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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-54 メアレイズの凱旋帰国 scene.3

<三人称全知視点>


「ゴルジュ大峡谷は難所じゃ。強力な魔物が犇いておる。それ故に、長きに渡り人間の侵攻から我々を守ってきた。しかし、見方を変えれば我々にとっても厄介な場所ということになる。儂は濃霧の中、渓谷を彷徨っていた。その間に聖人の領域に到達できたことで聖属性魔法を手に入れた。それ以降はかなり戦いは楽になったのぅ。そのままユミル自由同盟に戻るつもりだったんじゃが、渓谷の中で偶然迷宮を見つけてのぅ」


「……それで、興味を優先して迷宮に入っちゃったってことか。凄い人だねぇ、ヴェルディエさんの師匠って」


「……ラインヴェルド陛下やオルパタータダ陛下、エイミーン様と同じ匂いがするじゃろう? ……しかし、まさか師匠が聖人の領域に到達しておったとは。まあ、儂でも至ることができた領域じゃから師匠なら余裕か」


「そう余裕でも無かったがのぅ。……そして、その迷宮を攻略した結果、オルゴーゥン魔族王国の辺境に到達し、その後紆余曲折あって負傷していた魔王軍幹部の一人で竜人族のエドヴァルト=オークァスを救ったことで食客としてもてなされていたのじゃ。その後、しばらく辺境に留まっていたが、そこに全ての竜人族の祖であり竜人族にとっては神にも等しい存在である〝暗黒竜〟オスクロ・スコタディ・ラズルシェーニエに興味を持ってやってきたというノイシュタイン卿が現れてのぅ。かなりの争いになったものじゃ。まあ、儂、小心者じゃから戦いには加わらんかったし、戦いに行こうとするエドヴァルトや他の竜人達のことも止めたがのぅ。元々、オスクロは自信家で暴れ者、竜人族を庇護する訳もなく無関心を貫き、魔王軍にも与せず各地で暴れ回っていたようじゃが、ノイシュタイン卿に一撃でやられて戦奴(エインヘリャル)にされてしもうた。まあ、その結果、大人しくなったから良かったかもしれぬが。その後はノイシュタイン卿もオスクロの巣にしていたとある山に留まっておったが、つい先日、人事部門所属を名乗る魔法少女とやらが三人現れてのぅ。竜人族であっても苦戦する相手にノインシュタイン卿は無傷で勝利した……儂はノイシュタイン卿と奴等が同族かと思ったがどうやら同族では無かったらしい。どうやらノイシュタイン卿にとっても興味深い奴等らしくてのぅ、そこで儂がユミル自由同盟出身であることを知ったノイシュタイン卿にユミル自由同盟経由でローザ嬢にこのことを伝えるように依頼され、フォトロズ大山脈地帯を突破してド=ワンド大洞窟王国経由で久しぶりに帰国したという訳じゃ」


「つまり、そんな重要なローザ様への報告のことを丸っ切り忘れて文官試験に励んでいたってことでございますか!?」


「まあ、こうして伝えることができたのじゃ! 結果良ければ全て良しじゃ!」


「……まあ、一応ナイスタイミングではあるしいいんじゃないかな? オーガイル様、ノイシュタイン様からの報告、無事に受け取りました。ありがとうございました」


「礼には及ばんよ」


「しかし、ローザ? ノイシュタインってルヴェリオス帝国で一度会っているんだよな? その時にスマホとか渡さなかったのか? それならわざわざオーガイルを経由して連絡入れてくることも無かったんじゃないか?」


「渡したいのは山々だったんだけど、あの人呪われているんじゃないっていうほどの機械音痴でねぇ。一応、何か掴んだら何かしらの形でコンタクトを取ってくれるって言っていたんだけど、あれから音信不通。まあ、どこかに縛られるような人じゃないし、必要になったら何かしらの形でコンタクトを取ってくるとは思っていたけど。一応、ラピスラズリ公爵邸の場所は教えておいたしねぇ。……しかし、約五年後のこんな絶妙なタイミングで絶妙な連絡を入れてくるとは想像していなかったよ。となると、今回の件はノイシュタインとの合同作戦になるかな? まあ、情報の交換だけして、後はお互い好きにやりましょうってことになると思うけど」


