Act.9-32 臨時班派遣間近〜臨時班候補達vsローザの模擬戦〜 scene.12
<三人称全知視点>
「さて、残りはネストとソフィスさんとプリムヴェールさんか。割と共通点の多いメンバーが揃ったねぇ。このメンバーだと『ダークマター』系の魔法縛りで戦っても面白そうだけど、まあ、その前に――暴風雷嵐黒旋雲」
三対一の模擬戦の最終戦――まず仕掛けたのはローザだった。
一定時間留まり暴風を伴った雷撃が当たった相手に「ライトニングブラスト」のスキルカードを五枚設置する雷を発生させる巨大な黒い竜巻の雲を出現させるネストの風と雷の複合魔法「暴風雷嵐雲」を元にしたローザのオリジナル魔法「暴風雷嵐黒旋雲」を発動し、ネスト、ソフィス、プリムヴェールの上空に展開する。
「エアロブラスト」
空歩を使って上空に上がったネストはレベル50で習得する掌から小さな竜巻に匹敵する暴風を放つ風魔法で暴風を伴った雷雲を次々と放ち、雷を降らせる前に完全に無効化して見せた。
「陰陽陣!」
「フォー・マイロード! ディア・マイロード! デヴォート・マイロード! アリージェンス・マイロード! アポシオーシス・マイロード! フィデリティー・マイロード! ロイヤルティー・マイロード! エルフィン・ガーディアン!」
一方、ネストに「暴風雷嵐黒旋雲」の処理を任せたソフィスとプリムヴェールはそれぞれ着々と戦闘準備を整えていた。
ソフィスは金色に輝く光の炎と漆黒に燃える闇の炎をそれぞれ半円状に展開し、聖属性と闇属性を象徴する半円の魔法陣が一体となった陰陽の魔法陣を形成するオリジナル魔法を発動して戦闘準備を整える。
一方、プリムヴェールは特殊な月の魔力を身体中を循環させると共に魔法威力上昇と魔法耐性強化を行い、更に闇属性耐性を得る月属性と闇属性の複合魔法「フォー・マイロード」、特殊な月の魔力を身体中を循環させることで回復を行い、自身にリカバリーを付与し、更に光属性耐性を得る月属性と光属性の複合魔法「ディア・マイロード」、魔力による身体強化の一つで、魔力操作によって身体能力の底上げを行うと共に風属性耐性を得る月属性と火属性の複合魔法「デヴォート・マイロード」、魔力による身体強化の一つで、魔力によって耐久力を上昇させると共に火属性耐性を得る月属性と水属性の複合魔法「アリージェンス・マイロード」、魔力による身体強化の一つで、魔力によって敏捷を上昇させると共に土属性耐性を得る月属性と風属性の複合魔法「アポシオーシス・マイロード」、魔力による身体強化の一つで、魔力によって魔法耐久力を上昇させると共に風属性耐性を得る月属性と土属性の複合魔法「フィデリティー・マイロード」、自身に対する状態異常を無効化し、更に時空属性耐性を得る月属性と時空属性の複合魔法「ロイヤルティー・マイロード」、特殊な月属性の魔力で身体のリミッターを外し、限界を越えた力を出すと共に消滅属性耐性を得る月属性と消滅属性の複合魔法「エルフィン・ガーディアン」――シモンのオリジナル魔法から着想を得たプリムヴェールの新たな複合魔法を次々と発動していく。
「マキャヴェリズム! メガロマニア! ファンタズマゴリア-ガイストラッシュ-!!」
プリムヴェールの魔法はこれだけでは終わらない。
月属性と聖属性の複合魔法で特殊な月の光を自身に巡らせることで自身に存在する全ての状態異常と能力低下を無効化すると共に、その魔力で身体能力を底上げする「マキャヴェリズム」、自身の刀身に月属性の魔力を宿す効果と自身の月属性魔法攻撃の威力を上昇させる効果を付与する「メガロマニア」を発動した上で小さな幽霊を大量に生成して嗾ける「ファンタズマゴリア-ガイストラッシュ-」を発動し、ローザに命中するタイミングを狙って幽霊を発火させる「ファンタズマゴリア-マリオネットインフェルノ-」を発動する。
一方、ローザは全身に三重の武装闘気を纏わせると幽霊の発火など歯牙にも掛けずに裏武装闘気の剣を変形させた細剣を構え、圓式の刺突を放つ。
