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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-19 王女宮への来訪者達〜予想外の訪問者〜 scene.4

<一人称視点・ローザ・ラピスラズリ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>


「とりあえず、別働隊にすると色々と面倒だからどちらにも動けるように臨時班を選定し、そのメンバーで魔法の国とペドレリーア大陸・ラスパーツィ大陸の対応を状況に応じて行いたいと思っている。菊夜さんと沙羅さんには申し訳ないのだけど、魔法の国の方も協力してもらえないかな?」


「私達の事情を優先する訳にはいかないものね。分かったわ……個人的にはこの妙な違和感を早く解消したいのだけど」


「善処したいところだけど、今は動けないというのが現状なんだよねぇ。ペドレリーア大陸・ラスパーツィ大陸の方には密偵を潜ませているから情報は入ってくる。……予想だと、タイミングとしてはオルレアン教国の聖夜の大祭に戦力を割いてくる可能性が高い。恐らく、そのタイミングで朝陽さんと火走狼(カ・ソウロウ)は現れると思う。それまでに魔法の国の件は解決しておきたいねぇ。……そうなると時間は……大凡一年か? まあ、一年って長いようで短いし、場合によってはもっと縮まるかもしれないし……いずれにしても菊夜さんと沙羅さんはボクが鍛えるのが一番建設的だと思うけど、どうかな?」


「アタシはそれで構わないわー」


「よろしくお願いします」


「決まりだねぇ」


 とりあえず、このまま二人に執務室に居てもらっても困るのでボクの保有する屋敷の一つに送り届け、アフロディーテにも任務に戻ってもらった。

 ……元々、今日はエルヴィーラの進路相談の予定だったからねぇ。


 とりあえず、『統合アイテムストレージ』から預かってきたものも含めて求人パンフレットを出して並べる。


「……凄い量ね」


「選択肢は多い方がいいかな? と思って色々と声を掛けたら結構な数集まったからねぇ。まあ、その中でこれはないかな? っていうのは省いたけど。まず、選択肢を確認していこうか? 一つ目は王城で侍女として務めるというもの、幸いなことにデガンドのトラブルについてはあまり情報が広まっていないようだからねぇ、アルベルトとエディルを巻き込んだ例の一件があるけど、この醜聞もしばらくすれば立ち消えになるレベルだと思う。二つ目は辺境……はもうないからクレセントムーン聖皇国での仕事ということになる。そして、三つ目が新天地……多種族同盟国内ならボクも協力できそうなものがいくつかあるねぇ。そして、今回、四つ目の選択肢というものも加わった。……というか、アーネスト宰相閣下から是非にということで手渡されたんだけど。ということで、ブライトネス王国の王城ではこれまで通り侍女として仕えるのと、アーネスト閣下から提案された配置換えの二件、クレセントムーン聖皇国での仕事はクレセントムーン聖皇国の中枢での仕事か、クレセントムーン聖皇国での新規事業の展開かの二択、それ以外だと……ビオラ関連の求人、冒険者ギルドからの求人、ジリル商会とマルゲッタ商会からのもあるねぇ……それから、アストラプスィテ大公領からの求人もあるねぇ。より取り緑だよ」


「……とりあえず、この『ブライトネス王国宰相付き文官募集! 週休未定、休日出勤あり、有給多分取れない。殺伐とした職場です。上層部のサボり具合によっては仕事が増えます』……この求人は却下ね。ブラック過ぎて死ぬわ」


「ですよねぇー」


 申し訳ないねぇ、アーネスト。やっぱり早々に却下されちゃったよ。というか、こんなブラックな仕事よくやっていられるよねぇ、ブライトネス王国の文官上層部。

 ……まあ、一応文官達は交代で休んでいるんだけど、アーネスト閣下の代わりはいないからほとんど休めないというのが現状。まあ、仕事が少ない時とかには休めるんだけどねぇ……その皺寄せは休み明けに襲ってくるんだよ?


「クレセントムーン聖皇国の政府での仕事……これは、どうなのかしら?」


「どうって?」


「実は多種族同盟の文官部に協力する形で出向するんじゃないかしら?」


「内勤と外勤があるから、内勤ならクレセントムーン聖皇国の国内の仕事がほとんどだけど、必要な場合は応援要請で多種族同盟の文官部に出向協力もあり得るといえば、あり得るねぇ」


「だったら同じ理由でビオラ=マラキア商主国政府の仕事も危険と……給与はどちらもいいのだけど、死ぬくらい働きたくないわ」


「……仕事、楽しいんだけどねぇ」


仕事中毒(ワーカーホリック)の貴女の言葉なんて信じられる訳がないじゃない」


 ……酷くない!? 善意で協力しているのにさぁ。まあ、エルヴィーラは真面目に働ければ外宮筆頭に認められるほどの能力を持っていることが判明している訳で、王城での仕事経験を活かして働いて欲しいと思っているところは多いんだけどねぇ。かく言うボクもエルヴィーラという浮いた人材を願わくばビオラで手に入れたいと思っている訳で……そりゃ勿論、思惑くらいありますよ!


