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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-14 王女宮への来訪者達〜ペドレリーア大陸のオルレアン教国からの帰国者〜 scene.2

<一人称視点・ローザ・ラピスラズリ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>


「なるほど……とりあえず、諜報員にはそのまま留まるように伝えてもらいたいねぇ。それから、何かしらの異変があったら連絡するように。特に、セレンティナ=フリューリング公爵令嬢、ギィーサム=フリューリング公爵令息、イリオット=フィクスシュテルン皇太子、ジェルエナ=コーツハート男爵令嬢は気づかれないように監視するように。それと、タイダーラ・ティ=ア=マットに関する情報も集めてもらいたい。……タイダーラが火閻狼(カ・エンロウ)と合流するまでまだ時間はあるから閻狼についてはペドレリーア大陸の方で情報を集めてもらいたいかな?」


「承知致しました」


「……さて、悪い報告の方を聞かせてもらえるかな?」


「はい……白夜様の命に従い、諜報部隊フルール・ド・アンブラルはペドレリーア大陸の各所に諜報員を派遣していました。リズフィーナ公爵令嬢とも協力し、イェンドル王国などの『這い寄る混沌の蛇』によって革命が起こりそうな国についても共同戦線を敷いて『這い寄る混沌の蛇』の信徒の逮捕をいくつも成功させています。……そちらに重点を置き過ぎたと言えば言い訳に聞こえると思いますが、ダイアモンド帝国、オルレアン教国、ライズムーン王国、プレゲトーン王国には重点を置いて『這い寄る混沌の蛇』の魔の手が伸びていないかを徹底して確認していましたが、騎馬連合国――特に『這い寄る混沌の蛇』と関係の深い火族の集落のことは『這い寄る混沌の蛇』の魔の手が伸びないと思い、監視が緩くなっていたと思います。……火族の集落は半壊しましたが、一族の死者はゼロ……気づくタイミングが良かったからか、長老の火狼華(カ・ロウファ)を含む全員が死を免れました……後数分遅れていたら全員死亡していてもおかしくないほどの被害でしたが」


「火族が襲われた? ……犯人は一体……」


 予想外の展開だ。『這い寄る混沌の蛇』が攻撃する可能性はアフロディーテの言うように低い。

 その火族が襲われた? 他の十一部族に? いや、そんなことはないと思う……なら、あるとすれば。


 そこまで来て、ボクは悪寒を感じた。最悪の可能性を脳裏に浮かべ……もし、それが事実だったとしたら。


「ただし、ローザ様が要観察対象としていた火走狼(カ・ソウロウ)の姿だけはどこにもありませんでした。そして、狼華達はその存在を丸々忘れてしまっていたそうです」


「――ッ! おのれッ、『這い寄る混沌の蛇』ッ!!」


 あまりの怒りで我を忘れてしまったボクは霸気を撒き散らしてしまっていたらしい。気づいた時にはアフロディーテも、ヴィオリューテも、王女宮筆頭侍女の執務室に入ろうとしていたエルヴィーラも意識を失ってしまっていた。



「いやぁ、ごめんごめん……感情の制御には自信があったんだけどねぇ」


「わ、ワタクシ……一体何を」


「ローザ様を呼んでも返事がなくて、扉を開けるまでは覚えているのだけど……そこからの記憶が」


「ローザ様、死ぬかと思いましたよ」


 三人の意識が戻るのを待ってから、謝罪の意味を込めてマスカットのケーキを出した。

 エルヴィーラとアフロディーテは互いに話をしたそうにしている。……その気持ちは分かるけど、ボクの霸気で中断してしまった話の続きをしないといけない。


「犯人に心当たりは?」


「長老が辛うじて覚えていました。白銀髪と黒髪を半分ずつで持つ金色の瞳を持つ踊り子風の扇情的な衣装を纏った女だったと」


「……ヘリオラって、ボクが過去に遡って存在を抹消した筈なんだけど」


「私も聞いた時に本当なのかと驚きましたよ。……ヘリオラ・ラブラドライトは圓様がプレゲトーン王国で殺した筈ですから」


「……殺したって、本当なの?」


「殺した、というより、それ以上のことをしたんだよ。ヘリオラ・ラブラドライトはそれ以上のことをしたからねぇ」


 ヴィオリューテの顔が真っ青になっている。……怖がらせちゃったなぁ。


「……で、でも……貴女が理由もなく、そんなことをしないことはワタクシだって知っているわ! こ、怖がったりしないわよ!」


 ……気を遣わせちゃったなぁ。なんだかんだで憎めないというか、拗れちゃって素直じゃないけど性根のところには優しさがあるというか……もう少し素直になれば想い人とも結ばれると思うんだけど、って、それは老婆心か。