プリムヴェールとローザの細剣の剣先が触れるか触れないかという絶妙なタイミングで埒外の霸気が衝突――黒い稲妻を迸らせる。
「ダークマター・フォージ! ダークマター・カンタフェイト! ダークマター・ファブリケーション!」
ここまではネスト、ソフィスにとっても想定内だったが、次にプリムヴェールが打った手が二人の度肝を抜いた。
細剣を持っていない親指、人差し指、中指に暗黒物質を纏わせてローザに向けて解き放ったのである。
圧縮した暗黒物質を剣先から飛ばし、敵に命中させたところで解放する「ダークマター・フォージ」、圧縮した暗黒物質を剣先から飛ばし、敵の足元に命中させると同時にそこから暗黒物質を顕現して勢いよく地面から噴き上げる「ダークマター・カンタフェイト」、「ダークマター・フォージ」よりも純粋な威力は落ちるが暗黒物質の粒子によりダメージを与える「ダークマター・パーティクル」のスキルカードを十枚設置する追加効果がある「ダークマター・ファブリケーション」――ローザはプリムヴェールの開発した「フェイク魔法」に分類される闇属性魔法三つをその身に受けることになる。
「ダークマター・インパルパブル」
プリムヴェールの後追いをするようにソフィスも細かいダークマター粒子を含む暗黒物質を勢いよく噴き上がらせ、吸引した暗黒物質を体内に留まらせてダメージを与え続ける「ダークマター・パーティクル」のスキルカードを設置する「フェイク魔法」に分類される闇属性魔法を発動する。
流石に連続でここまで魔法が決まれば……とプリムヴェールとソフィスの脳裏を甘い考えが過るが、二人は頭を振ってその考えを追い出す。そして、予想通りローザは神聖属性の魔力を全身に循環させると共に空気中にも散布することでダークマターを全て無効化――何事も無かったかのように「フェイク魔法」三種を放った後ローザから距離を取っていたプリムヴェールに迫る。
「イービルストーム・ジ・エンド!」
「ルナティック・バーストストリーム・ジ・エンド!」
ローザとプリムヴェールが選んだのは奇しくも同じ系統の魔法。
ローザが選んだのは武器先から闇の魔力の奔流を解き放つオリジナル闇属性魔法だ。オリジナルの「イービルストーム」に加えて威力を加減する代わりに魔力消費を抑えた33%の威力に減退された「イービルストーム・デミニッシュ」、往復することで二回ダメージを与える55%の威力に減退された「イービルストーム・ウェイン」、77%の威力に減退された「イービルストーム・ディクリース」、往復することで二回ダメージを与える88%の威力に減退された「イービルストーム・ウェイン」、必ず即死しない程度の威力に調整されたち敵を瀕死に追い込むほどの威力を誇る「イービルストーム・ジ・エンド」、バリア潰し効果のある「イービルストーム・オープン」などのバリエーションが存在するが、今回選んだのは必ず即死しない程度の威力に調整されたち敵を瀕死に追い込むほどの威力を誇る「イービルストーム・ジ・エンド」。
一方、プリムヴェールの選んだのは「ルナティック・バースト」と「ルナティックストーム」を融合した魔法で、月の魔力を圧縮し、武器先などから螺旋状の奔流として解き放つオリジナル月属性魔法。威力を加減する代わりに魔力消費を抑えた33%の威力に減退された「ルナティック・バーストストリーム・デミニッシュ」、往復することで二回ダメージを与える55%の威力に減退された「ルナティック・バーストストリーム・ウェイン」、77%の威力に減退された「ルナティック・バーストストリーム・ディクリース」、往復することで二回ダメージを与える88%の威力に減退された「ルナティック・バーストストリーム・ウェイン」、必ず即死しない程度の威力に調整されたち敵を瀕死に追い込むほどの威力を誇る「ルナティック・バーストストリーム・ジ・エンド」などのバリエーションが存在する中、今回選んだのは必ず即死しない程度の威力に調整されたち敵を瀕死に追い込むほどの威力を誇る「ルナティック・バーストストリーム・ジ・エンド」。
