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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-8 バトル・アイランドのお披露目 scene.5 上

<一人称視点・ローザ・ラピスラズリ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>


「お疲れ様。……ネストとルーネス殿下は随分善戦していたねぇ。他のメンバーは……まあ、大丈夫、強くなれるさ」


 春海、火憐、美結の三人は死んだ魚の目になっている。まあ、手も足も出ずにボコボコにされたんだから矜持もポキッと折れちゃうよねぇ。

 この敗北をバネに鍛え直してもらいたい。そのためのバトル・アイランド巡りでもある訳だし。


「しかし、フィーロに大技をほとんど使わせるとはねぇ。……もうほとんど攻略に必要な情報揃っちゃっているじゃん」


 残るフィーロの技は大量の糸を生み出すだけではなく、周囲のものも糸へと変化させて創り出した大量の糸を全て攻撃に繰り出すフィーロのオリジナルの糸属性戦略級魔法「神誅滅殺(ゴッドスレッド)-殺戮戯曲ラ・グラン・ギ・ニョル-」のみ。規模が大きくなっただけで攻撃自体は「神誅滅殺(ゴッドスレッド)-殺人戯曲(グラン・ギ・ニョル)-」とほとんど変わらないから、実質全ての技のパターンを知られたということになる。


 ……これ、割と痛手だと思うよ。どの道いつかは攻略情報が完成するだろうけど、これだけ手札バレしているなら、これ、最短で攻略されるんじゃないか?

 酔っ払った状態で五タテできたから施設長(アイランド・ブレイン)の面目躍如ではあるんだけど。


「……私ではなくネストさんの方が大将をするべきでしたね。情けないところをお見せしました」


「いえいえ、なかなか素晴らしい戦いでしたよ。……僕が大将でも勝てなかったと思いますし。しかし、なかなかお強いですね。今度是非手合わせを」


 ネストとルーネスが健闘を讃えながら火花を散らしている。仲良くなったねぇ、二人とも。


 バトル・ルーレットを後にして向かったのはバトル・ダンジョンだ。

 出迎えたのはバトル・ダンジョンの施設長(アイランド・ブレイン)である迷宮女王(ラビリンス・クイーン)のアメジスタ。……観戦中に連絡しておいて良かったよ。


 本来は三周目のラストと六周目のラストのタイミングで全十階建ての迷宮の最奥に現れるのだけど、今日はオープン前ということとあって迷宮の最奥部に留まってもらって挑戦者達の相手をしてもらっていた。

 ただ、他にも案内したいところがあるし、迷宮の最奥まで行っていると面倒だからねぇ。

 迷宮内部は挑戦する時のお楽しみにしてもらって、今回はアメジスタとの戦いを楽しんでもらおうと思って無理を言って迷宮入り口に戻って来てもらった。


「やぁ、ごめんねぇ。呼び出して」


『私も正直、連戦に連戦で疲れていたから口述ができて良かったわ。おかげで少し休ませてもらえたし……ラインヴェルド陛下にオルパタータダ陛下、カノープス公爵達【血塗れ公爵】ご一行に親友コンビにフォルトナ勢……思い出すだけで嫌になっちゃうわ。アイツらスタンピードなのかしら?』


 あー、ある意味で魔物に分類できる(ボスエネミーだからねぇ、一応)アメジスタがラインヴェルド達を魔物扱いしているねぇ。まあ、アイツらただの魔物の大襲来(スタンピード)よりもタチ悪いと思うけど。


「さて、少しキツイかもしれないけど雫さん、綾夏さん、篝火さん、燕さん、玲華さん、ルイーズさん――この六人と戦ってもらいたい。順番は……」


『私、早く休みたいのよね。これ終わったら少し休憩させてもらえることになっているから。だから六人全員同時に相手してあげるわ』


「強気だねぇ。一昔前まで『なんで、私のことを弱くしたのよ!』って泣いていたのに」


『……思い出したくない過去よ。あの頃のことは忘れて頂戴』


 ……うーん、そんなに忘れたい過去かな? 寧ろ、ミーミル=ギャッラルホルンみたいに相応の強さがあって、野心も持ち合わせていたら間違いなく敵対していたと思うんだけど。


 アメジスタが弱かったから、そして、アメジスタに同情の余地があったから今があると思うんだけどなぁ。

 ……まあ、ミーミル=ギャッラルホルンに扱き使われた悪しき過去でもあるし、アメジスタにとっては思い出したくない過去か。


『案内するわ、バトルフィールドへ。どうぞ、着いてらっしゃい』



<三人称全知視点>


 迷宮の十階の最奥部にある闘技場にて――。


 アメジスタは雫、綾夏、篝火、燕、玲華、ルイーズと対峙していた。


『まずはお手並み拝見と行こうかしら?』


 アメジスタの姿がダブり、分裂――『不思議のダンジョン;ゲートウェイフロンティア』の勇者を召喚した女神サファイアと世界を支配する狂気の女神ルービィの二人へと変化する。

 アメジスタはサファイアとルービィの姿ではただでさえ弱いアメジスタが弱体化するのでこの姿になることを嫌っていた。


 しかし、施設長(アイランド・ブレイン)の一人――迷宮女王(ラビリンス・クイーン)に選ばれた時に、一戦目と二戦目を差別化するために一戦目の手加減モードではサファイアとルービィの姿で戦うことに決めたのである。