「とりあえず、この求人は持ち帰らせて頂きます」


「うん、その方がいいよ。エディルさんとゆっくり決めるといい」


 ……赤くなったエルヴィーラ可愛い。意外にウブなところあるよねぇ。


「まあ、その代わりと言っちゃなんだけど、マリエッタが何らかの形でエルヴィーラさんに接触してきた場合、ボクに一言連絡を入れてもらえないかな?」


「えぇ、そうなれば私も困ることになるし。……ところで、あの面会の時から疑問だったのだけど、貴女の推理通りならマリエッタは悪役令嬢ローザ=ラピスラズリに操られているのよね? でも、本当にそれだけなのかしら? ……もしかしたら、ローザ=ラピスラズリも誰かの掌の上で転がされている可能性もあるんじゃないかと思うのよ」


「……君のような勘のいい奴は嫌いだよ」


「えっ……なんて?」


「あー、スラング伝わらないって辛いねぇ。まあ、慣用句みたいなもので気にする必要はないよ。いやぁ、楽しいねぇ、頭のいい人と話すのは。世の中にはねぇ、そもそも会話が成立しない類の奴がいるんだよ。アルベルトの自称ライバルのギルデロイとかねぇ。……ご指摘のように、ボクもローザは黒幕じゃないと思う。マリエッタを操っているのはローザ……というところまでは正しいとは思うけど、そのローザの動きを予測して行動している者がいるとしたら? 前回の戦争、どうにも違和感が拭えないものがあってねぇ。戦争の基本は最小限の犠牲で最大限の利益を得ること。……『魔界教』の枢機司教の派遣は一見するとハイリスク・ローリターンに思える一手だけど、彼らを束ねる『憂鬱』ってのは策士だ。そして、戦闘力はほぼ互角としても、策士としての軍配は『憂鬱』に上がる。恐らく、ローザの動きを読んでいるだろうし、それを利用できる冴えた一手を持っていると考えた方がいい」


「……つまり、記憶持ち転生者の神童マリエッタは実は自分でも気づかないうちに悪役令嬢ローザに利用されていて、直接手を下さずに貴女を殺すために利用しようとしている。更にそのローザを利用して貴女を殺そうとしている『憂鬱』がいる……凄い駆け引きね」


「そんな言うほどでもないよ。……ボクは基本受け身のスタイルだからねぇ、あらゆる可能性を考えておかないと万が一の場合に対処ができないんだよ。ただ、突発事項には弱いからねぇ、兆候が一切見られなかったものについては出たとこ勝負になる。ここ最近だと、ペドレリーア大陸の探索は本当に寿命が縮むかと思った。未満児を遠足に連れていく保育士の気持ちを味わったよ」


 ……なんとも言えない顔になるエルヴィーラ。「自分がその立場に置かれたら絶対に耐えられないわ」っていう心の声が聞こえてくるよ。



<三人称全知視点>


 園遊会の直前にはブラックソニア辺境伯領で魔物のスタンピードが発生した。

 この一件で頭角を表した英雄親子を称え、英雄親子の父の方――オートリアス=スターチスに準男爵位を与えるべきではないかという話が持ち上がった(当然、ラインヴェルド達上層部が仕組んだことである)……のだが、ラインヴェルドは準男爵位の叙爵を行うことそのものは約束したものの、ブライトネス王国を含む多種族同盟が目下某重大作戦を実行中であること、世界情勢が不安定であることなど理由に叙爵そのものの延期を決定した。


 その話を聞いたマリエッタは「どういうことなのよ!? ゲームと全然違うじゃない!」と人知れず叫んだとか、叫ばなかったとか。


 さて、その世界情勢が不安定という話だが、元凶は勿論、園遊会で盛大にやらかしをしてメアレイズに「うっさうさにしてやるでございます!」宣言をされたロッツヴェルデ王国である。


 そのメアレイズが帰国宣言をしたのはエルヴィーラの進路相談を受けた翌日だった。戦争は大勝……というか、早々に片付いていたらしいが、その後の後片付け(に託けた観光だったようだけど)とメアレイズが帰国するというタイミングでユミル自由同盟を経由して暫く滞在したという謎行動をしたことで帰国が遅れたらしい。


 メアレイズの帰国とロッツヴェルデ王国の処分、臨時班メンバーの強化、この二つが終わらなければ臨時班の選定も派遣も行えない。

 膠着状態に陥る中、ローザは王女宮筆頭侍女の仕事とビオラの仕事、領地の仕事をしながら、その一方で菊夜と沙羅に修行をつけるという生活を送っていた。


 まだ習得していなかった八技などの技術を教えてから、実戦形式で二人を鍛えていく。


 異世界に来てから武装闘気と見気、霸気の存在に気づいたようで、闘気については新たに教えることもそとんどない。

 魔法についても、戦闘手段の無かった斎羽朝陽が冒険者ギルドで現役冒険者達から学んだ際に二人も話を聞いていたので、応用レベルのものを教えるだけで済んだ。


 という好条件だったこともあって、戦闘技術の伝授自体はこれまでの中では最短だったと言えるかもしれない。

 臨時班までそう時間のない圓にとっては都合が良かった。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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