 ノイシュタインにはノイシュタインの思惑があって、今回の魔法の国への襲撃に一枚噛んでくる筈だ。


 ノイシュタインは圓と共闘した縁があり、ラツムニゥンエルという共通の友人を持つが、それだけである。圓の仲間や配下という訳では恐らく指示には従わない……まあ、こちらの思惑を伝えればある程度は慮って行動してくれるくらいの配慮はあるだろうが。


「まあ、とりあえずノイシュタインさんが来るのを待ってそれから出発ってことになりそうだねぇ。……それまでに臨時班の選定を……」


「勿論! 俺は参加だよな!?」


「私も参加したいのですよぉ〜!!」


「はいはい……まあ、今回はペドレリーア大陸の件も含めたメンバー選びをするつもりだから選ばれる可能性は高いと思うけど、アクア、ディラン大臣閣下、マグノーリエさん、プリムヴェールさん、スティーリア、菊夜さん、沙羅さん、汀さん、クレールさん、デルフィーナさん、雪菜さん、黒華さん、桃花さん、篝火さん、美結さん、小筆さん、シーラさん、ラファエロさん、ネスト、ソフィスさん、ルーネス殿下、サレム殿下、アインス殿下、ミリアムさん、アルベルトさん以外のメンバーはまだ決まってないからねぇ」


「おいちょっと待て! それってほとんど決まっちまっているんじゃねぇか!?」


「やったな相棒! また俺達臨時班メンバーに選ばれたぜ!」


「というか、アクア、ディランさん、マグノーリエさん、プリムヴェールさんは固定だからねぇ。じゃあ、当時の発表をお楽しみに……さぁて、誰にしよっかな?」


「絶対に俺を選べよ! 絶対だぞ!」


「こんなクソ国王より絶対に私の方がいいと思うのですよぉ〜」


「じゃあね〜」


 醜い争いをするラインヴェルドとエイミーンを置き去りにしてリーリエは『管理者権限・全移動』で謁見の間から姿を消した。



<一人称視点・ローザ・ラピスラズリ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>


 本日も午後から神学の授業ということでプリムラはジョナサンと共に神殿に向かった。

 ……というか、いつの間にかジョナサンが来るのがデフォルトになっているけど、本当に人選大丈夫って言いたくなるねぇ。プリムラへの悪影響が心配だよ。


 ボクの方は今日の書類仕事も粗方終わらせ、臨時班の派遣に向けた最後の仕事を進めていた。


「ローザ様、そろそろ休憩を取ってはどうでしょうか?」


「ありがとうございます、オルゲルトさん。そうですねぇ、もう少しで終わりますので、折角淹れて下さった紅茶ですがこれが終わってから飲ませて頂きます」


 オルゲルトから紅茶を受け取って机に置き、万年筆を動かすローザ。


「既に書類仕事の方は終わらせていらっしゃるのですね。……そちらは」


「臨時班の選定が完了しましたので、臨時班のメンバーに選ばれた方々への手紙を書いているところです。臨時班に選ばれたことと、その他に臨時班のメンバーとして選ばれた方々の名前、そして具体的な任務の内容を簡潔に書いてあります。勿論、都合の悪いということで断られる可能性もあるので、メンバーに関してはあくまで暫定ですが」


「……時空騎士(クロノス・マスター)の中にローザ様の臨時班任務を断る者などいないと私は思いますが。……ということは、ローザ様はしばらく更に忙しくなるということですな。王女宮筆頭侍女の仕事に加え、ビオラや領主としての仕事……本当に頭が下がります」


「まあ、趣味も入っていますし、一度手をつけたことは最後までやり遂げないと気が済みませんから」


 「これで良し」と全ての手紙を書き終えて封筒の封をしたところで、天井裏からスッと、人が飛び降りてきた。


「ラピスラズリ公爵邸にノイシュタイン賢人卿、到着致しました。〝暗黒竜〟オスクロと捕縛された魔法少女三名の姿も確認しております」


「お疲れ様、『陰者(ヒドゥン)』。申し訳ないんだけど、この手紙をそれぞれの宛先に届けてもらえないかな? それと、手紙の内容を一応口頭でも伝えて参加するかしないかを確認してきてもらいたい。頼めるかな?」


