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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-49 新たな諜報員達と『フォーリアの指輪』 scene.1

<一人称視点・ローザ・ラピスラズリ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>


 菊夜と沙羅の修行に付き合いつつ、いつも通り王女宮筆頭侍女の仕事とビオラの仕事を進める日常を送っていたボクのスマートフォンに昼頃、一件のメールが入り、その後すぐにメアレイズからの依頼で派遣していたシャルティローサが、縄でぐるぐる巻きの芋虫にされたグランビューテと三人の高位貴族らしき男と貴族令嬢を伴ってボクの管理する屋敷の一つに姿を見せた。


 この様子だとロッツヴェルデ王国との戦争は終盤に入ったか、既に終わったかのどちらかみたいだねぇ。まあ、仮に終盤でも終戦まで秒読みだと思うけど……あのメアレイズが仕損じるなんてことあり得ないしねぇ。


「そこのグランビューテ王子のことは流石に知っているよ。園遊会で散々トラブルを起こしていたからねぇ。ただ、残りの四人については見覚えがないねぇ。……家名聞けば分かるかもしれないけど」


「やはり、ご存じありませんでしたか。一番右の顔が怖いのがフォーテュード=エビーナ公爵令息、隣の眼鏡かけた学者タイプなのがジェルファ=トッリィ公爵令息、そして声が五月蠅いのがオーガスタ=イノーマタ公爵令息。そして、自称ヒロインのフォーリア=スヴィルカーチ男爵令嬢です。まあ、実際は婚約者がいる王子にモーション掛けるだけに留まらずハーレム構築のために三人の公爵令息にモーションを掛けた尻軽女ですが」


「……転生者が陥りがちなパターンだねぇ。ただ、やっぱり聞いたことがないねぇ。……流石に宰相と騎士団長と宮廷魔法師長の家名と名前くらいは知っているけど。……ということは例の件の重要参考人として引っ張ってきてくれたのかな? 有難いねぇ」


「貴様! フォーリナを尻軽女呼ばわりだと! 未来の王妃にそのような口を聞くことなど許されんぞ! それに俺はロッツヴェルデ王国の王子だ! その俺にこんな横暴、許されると思っているのか!! ……見たところ高貴な貴族令嬢、顔はいいが性格の悪さが滲み出ているな! 今すぐ俺とフォーリナを解放し泣いて懇願すれば妾くらいにはしてやる!」


「……ってか、それならそこの三匹も纏めて解放しろっていうべきところじゃない?」


「ふん、こいつらは従順なフリをして王位簒奪を狙った薄汚い悪党どもだ」


「あっそ……まあ、解放する訳がないんだけどねぇ。しかし、これは随分と骨が折れそうだ。……これくらいじゃないと張り合いがないよねぇ。懐かしいなぁ、エイフィリプ=パーバスディークの時は男尊女卑が完全に根付いちゃった問題児だったからねぇ。過去の女性達の苦しみを追体験して心を壊して……その後、ボク好みに染めて……楽しかったねぇ」


「……ローザ様、ドSなところが出てしまっています」


「……おっと、ごめんなさいねぇ。とりあえず、その四人は後でボクが一人ずつ順番に落とすから別々の部屋に放り込んでおいて。一応、見張りも兼ねてメイド(・・・)を二人ずつ配置しておいてもらえないかな? 一応、高貴な身分の方々だからねぇ。丁重におもてなしをして差し上げるように」


「この中で一番高貴な身分なのはローザ様だと思いますが……メイド二名ですね。承知致しました」


 まあ、メイドっていうのは諜報部隊フルール・ド・アンブラルの諜報員――つまり、グランビューテ、オーガスタ、ジェルファ、フォーテュードにとっては今後先輩になる方々ということになるねぇ。当然、一対一でも勝てる筈の無い相手が二人……逃げ出すことなんて不可能。まあ、仮に二人から逃げ仰せたとしてもここから逃げ出して帰国なんて不可能だけど。