「しかし、そうなると……嫌な予感がするねぇ。ミレーユ姫の伝説は、この後が生徒会選挙……同時進行で四大公爵家の話があって……帝国の学園都市の件で一旦帰国、ルードヴァッハの師匠を味方につけて……あー、ダイアモンド帝国の初代皇帝と『這い寄る混沌の蛇』の繋がりを示す海底神殿の件もあったっけ? 同時進行で四大公爵家の中に『這い寄る混沌の蛇』と繋がっている者が存在していることが判明して……シナリオを踏まえるとタイミングとしてはオルレアン教国の聖夜の大祭かな? もしかすると、そこに戦力を投入してくるかもしれない。冥黎域の十三使徒と、後は偽の蛇の姫巫女と狼使い……狼使いは元々あのタイミングで動くことになっていたし……となると、やっぱり敵さんは後にミレーユ側になる偽の蛇の姫巫女と狼使いを纏めて殺すつもりなのかもしれない。……走狼を使って。……忌々しい」


「……デガンド、ローザ様ってどれだけ先読みしているのかしら?」


「さりげなくエルヴィーラに俺のこと話していたんですね。……これは噂に聞いた話ですが、非公式戦で当時、竜王、名人、棋王、王将、叡王の五冠を持ち、その一方で大倭秋津洲帝国連邦で唯一のチェス・グランドマスターになっていた棋士と五番勝負をして一回も勝ちを譲らなかったほどの化け物的な先読み力を持つそうです」


「……うーん、分かりにくいわね。マリエッタなら今の例えで分かるのかしら?」


 逆に信用できないとか言われそうだよねぇ。……鷹見(たかみ)蒼甫(そうすけ)九段、確かあの後、謎の死を遂げたんだっけ。

 最年少で次々と記録を打ち立てていっていたから期待していたんだけどねぇ。


 ちなみに、この件は警察が本気で調査していたから瀬島一派が犯人という訳ではないと思う。脚色もされていなかったし。

 ……まあ、瀬島一派以外にもあの国にはヤバい奴がいるってことだねぇ。


「……とりあえず、臨時班は作戦を切り替えた方がいい気がする。魔法の国とペドレリーア大陸・ラスパーツィ大陸、どちらにも対応をできるように。……向こうが予想を裏切って仕掛けてくると、最悪の場合はダブルオペレーションになるし。アフロディーテさん達はペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸の監視情報を纏めて今まで以上に報告を……わざわざこっちに戻ってこなくてもいいから端的に、客観性を持って、お願いねぇ」


「畏まりました」


 しかし、まさか連中が火走狼(カ・ソウロウ)に手を出してくるとはねぇ。

 ……いやぁ、柄にもなく動揺……って割と最近動揺しっぱなしか。情緒不安定だなぁ。


 エルヴィーラとアフロディーテの二人で積もる話もあるだろうけど、予定通りエルヴィーラの今後についての相談に乗ろうと思ったのだけど……。


「たっ、大変です! ……はぁはぁ、ローザ様!」


 息を切らしたメイナがノックすることなく扉を開けた。


「ど、どうしたのよ! メイナ!」


 ヴィオリューテもいつもと様子の違うメイナを不審に思ったらしく、血相を変えて息も絶え絶えのメイナに手を貸してソファーまで連れて行った。

 仲があまり良くない二人だけど(ヴィオリューテが突っかかっているのが原因だけどねぇ)、ちゃんとメイナのことを気遣えるじゃないか。


「大丈夫? 落ち着いたかしら?」


「……ありがとう、ヴィオリューテさん。……ローザ様、王宮にローザ様のお客様を名乗る二人の女性がお越しになりまして……冒険者のようでした。何者か分からない状況で王女宮筆頭侍女様には会わせられないと近衛騎士が止めたのですが、通り掛かった国王陛下が……その、何故か剣を抜いてその二人に戦いを仕掛けてしまいまして」


「あのクソ国王ッ! あっ……いえ、ごめんなさい」


 しまった、本音が出ちゃった。ヴィオリューテとエルヴィーラはアイツのクソっぷりを知っているし、アフロディーテもラインヴェルド達についても話はしておいたからアイツのクソっぷりは知っているけど、メイナは知らなかったねぇ。


「分かりました、そっちが先決ですね。エルヴィーラさん、申し訳ないのだけど部屋で待っていてもらえないかしら? アフロディーテさんと積もる話があるでしょうし。ヴィオリューテ、その課題が終わったら休んでいいわ」


「わ、私も行きます! ローザ様を案内しないと!!」


 ボクがそう言い残して執務室を後にすると、メイナもその後を追いかけてきた。

 ただ、息も絶え絶えで走らせるのは忍びなかったからヒョイっとメイナをお姫様抱っこする。突然のことで驚き、続いて恥ずかしがって顔を赤らめた。


「……でも、大丈夫でしょうか。国王陛下、ご無事だと良いのですが」


「……メイナ、心配する方が間違っているわよ。……今日、訪問の予定は無かった筈だけど、私にわざわざ会いにきてくださったお客様ですもの、そうみすみす殺されてなるものですか」


 まあ、ラインヴェルドも殺したりしないと思うけど……王宮への被害は省みなさそうだしなぁ。

 クソッ! なんで、そんな偶然のタイミングでラインヴェルドとかち合うんだよ、謎の訪問客!! 火走狼(カ・ソウロウ)の件の報告といい、嫌な予感しかしないよ!!!

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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