威力は同等――「イービルストーム・ジ・エンド」と「ルナティック・バーストストリーム・ジ・エンド」はバックステップでローザから距離を取るプリムヴェールとプリムヴェールに迫るローザの丁度間ほどで激突――相殺される。
「エナジー・イロード」
「イービルストーム・ジ・エンド」と「ルナティック・バーストストリーム・ジ・エンド」が共に効力を失ったタイミングでプリムヴェールは自身の刀身に月属性の魔力を宿す付与術式を発動した後に、勢いよく横薙ぎし、半月状に変化させた月属性の魔力弾を命中させる「エナジー・イロード」を放つ。攻撃自体は下位互換の「クレセント・イロード」と変わらないが、攻撃の度に対象の霊力の一部を強制的に引き出して吸収し、次の爆発の威力を高める効果があるため、威力が高まる、霊力を奪うという二重の意味で敵にとっては痛手となる。……ちなみに、霊力を持たない相手――機械など――を相手にする場合は「クレセント・イロード」と変わらないが効果が増えている分の多力消費が加算されるため費用対効果で言えば「クレセント・イロード」に軍配が上がる。
「龍宿魔法! 火竜帝の眷属! 灼煉烈旋空針暴颶嵐域」
しかし、プリムヴェールの放った月属性の魔力弾は全く意味を成さなかった。
龍宿魔法で得たカリエンテの魔力と「烈旋空針暴颶嵐域」を融合し、燃え盛る巨大な暴風の領域を展開するネストのオリジナル魔法がローザの目の前に展開され、月属性の魔力弾を飲み込むのとほぼ同時に風が数百ナノメートルサイズという微小な刃状に形態変化し、領域に存在する全ての切り刻むと同時に圧倒的な高火力でローザを焼き尽くさんとする。
ローザはここで空歩を使ってほぼ奇襲に等しかったネストの攻撃を回避――宛ら上空へと飛翔するスペースシャトルの如く勢いで遥か上空まで一蹴りで飛ぶと、「天魔纏身」を発動して天使と悪魔の片翼を生やして急降下――そのままネストに向かって迫る。
「ダークマター・スピューリアス!」
ネストは暗黒物質を勢いよく噴き上がらせるネストが開発した「フェイク魔法」を発動する。ただ「ダークマター・フェイク」を模倣した訳ではなく、風属性と闇属性の複合魔法で、暗黒物質の中に微細な風属性の魔力が込められており、その魔力を微小な刃状に形態変化させることもできる。
つまり、「烈旋空針暴颶嵐域」の特色を「ダークマター」に加えることで誕生した魔法だが、ローザをそれを知っているのか知らないのか、臆すことなく暗黒物質の中に突っ込み――。
「滅魔神聖領域」
七つの魔法陣を展開し、巨大な一つの神聖属性の魔法陣を作り上げ、魔法陣から浄化の力を持つ光の柱を顕現する神聖魔法が発動し、暗黒物質がその効果を発揮することなく浄化されて消滅する。
「魂魄の霸気《陽炎》」
このまま真っ向勝負を仕掛けられたら勝ち目がないと判断したネストは視界内の何処かに転移すると同時に、その場所に自分の残像を設置する魂魄の霸気を使って転移しようとするが、何故かいつまで経っても発動しない。
「『空間魔法-リアル・ディスタンス・ディスターブ-』、対象空間内の実際の距離を操る魔法を使わせてもらったよ。確かに転移は成功しているけど、ボクとネストの距離を物理的に近づけたから動いていないように錯覚したんだ。さて、トドメを刺させてもらうよ」
ネストは剣を鞘から抜き払って応戦するつもりだった……が、その前にローザの双剣が大気を擦過する輝きだけを残してネストの胴を綺麗に切断――ネストの腹部から無数のポリゴンが溢れ出し、一分も掛からずネストの身体全てが無数のポリゴンへと置き換わり、空中に吸い込まれるように消滅した。
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それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。
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