 そもそもここがどこかも分かっていないだろうからねぇ。


 最後の男として過ごせる時間だ(本人達は自分達が彼女達のようになるとは思ってもいないだろうけど)、せいぜい楽しい時間を過ごしてもらおう。まあ、その後の方がもっと楽しい時間になるだろうけどねぇ……オホホホ。

 ……まあ、一応捕虜? っていう扱いになるんだけど、この王子達、あんまりそれを理解していないっぽいんだよねぇ。特にジェルファ……だっけ? 彼は女は慰み物なんて思っている典型的な男尊女卑思想者みたいだし……諜報部隊フルール・ド・アンブラルの諜報員は全員思わず振り返ってしまいたくなるような絶世の美女だからねぇ。万が一、手を出そうとしてきた場合には返り討ちにしても構わないと伝えておかないと……まあ、指示出さなくても勝手に返り討ちにすると思うけどさぁ。


 さて、邪魔者が消えたところで一対一の対談と行きますか。

 フォーリア=スヴィルカーチ男爵令嬢だっけ? えっと……転生前の名前は……。


「初めまして、フォーリア=スヴィルカーチ男爵令嬢だねぇ。……いや、蕗谷(ふきや)(みお)さんって呼んだ方がいいかな?」


「悪役令嬢ローザ=ラピスラズリ……貴女も転生者ということね」


「まあ、そういうことになるねぇ。ボクの前世の名前は百合薗圓……って言われても分からないか。フルール・ドリスという名前の方が馴染みがあるんじゃないかな?」


「『フォーリアの指輪』や『スターチス・レコード』で有名なフルール・ドリス先生!? えっ、先生も転生していたのですか!?」


 ……急に態度が変わったねぇ。彼女にとってフルール・ドリスは憧れの存在なのかな? ボクのことではないけど嬉しいねぇ。


「ただし別世界の、という注釈が付くけどねぇ。『フォーリアの指輪』という作品を作った記憶はボクにない。そして、ボクの予想だとボクの知る『スターチス・レコード』と君の知っている『スターチス・レコード』は恐らく別物だよ。まあ、悪役令嬢ローザ=ラピスラズリが登場するのは同じだけどねぇ」


 フォーリアの話を聞く前にとりあえずこの世界に関する情報を開示することにした。


 この世界が三十のゲームが融合した世界であること、そしてそのゲームの名前やボクのローザ=ラピスラズリとして送ってきた半生について。

 予想通り、そのゲーム群の中にフォーリアの知る物はほとんど無かった。


「……MMORPG『Eternal Fairytale On-line』の名前は聞いたことがあるわ。でも、私の知っているフルール・ドリス先生はその後『スターチス・レコード』を発売し、『スターチス・レコード』と世界観を共有する作品群を次々と発売していった。『フォルトナ王国の黄昏』、『フォーリアの指輪』。……ただ、『這い寄る混沌の蛇』の名前は聞いたことあるわ。秩序を崩壊させる邪神を信仰する異教徒……確か名前は……えっとなんだったかしら?」


「蛇神Aponyathorlapetep……アポニャソーレーペテップだねぇ。それも没設定だった筈なんだけどねぇ……ということは、やっぱりその可能性があるのか、これは確かめるしか無さそうだねぇ」


「しかし、随分とハードな人生を送ってきたんですね、フルール・ドリス先生は。……婚約破棄されないように立ち回るというレベルが精々のところを『管理者権限』を持つ神? 三十のゲームの支配者達を相手に熾烈な戦いを繰り広げているのですよね? それって、悪役令嬢の仕事なのでしょうか?」