「承知致しました」


「じゃあ、これが手紙の内容のメモ。ちょっと面倒だと思うけど頼んだよ」


「重要な任務、謹んでお受け致します」


 シャルティローサは手紙を受け取ると一瞬にして姿を消した。


「……次から次へと大変でございますね」


「まあ、大したことではありませんよ。仕事も終わっていますし、プリムラ姫殿下が戻ってくるまでには戻ってきます。申し訳ございませんが、後はよろしくお願いします」


「承知致しました」



 ラピスラズリ公爵邸に転移すると、公爵邸の中庭に降り立った漆黒の古代竜エンシェント・ドラゴンとノイシュタイン、そして法儀賢國フォン・デ・シアコル産の魔封じの鎖で縛られた三人の魔法少女の姿があった。


 庭にはカリエンテとスティーリアの姿がある。


 ちなみにラファールは従魔となって以降、風の国ウェントゥスとブライトネス王国のラピスラズリ公爵邸を行き来する生活をしていたんだけど、アリシータが中庸枢軸教会の天法導皇に選ばれて以降はアリシータの負担が増えているため、その補佐役として活動することが増えて全体的にこっちに戻ってくる回数が一週間に一回程度にまで減っている。

 まだまだ黒百合聖女神聖法神聖教会体制になって日が浅く混乱も多いから、なかなかこっちに顔を出せなくなることをラファールは申し訳なさそうに伝えつつアリシータの補佐に回る許可をもらいに来ていたけど、別に謝ることでもないと思うけどねぇ。寧ろ、その混乱を作り出した当事者はボクな訳で、恨まれてもおかしくはないと思うんだけど。


 ラファールはボクの従魔という扱いだし、ボクを最優先にしなければならないと思っているかもしれないけど、ボクはそういうのあんまり気にしていない。……というか、そんなこと言い出したら書き置きも無しにフラフラと思いついたように出かけては激辛巡りしたり、マグマ風呂に湯治に行ったりしているそこの自由人(カリエンテ)はどうなるんだよって話だよ!

 まあ、別にいいんだけどさぁ……書き置きかどこに出掛けるか伝えるくらいはしてもらいたいものだよ。……一応大人なんだしさぁ、最低限のことはしてもらいたいよ。


 どうやら今日はカリエンテも在宅だったらしく、念のためにカトレヤとカルミアを避難させたスティーリアと共に庭に出てきて警戒……していたらしく、二人を見つけたオスクロから「全ての生物の頂点に君臨する古代竜エンシェント・ドラゴンともあろう者が、矮小な人間のペットとは情けない」という、それ一歩間違ったらブーメランだよ! と言いたくなるような挑発をした結果、カリエンテとスティーリアにボコボコにされたようだ。……ところどころ凍っているし、焦げ跡も目立つ……まあ、流石に殺さないように手加減したとはいえ、カリエンテとスティーリアは強化済みのレイドランク、逆立ちしたって勝てる訳がないって。


『というか、それを言うならお前だって戦奴(エインヘリャル)にされて使役されているではないか!』


『ぐぬぬ、こんなものさえなければ……』


「聖痕は法儀賢國フォン・デ・シアコルで最も強力な契約術――ナリミカ式本契約という黒っぽい紙を使う契約術よりも更に強力、聖痕を刻まれた者の魂は支配され、戦奴(エインヘリャル)となった者はノイシュタイン卿の意志に叛くことができなくなる。更に、戦奴(エインヘリャル)はノイシュタイン卿の一部となっているから戦闘力は戦奴(エインヘリャル)の分まで加算される。まあ、そもそも法儀賢國フォン・デ・シアコルの八賢人時代は数多の戦奴(エインヘリャル)を従えながら、その総軍を遥かに超える戦闘力をもっていた。勝てる訳がないよ。……しかし、まさか魔法少女を捕らえたのにも拘らす戦奴(エインヘリャル)にしていないとはねぇ。ちょっと驚いたよ」


 というか、戦奴(エインヘリャル)もこのオスクロ一人だけなんじゃないかな? 何人も引き連れていた法儀賢國フォン・デ・シアコル時代を考えたら想像もつかない状況だねぇ。何か心変わりすることでもあったのかな?

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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