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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-41 ロッツヴェルデ王国打倒臨時班始動〜メアレイズと愉快な? 仲間達〜 scene.8

<三人称全知視点>


「ところで、迷宮の件でございますが、どこまで情報が掴めているでございますか?」


「そうですね……正直人数が少なくて探索までは漕ぎ着けてません。六度ほどスタンピードから街を防衛しましたがそれだけです。ただ、魔物のレベルからしてそこまで深層の迷宮ではないように思えます。生まれたのも割と最近ですし」


「了解でございます」


「まさか、あの迷宮に挑むんですか!? もしかしてメアレイズ閣下はそのために!?」


「それこそあり得ない話でございますよ。まあ、事のついでにでございます。……VIPと共に潜るのはやめたいでございますが」


「VIPってまさか国王陛下!? いや、あの方ならあり得る!!」


 どうやらザックスもラインヴェルドの本性を知っているらしい。異国の地で苦労話を共有できる仲間に会えて良かったと思いつつ。


「……あの陛下もやりかねないでございますが、ついてきたのはエタンセル大公とシンティッリーオ大公でございます。後はエタンセル大公の護衛が一人……最悪の旅でございます」


「心中お察しします。……エタンセル大公様は昔から有名ですからね、あの陛下と同じ血を引いているだけのことはあります」


「……そうだ、でございます! ザックス様も一緒に来てくれないでございますか? エタンセル大公のことをよく知っているようでございますし」


「嫌ですよ! ま、まあ、あの迷宮は俺も何度か挑もうとしたこともある因縁の迷宮ですし、そのまま指を咥えて攻略されるのを見ているのも何だか嫌ですが、でも、大公様の護衛について万が一のことがあったら絶対に責任取らされる!!」


「そうなったら私も一緒に責任を取らされるでございます。被害者は多い方がいいに決まっているでございます! それに、よく知っている冒険者が居ると心強いでございますし!!」


「俺、迷宮の探索していないですし! 責任取るのは少ない人数の方が絶対にいいと思います!! くそっ、腕力強過ぎる! だ、誰か助けてくれ!!」


 いい雰囲気から一転、ザックスの襟首を強引に掴んで凄惨な笑みで引っ張っていくメアレイズ。

 冒険者達は巻き込まれませんようにと祈りながら決してメアレイズともザックスとも目を合わせようともせず嵐が去るのを待った。


「薄情者共!! 覚えてろよ!!」



 メアレイズを呼びに来たのはムーランドーブ伯爵領ランパーレン砦衛兵長のガルム=ドールファードだった。

 どうやら目を覚ました後に領主館に侵入者達――メアレイズ達についての報告に向かい、そのままダルフ伯爵に見届け人に指名されて現在に至るということらしい。


「あっ、ガルム衛兵長様。……もしかしなくてもメアレイズ閣下にやられたんですか?」


「ああ、見事にな。……お前も大変そうだな」


「よく分からないまま同行することが決定してしまいました。……メアレイズ閣下は苦労を共有できる仲間をご所望のようでして」


「……それってさぁ、俺達が邪魔っていうことかよ!?」


「さぁ? そういうことかもしれないでございますね(ちっ、とっとと帰っていればいいのに面倒な奴らめ、でございます)」


「おい、なんか今毒づかなかったか!?」


「幻聴が聞こえるなんてきっと疲れているのでございます。とっととブライトネス王国に戻って静養することをおすすめするでございます!」


「そうですよ、エタンセル大公閣下、シンティッリーオ大公閣下。お帰りになった方が……」


 ザックスの追い風を受けたメアレイズが「帰れ! 帰れ! とっとと帰れ! でございます!!」と目で訴えるが、ランレイクとフューズはスルーしたのでメアレイズ達の作戦は失敗した。


「……まあ、今回はザックス様にとっても良い話だと思うでございます。この高貴な身分なのに前線に立ちたい莫迦共は結局、闘気と八技の使い方を教えてもらいたいのでございます。それならいっそ迷宮を舞台として教えればご納得して帰国して「教えてくれるのは嬉しいが、帰国する気は更々ないぞ?」……目論見が早々に潰されたでございますが、とりあえず私が師匠から教えてもらった闘気の使い方と八技の使い方については教えるでございます。……このレベルはブライトネス王国の騎士団で学べるレベルなので、騎士に混じって訓練を受けた方が安全に学べるとは思うでございますが」


「まあ、俺の目的はそれだけじゃないんだけどなぁ。……正直、闘気や八技は学ぼうとすればいくらでも方法はある。習得済みの騎士を頼るとかな。理由はいくつかある。一つは、かつて最弱と言われた兎人族の族長にも拘らずローザ嬢の力で猛者の仲間入りを果たし、園遊会戦争で指揮官として的確な判断を下し、時空騎士(クロノス・マスター)として天使の群れを次々と撃破した【智将】メアレイズ閣下と旅をすることで学べることがあると思ったこと。……まあ、それに関してはメイナードに徹底的に邪魔されて達成できずだけどな」


