Act.9-24 臨時班派遣間近〜臨時班候補達vsローザの模擬戦〜 scene.4
<三人称全知視点>
「干渉闘撃!」
「なるほど、相手の素の防御以外の強化や障壁の効果を0.001%に低下させる障壁を張りながら攻撃を仕掛ける格闘魔法といったところか。……『障壁干渉』を見事に使いこなしているねぇ。しかし、流石はお姫様を守るナイトだ、格闘術だけで天恵の巫女達と渡り合ってきたことはあるよ。……圓流耀刄」
雫の認識を超える速さで斬撃が放たれる。辛うじて大気を擦過する白い輝きを視界に捉えた瞬間、雫の首がポトリと落ち、瞬く間に無数のポリゴンと化して消滅する。
「……本気を出させるとこうなるということかしら?」
「……意外だねぇ、魂レベルで最高の百合っぷるになっている綾夏さんならここで怒りを燃やして襲ってきてくれると思ったんだけど」
「それこそ貴女の思う壺でしょう? ……本当は今すぐにでも貴女を八つ裂きにしたいくらい怒りを覚えているわ。でも、これは模擬戦で、雫さんは生きている。……雫さんは貴女に実力を認めてもらえたと判断していいのかしら?」
「それは勿論。……ただ、申し訳ないけど臨時班入りは確約できないけどねぇ。予想通り豊作だし。……うん、やっぱりいいねぇ、雫さんと綾夏さんのカップリングは。互いに認め合っていて、思い合っていて、足りないところを補い合っている。一方通行じゃない両思いの百合。尊い……さて、ボクとしては早く綾夏さんも撃破して向こうでイチャイチャしてもらいたいところだけど、綾夏さんにはその気はないんでしょう?」
「今すぐにでも雫さんのところに行きたいところだけど、敵討ちをしないまま負ける訳には行かないのよね。……倒せなくてもせめて爪痕くらいは残したい。――これが私の全力よ! 黒より黒く闇より暗き漆黒の混沌に冀う――」
「分かった、付き合ってあげるよ。見せてみるがいい、君の全力を」
「――灰は灰に、塵は塵に、万象等しく灰塵に帰す焦熱を我は望まん! 破壊の魔の奔流を我が手に宿せ! 灰燼爆裂-爆災-」
無数の深紅の魔法陣が形成されると同時に巨大な灼熱の火球を放たれ、大爆発を巻き起こす火属性戦術級魔法「灰燼爆裂」に「無空領域」によって吸収した酸素の残り全てと覚醒に至った「夜霧の天恵」の力を使い、可燃性ガスを生成して操る「可燃性気体」によって生じた可燃性ガスを注ぎ込み、威力を増大させた大爆発――これが、今の綾夏の放つことができる渾身全力の一撃である。
「……やっぱり、耐えてしまうのね」
その攻撃を、ローザは満身創痍になりながらも全身に武装闘気を重ね掛けして、その上から覇王の霸気を纏うことで耐え抜いた。
回避することも可能だったのに、わざとその身で受けたのは綾夏に敬意を表した故か。
「これじゃあ、ちょっと死にそうだからねぇ。療光の快癒」
癒しの光で傷を癒す汎用の光系統単体回復魔法で傷を癒すとローザは地を蹴って加速――すれ違い様に圓式の斬撃を放って綾夏に無数の残痕を刻みつけて消滅に追い込んだ。
◆
「青焔鳳」
「飛翔の天恵(モデル:鳳凰)」の効果で青と橙が混ざったような特殊な焔を纏い、鳳凰へと変化した火憐は再生効果のない攻撃用の炎でできた無数の羽に武装闘気を纏わせると弾丸のように飛ばす。
これが、火憐と春海、ローザの戦いの火蓋を切る最初の攻撃となった。
春海は愛銃である「ベレッタM1934」と「ベレッタP×4」に加え、「ベレッタ M92FS」、「ワルサーp38 ac41」、「ワルサーPPK」、「トカレフ TT-33」、「S&WM19 Combat Magunum」、「S&W M37 Chiefs Special Airweight」、「IMI デザートイーグル」、「ベレッタM1918」、「レミントン・モデル95・ダブルデリンジャー」、「グロック18C」、「豊和工業 89式小銃」、「ドラグノフ狙撃銃」、「AK47」、「イズマッシュ・サイガ12」、「レミントン M870」、「FN M249軽機関銃」、「GE M134」、「GAU-8 Avenger」、「KSVK 12.7」、「PGM ウルティマ・ラティオ ヘカートII」、「アキュラシーインターナショナル AW50」、「バレット M82」など様々な銃火器を使いこなすことができる。
その知識と技量は流石はガンマニアを名乗るだけのことはある。
しかし、今回春海が持っている武器はそのどれでもない。
「『End of century on the moon』のビームサーベル――『カゲロウCR-1』に、『ベレッタM1934』と『ベレッタP×4』に似ているけど、中身は違う……差し詰め、電磁加速式自動拳銃というところかな? それが、雷属性魔法という新たな手札を手に入れた君の武器ということでいいんだよねぇ」