「ボクは君の知るフルール・ドリス先生ではないけど、ボクのことも先生呼びって君としてはいいのかな? どう呼んでいいか困っているなら圓とかローザとか、まあ適当に呼んでくれればいいんだけど。……既に例の三人で理解してもらえているとは思うけど、この世界は乙女ゲームの枠を越えている。複雑に入り乱れ、変なところで接続していて、正直ボクも手探りの状態なんだ。その時代の畝りは間違いなく近いうちにこの大陸を、そして世界を飲み込むだろう。まあ、その前に君はあのクソ王子と仲良くさよならポイッされていたと思うけどねぇ」


「……あの、王子殿下はこの後どうなるのでしょうか? その……確かに婚約者がいながら私の誘惑に引っかかるようなアホですし、傲慢が過ぎるところはあるとは思いますが、それでも私に好きだと言ってくれた方ですから」


「あいつらはボクの手で身も心も女の子に染めてボクの従魔……まあ、人工的な魔物みたいなものだねぇ。その従魔の白夜さんがリーダーで、さっき君達を捕まえてここまで連れてきたシャルティローサさんがサブリーダーを務めるビオラ商会合同会社警備部門警備企画課諜報工作局、通称、諜報部隊フルール・ド・アンブラルの諜報員になってもらう。……まあ、命は取らないから安心してねぇ、少々性格は変わると思うけど」


「……心配しかありません、要するに洗脳するということですよね?」


「洗脳、まあ、やり口は似ているか。男としての矜持を砕くか、或いは女性に対して非道な行いをしてきた者には女性側の立ち位置でその記憶を追体験させて心を折り、その後、優しく女性として生きることがいかに楽しいことが、幸せなことなのかを教え込むんだよ。……正直、君も性格がクソだったら何かしらの方法で心を折って……と思っていたけど、どうやら違うみたいだしねぇ。大好きな乙女ゲームの世界に転生し、しかも転生先は全てを与えられたヒロインとなれば自分は選ばれし者だと思って傍若無人に振る舞ってしまうことはよくあること。近年の乙女ゲームを扱った転生小説だと勘違いヒロインキャラって多いよねぇ……相対的に悪役令嬢の立場だった子の株が上がっていく訳だけど。後、その勘違いヒロインを全力で肯定しようとする王子が馬鹿キャラと化していく。……君はちょっと、というかかなりやり過ぎたみたいだねぇ。君も本当は気づいていたんじゃないかな? 魔法学園で王子や将来有望な高位貴族に囲まれる君を疎ましそうに見る貴族令嬢達の姿を。……王子達を籠絡し、宝石を、ドレスを、色々なものをねだり、そして度重なる増税で民を苦しめた……気づいていなかったかもしれないけど、君はねぇ、悪役令嬢ローザなんて比較にならないほどの悪女なんだよ?」


「そう……ね。思い返せば、私って最低の人間よね。……レティーシャ=アマルファド公爵令嬢もきっと私のことを思って注意をしてくれた……それなのに、私は酷いことを言われたと嘘泣きをして、グランビューテ様とレティーシャ様の仲を引き裂いて……。それに、ねだったドレスも、宝石も、全て国から……ということは税金よね。なんでそんな当たり前のことに気づけなかったのかしら! 私って……本当に馬鹿だわ」


「メアレイズ閣下も動いて間も無くロッツヴェルデ王国は崩壊を迎える……でも、グランビューテや君の悪行の記憶があの国から消えることはないと思う。それだけのことをしたからねぇ……まあ、過去を振り返ったところで変えられる訳ではないし、個人的にボクは君が現実を見てその過ちを理解してくれただけで十分だと思う。……ただ、君に対する恨み辛みは溜まっているし、ボクでも流石にどうにかできる問題じゃない。ということで、君にはフォーリア=スヴィルカーチであることを捨ててもらおうと思う。……本当は諜報部隊フルール・ド・アンブラルの諜報員になってもらいたいんだけど、流石に強制はできないからねぇ。ただ、これまでの身分と立場は捨てて新しい人間として生まれ変わってもらいたい。勿論、暮らしていくために必要な身分と仕事は責任を持って用意させてもらうよ」

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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