「……申し訳ございません」


「元々はそれが理由だったが、旅のメンツを見て理由が一つ増えた。シア殿の実力やシア殿率いるViola Special Science Corpsの技術力――世界の戦争の概念を変えるほどの戦力がどのようなものかを把握しておきたい。……多種族同盟最強のローザ嬢が用意した三つの隠し玉の最後の一つ――ここまで秘匿されていたということは凄いんだろ? まあ、それについては俺よりもフューズの方が気になっているだろうが」


「えぇ、恐らく倫理的に色々と問題があってローザ様も恐らく表に出さない技術ですからね。知識としては知っておきたいものです」


「……フューズも結構マッドなところはあるからな。……ローザ嬢には敵わないが」


「あの方は土足で禁忌何それ美味しいのと踏み躙っていくタイプでございますからね。全てを薙ぎ払って夜明けをもたらす科学者って感じでございます……まあ、倫理観を持った上で踏み越えていくだけマシ……評価に困るところはあるでございますが」


 外道さも優しさも持ち合わせている見る角度によって様々な姿を映し出す魔鏡――メアレイズは圓という存在をそう捉えている。


「さて、迷宮についてでございますがシア殿にほとんどお任せしようと思うでございます。私は闘気と八技、後は最近の戦闘では使っていないでございますが、仙術、原初魔法、瀬島新代魔法、『SWORD & MAJIK ON-LINE』のマジックスキル……それから、霊力の扱い方も実戦形式でお教えするでございます」


 ユミル自由同盟でローザに弟子入りした際には霊力の扱い方についてはカリキュラムに含まれていなかったが、その後、メアレイズは戦術の幅を広げるために霊力の使い方も直接ローザから教えてもらった。

 ……まあ、メアレイズの戦い方は既にほとんど固まっているので、それらが通用しなかった場合の手札の一つという使い方だが。


「随分と気前がいいな!」


「……面倒くさいから隠し事せず全部教えることにしたでございます。この迷宮探索が終わったら三人には帰国してもらうつもりでございますから」


 メアレイズの鮮やかな掌返しに「そりゃねぇだろ! メイナード説得するの大変だったのに!!」と不満げな顔を見せるランレイクとフューズ。


「街を歩いていていいことを思いついたでございます。……あの第一王子の性格や王国の現状を考えると仮に武力で王城を制圧したところで絶対に負けを認めないような気がするでございます。なので、王国政府が機能しないように全部壊してしまうことにしたでございます」


「……あの、メアレイズ閣下。流石に王国政府の機能を破壊することは閣下のお力をもってしても不可能だと思いますが」


「王国の政務は王族だけでは不可能でございます。税の徴収一つ取っても文官達の尽力が欠かせないものでございます。例えば、極端な話、アーネスト閣下を殺害してしまえばブライトネス王国の政務はかなりのダメージを受けて機能を停止するでございますよね? ……まあ、あの国は最悪働かない連中が揃って働ければ案外通常通りの国家運営ができそうでございますが」


「……物騒な話だが、言いたいことは分かる。つまり、文官達を皆殺しに……いや、その必要はないな。ロッツヴェルデ王国の中央の文官を全て味方に引き込んで仕舞えばいい。文官達がサボタージュすれば通常であれば国家運営は不可能になる。理論上は……」


「既にロッツヴェルデ王国には後がないでございます。このままいけば確実にこの国は滅ぶ、そんな国と好き好んで心中する人はいないでございます。……それに、民を蔑ろにする王家に内心怒りを覚えながらも辞めてしまえば自分が生きられないからという理由で文官を続けている者達も多いと思われるでございます。……ロッツヴェルデ王国よりも良い待遇で迎えると約束すれば確実にかなりの文官が釣れる……後はこの国をどうにかしたいという真っ当な文官が残る訳でございますが、こちらもロッツヴェルデ王国を変えるためのプラン……これも街を歩きながら考えていたのでございますが、この『ロッツヴェルデ王国リバースプラン』を提示して味方になってもらうでございます。……勿論、それは王城に辿り着けなければ成立しない話でございますが、その点はちゃんと考えてあるでございます。先程、ローザ師匠に私の考えをお送りした結果、『なかなかエゲつないこと考えるねぇ。気に入った! 流石はメアレイズさん! 諜報員を何人か送らせてもらうよ』と諜報部隊フルール・ド・アンブラルの諜報員を何人か派遣してもらえることになったのでございます」


 メアレイズの策略を聞かされたランレイク、フューズ、メイナード、ザックス、ガルムはメアレイズの最も恐ろしいところは戦闘力でも文官としての処理能力でもなく、その圧倒的な頭脳とその恐ろしい策略を実行できる冷酷さであると理解し、揃って恐ろしさのあまり震えた。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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