 ちなみに、バトル・ライブラリーの手加減モードでは一部の強力な「幻想戯画ファンタジック・カリカチュア」(リーリエやアネモネなど)が封印され、バトル・サブウェイの手加減モードでは魂魄の霸気《時空神》が封印され、バトル・ルーレットでは魂魄の霸気《絲》とマナフィールドを発動しなければ使用できない戦略級魔法が封印されることになる。まあ、それ以外は別段変わらないため、例え手加減モードでも手を抜くことはないが。


「……正直苦手なのよね、こういう対人戦って」


 ルイーズはピアノ奏者として高い技量を誇り、ゴーレムマスターとしても高い実力を持つ。天が二物以上のものを与えた天才のように思えるが、そんなことはないとルイーズは自嘲する。


 圧倒的な魔力量を誇り、魔力を変化させる才能を常人の域を超えている……正しく、英雄級の力を持つが、それ以上にゴーレムマスターとしての才能に恵まれたため、自らが実戦に立つことは無かった。

 よって、ルイーズは自分でも実際の自身の力がどれほどのもので、どれほど対人戦で通用するものかを知らない。


 今回の戦いが初めてのルイーズがゴーレムを使用しない実戦になる。


炎雷の咆竜ファイア・ボルト・ドラゴン


『『――ッ!? いきなり複合魔法!?』』


 実戦経験が薄いと聞いて油断していたサファイアとルービィの表情が驚愕の色に染まる。

 魔法自体はクラリスのオリジナル魔法――「雷光の竜撃サンダーボルト・ドラゴン」に火属性を追加したようなものだが、竜の造形は全く違う。

 恐らく、ルイーズが即興で創り出したオリジナルの複合魔法なのだろう。


『ホーリーライト・ハニカムバリア』


 青の女神サファイアが純白のハニカム構造のバリアを展開し、攻撃から身を守る。以前は『不思議のダンジョン;ゲートウェイフロンティア』のシステムに縛られ(実際は、アメジスタがシステムの枠を越えて成長するということを思いつかなかっただけだが……)、紙みたいな防御性能だったが、現在は分裂して弱体化している状況でもルイーズの攻撃を防ぐことができるほどの強度があるようだ。


『マキシマムブリザード』


 赤の女神ルービィが発動したのは、火属性最終奥義魔法の『マキシマムフレア』、雷属性最終奥義魔法『マキシマムサンダー』に並ぶ氷属性極大魔法の『マキシマムブリザード』だ。

 その魔法で狙うのは、「飛翔の天恵(モデル:(スワロー))」で巨大な燕と化し、突撃攻撃――「大燕翼撃(スワロー・ドライブ)」を放とうとしていた燕だ。

 一瞬にして翼を凍結されてしまい、燕は飛翔能力を失い落下する。


 そこに追い討ちを掛けるように「マキシマムサンダー」が放たれる。燕は抗うこともできぬまま真っ先に敗北した。

 ちなみに、燕が持つ遠距離攻撃は燕化して羽を弾丸のように飛ばす「大燕羽弾(スワロー・ストーム)」だけである。

 これ以来、燕は弱点を補うために武装闘気なども習得していくのだが、中でも魔法分野に特に力を入れていくことになったようだ。


 燕が撃破され、残るは雫、綾夏、篝火、玲華、ルイーズの五人。

 その中で動いたのは、篝火だった。


業火偃月(ゴウカエンゲツ)


 灼熱の業火から偃月刀を作り出すと、地を蹴って加速し、一気に赤の女神ルービィに迫る。


『ホーリーライト・ハニカムバリア』


 青の女神サファイアが赤の女神ルービィの目の前に純白のハニカム構造のバリアを展開するのを見て、篝火が勝気な笑みを浮かべた。


上は天火、下は業火デスフレイム・ヘルファイア


 青の女神サファイアの上空から赤熱の炎の塊が降り注ぎ、更に地上からは灼熱の炎が噴き上げる。

 技名は厨二っぽいが、威力は篝火も自画自賛するだけのことはあってなかなかのものだ。


『ホーリーライト・マキシマムヒーリング』


 しかし、青の女神サファイアにはほとんどダメージを与えられていないようだ。いや、正確に言えば与えられているのだが、『不思議のダンジョン;ゲートウェイフロンティア』の最上級回復魔法で回復され、更に、「ホーリーライト・マキシマムヒーリング」にある三十ターン回復し続ける追加効果でダメージを与えた側から回復される。


「ちっ、それなら業火絢爛(ゴウカケンラン)よ!」


 偃月刀で攻撃すると同時に大爆発を起こし、「ホーリーライト・ハニカムバリア」を破ろうとするが、篝火の一撃を浴びても多少のヒビが入るくらいで障壁を破ることはできなかった。

 それもその筈、ただでさえ強固な「ホーリーライト・ハニカムバリア」に武装闘気まで纏わせているのである。寧ろ、簡単に破られる方がおかしいのだ。


『マキシマムフレア! マキシマムサンダー!』


 火属性最終奥義魔法と雷属性最終奥義魔法を相次いで放つ……が、篝火にダメージを与えるも撃破には至らない。

 流石は魔法少女というべきだろうか? なかなかの耐久力である。


 流石に青の女神サファイアと赤の女神ルービィ――紫の女神アメジスタも業を煮やしたのだろう。


三位(トリムールティ・)魂霊崩壊エーテリアス・ディスインティグレーション


 青の女神サファイアが容赦なく「魂霊崩壊エーテリアス・ディスインティグレーション」を三つ重ねることで範囲を拡大した神聖魔法を放ち、ポリゴン化する間も無く跡形もなく消し飛ばした。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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