇ。……ゲームバランスが崩壊している。
「ローザお嬢様、何か落としましたよ。本のようですが……」
というか……凄いドロップ率だねぇ。必ず何かは落とす仕様なのかな? このダンジョン。……そこまで高いドロップ率に設定した記憶がないんだけど。
『圓さん、またクッキーを拾ったよ』
そして、相変わらずマイペースに屑アイテムのクッキーを拾ってくる古代竜。……はぁ。
古代竜からクッキーだったクッキーを、ヘイズから魔法書を受け取って鑑定してみる――。
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ダイエットクッキー…ダイエット用のクッキー。満腹度を50%回復して、そのダンジョン内でのみ満腹度最大値10%低下させます。
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ミーティアの書…隕石を降らせる魔法が書かれた書物。周囲3マス全体に無属性のダメージを与えます。
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「ヘイズさんの方は大当たりだねぇ。隕石を落とせる魔法の書物みたいだよ」
「…………なんでそんな危険な書物を普通に敵が落とすのですか?」
……あれ? なんで喜ばないの? これって結構レアドロップなんだけどねぇ。
「古代竜さんのはダイエットクッキーだねぇ……。満腹度を50%回復して、そのダンジョン内でのみ満腹度最大値10%低下させるハズレアイテ……ハズレ? これってハズレアイテムの筈だよねぇ」
本来、不思議のダンジョンを攻略する際にはHPにダイレクトに響いてくるお腹をいかに保ったまま探索するかということが重要になるんだけど……異世界化してからお腹のゲージは存在しないし、本当にお腹が減れば餓死みたいなもっと直接的な結果になる。
だから満腹度の設定は関係ない。クッキー一個で回復できるエネルギー量には限度があるし、それなら黒パンとかを持ち込んだ方が建設的だと思うんだけど……でも、ダイエットのフレーバーテキストは健在だよねぇ。これ、試してみないと分からないけど、もしボクの予想が当たっていたら美を求める女性相手のビジネスに……。
「古代竜さん、もしクッキーを見つけたら集めてボクにくれないかな? 普通のクッキーなら古代竜さんにあげるから」
「……お嬢様、何か思いついたのですね。物凄い悪い顔をしています」
ヘレナ、これは悪い顔じゃないんだよ? いい商売を思いついた商人の顔なんだよ??
それからボク達は3F、4F、5Fと順調に進んでいった。
出現するモンスターはファイアドラゴン、ブリザードドラゴン、ウィンドドラゴン、サンダードラゴン、アースドラゴンの五体でHPは一律4500とはっきり言って全く相手にならなかった。
古代竜のドラゴンブレス(口からではなく指からビームみたいに出すこともできる)で一撃、【ブライトネス王家の裏の剣】の連携攻撃で無傷で勝利可能ってところかな?
ちなみに、ボクのラナンキュラスを含め、サブキャラは全て戦闘系五大ギルドの『白嶺騎士団』、『厨二魔導大隊』、『MilkyWay』、『満天空賊団』のギルマスと同等レベルということになっている。まあ、低級レイドなら一人でこなせてしまうギルマスクラスが本気で戦ったら当然システム的不利を背負っている『不思議のダンジョン;ゲートウェイフロンティア』のモンスターに勝ち目はないよねぇ。
そして、ダンジョン攻略にも余裕が出てきたということで階段探しからダンジョン全探索に切り替えていき、結果としてかなりの戦利品を勝ち取ることになった。
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ダイエットクッキー…ダイエット用のクッキー。満腹度を50%回復して、そのダンジョン内でのみ満腹度の最大値10%低下させます。
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超高級クッキー…超高級なクッキー。満腹度を200%回復して、そのダンジョン内でのみ満腹度の最大値を10%上昇させます。
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マキシポーション…回復薬。HPを999回復します。
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マキシエーテル…回復薬。MPを999回復します。
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……まあ、これだけじゃないんだけどねぇ。加速薬、鈍足薬、爆発薬、猛撃薬、悪魔の秘薬、大悪魔の秘薬、万能薬、ダイエット薬、高カロリー薬といった薬品類、山盛りの超高級クッキーとダイエットクッキー、召集オーブ、脱出オーブといったオーブの数々、ミーティアの書などの魔法書などなど拾えるものの中から厳選に厳選を重ねてこれぞというものをとにかく集めまくった。
そうして辿り着いた10F……鍾乳洞みたいな場所に出た。
最奥にあった魔法陣に全員で乗ると魔法陣が眩く輝いて……。
気がつくとドラゴネスト・マウンテンの山頂の花畑だった…………はっ? これって何も解決してないじゃん。ゲートウェイは健在だし……。
「とりあえず、お疲れ様? 何も達成できていない気がするけど。それじゃあ、ボク達は屋敷に帰るから何かあったらブライトネス王国のラピスラズリ公爵家の屋敷に連絡を入れてねぇ」
そう言って、ボク達は古代竜と分かれて屋敷に戻った。まあ、これでボク達と古代竜が逢うこともないだろう。素敵なドラゴンライフを……って思っていたんだけど。
別にボク達が不思議のダンジョンの探索に向かってそこで古代竜と再会したってことじゃないよ。
聞いて驚かないでねぇ。……古代竜が『来ちゃった!』って飛んできちゃったんだよ――ドラゴネスト・マウンテンからラピスラズリ公爵家屋敷に。……いや、確かに「何かあったらブライトネス王国のラピスラズリ公爵家の屋敷に連絡を入れてねぇ」とは言ったけどさぁ、まさか一週間後に飛んでくるとは思わないでしょう? ……思わないよねぇ。
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それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。
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