無数の羽を紙躱と見気を駆使して文字通り紙一重の神業で躱し続けながらローザは春海の銃を一眼見てそれが電磁加速式自動拳銃であると見抜く。
「魔法という力を手に入れたなら作ってみたくなるものでしょ? 電磁加速式自動拳銃」
「その気持ち分かるよ。ボクも電磁加速式二丁拳銃の『雷式拳銃Aアンペール-256』を作ったからねぇ。……まあ、前世の時点で、だけど」
「折角だし、銃でお相手しよう」と言わんばかりに統合アイテムストレージから『雷式拳銃Aアンペール-256』の片方を取り出し、左手で構える。
どうやら利き手は火憐との戦いのために空けておきたいらしい。
ローザは春海に先制攻撃で銃撃を仕掛ける……と見せかけて火憐に二発連続で弾丸を放った。
「……どれほどの再生能力か見てあげようと思ったんだけど、受け止められたか」
「鳳凰渦! そんな簡単に攻撃を浴びるつもりはないんだよ! 青焔鳳凰撃……と見せかけて、鳳凰脚!!」
鳳凰の姿で飛翔して突撃し、勢いよく相手に炎を叩きつける「青焔鳳凰撃」を放つ……と見せかけて、鳳凰化させた足の爪を用いて切り裂くような飛び蹴りを繰り出す。
しかし、武装闘気を纏わせたローザの右手に受け止められ、至近距離から弾丸を二発打ち込まれる。
「やっぱり凄いねぇ、再生力。……いや、そもそも炎で弾丸を燃やされてダメージ自体通っていないのか。【錬金成術】――アザンチウム鉱石、ウルツァイト窒化ホウ素、ロンズデーライト、カルメルタザイト、ニオブ……えっと、それから『End of century on the moon』の宇宙船装甲板に使われている金属も足して……よし、こんなものかな? 『射穿の弾丸』。まあ、銀の弾丸は最後の切り札に取っておくとして……とりあえず、時間停止魔法-クロック・ロック・ストップ-! 多角撃ち」
「いきなり超絶技巧!?」
対象の時間を停止させる時間魔法で時間を停止してから弾丸をばら蒔き、弾丸同士をぶつけることによって、 角度を変化させて効率の良い攻撃を行う超絶技巧を仕掛けてきたローザに戦慄を覚えつつ、全身に武装闘気を纏い、紙躱を駆使して攻撃を躱し続ける。
といっても、計算し尽くされているローザの攻撃は例え未来視を使っても躱し切れるものではない。いくつかの弾丸が春海の肩を、脇腹を、髪を、太腿を擦り、少しずつ着実にダメージを蓄積していく。
「春海さんのこと気にしている場合じゃないんじゃない?」
「小鳳凰弾! 小凍鳳凰弾!!」
気を取られた隙を突かれて攻撃される可能性な気づいた火憐は「青焔鳳」の特殊な炎から取り出した不死焔属性の魔法で追尾効果のある小さな鳳凰を弾丸を、あらゆるものを凍らせる異界の焔で作られた追尾効果のある小さな鳳凰を弾丸をそれぞれ放つ。
その瞬間、火憐はローザがニヤリと笑ったのを見て、ローザの狙いが最初から火憐に攻撃させることだったことを理解した。
攻撃を止めたくても一度放った攻撃は止められない。火憐の表情が絶望に染まる中、ローザの無慈悲な声が響く。
「全攻反撃」
灰色の怪人ことカルロスのオリジナル無属性魔法「魔攻反撃」を元に作り出した白い魔法陣に飲み込まれた衝撃と特殊攻撃と魔法の威力を倍の威力と速度の魔法攻撃に変換して攻撃者に向けて放つ魔法が発動し、二種類の鳳凰型の弾が吸収され――そして、倍の威力と速度で火憐に殺到――異界の焔が火憐を再生の炎ごと凍結させ、灼熱の鳳凰が火憐を襲う。
それだけでは流石に火憐も撃破されない……が。
「月銀の纏光-満月-」
ジャスティーナのオリジナル月属性魔法「月銀の纏光」を元に作り出したローザのオリジナル魔法の効果で銀色の月属性の魔力が裏武装闘気の剣に宿った。
空歩を駆使して肉薄したローザが圓式の斬撃を放って火憐を両断――「飛翔の天恵(モデル:鳳凰)」の再生能力も凍らされているため機能せず、傷口から無数のポリゴンが溢れ出し、その後間も無く無数のポリゴンと化して消滅した。
「……折角作ったのに、『射穿の弾丸』を使うタイミング無かったねぇ。……さて、春海さん。君の底は見切ったよ。実力的には臨時班に選抜されるレベルではあると思う。……個人的には一緒に兵器開発してみたいねぇ。ボクもいくつか思いついているから、まだまだ成長の余地はあると思うよ」
「……それはとても素晴らしい提案ね。――ッ! 『メツェライ GAU-8』ッ!!」
「GAU-8 Avenger」を基にした電磁加速式ガトリング砲を構え、弾丸の雨を降らせる春海に対し、ローザは空歩で呆気なく射線から外れると春海に肉薄――『雷式拳銃Aアンペール-256』の銃口を春海に突きつけ――。
「チェックメイト」
至近距離から放たれた『射穿の弾丸』が春海の頭をまるでスイカを地面に思いっきり叩きつけたような勢いで吹き飛ばした。
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