Act.9-1 バトル・アイランドのお披露目 scene.1
<一人称視点・ローザ・ラピスラズリ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>
園遊会という一大イベントが終わり静かになった……とはならない。
同盟貴族制の導入のためのランク戦が行われ、連日大忙し。それと並行してボクの肝入り企画のバトル・アイランドの建設を進めていたから……まあ、結果はお察しだよ。
ビオラの仕事も増えて色々と見に行かないといけないこともあったし、ラインヴェルド達が抜けた穴を埋めるために文官の仕事も大量に請け負った。
いつも通りプリムラのお世話や筆頭侍女の執務もして……ということで、全て終わったらベッドで泥のように眠る日々……一回だけ本当に寝過ごして「三千世界の烏を殺し」を使う羽目になったから色々ヤバいかもしれない。
甘蔗林結城の出した店も今度様子を見に行かないといけない、今回の件でアクティベートした結城の父の甘蔗林清八、母の甘蔗林菜七子、長兄の甘蔗林恭平、次兄の甘蔗林晴雄、長女の甘蔗林明那、三女の甘蔗林陽葵、四女の甘蔗林春妃、天音の祖父の十六夜慶春、父の十六夜慶光、母の十六夜八重、春海のメイドの南部翠、碓氷美姫の妹の碓氷楓那といった面々にもこっちの世界で不都合が出てないか聞かないといけない……そういったこともあるからまだまだやらないといけないことは山積みなんだけどねぇ。
それに加えて魔法の国への臨時班派遣の準備をもしないといけない……まあ、これは同盟貴族制が成立して、落ち着きを取り戻してからにするつもりだけど。
さて今日、ボクは王女宮の仕事を終えた後、三千世界の烏を殺して完成したバトル・アイランドに来ていた。
ランク戦は一日休日を挟んで前半と後半を行うことになっている。その一日を利用して折角なので完成したバトル・アイランドの案内をすることにした。
今後、同盟貴族制の根幹となるバトル・シャトーには猛者達が集うことになる。
まあ、そのままバトル・シャトーを楽しめばそれでいいと思うかもしれないけど、どうせなら近くにバトルの専門施設をいくつか用意してバトルジャンキー達の心を掴んで、ついでに収益を得られたらいいな……というノリで作ったのがバトル・アイランドだ。
バトル・アイランドにはバトル・シャトー以外にバトル・ライブラリー、バトル・サブウェイ、バトル・ダンジョン、バトル・ルーレット、バトル・クエスト、バトル・アリーナがある。
このうちクエストを受注することでNPCと戦えるバトル・クエスト、剣士の八大タイトル戦が行われるバトル・アリーナ、そしてバトル・シャトー以外の施設――バトル・ライブラリー、バトル・サブウェイ、バトル・ダンジョン、バトル・ルーレットにはそれぞれ施設長と呼ばれる存在がいる。
この施設長に勝利すれば、シンボルというものが貰える。……まあ、各施設のシンボルを持っているということは、『剣聖』のような称号のように一つの指標にすることができるってことだねぇ。
じゃあ、ついでに一つずつ施設の内容を確認していこうか?
バトル・ライブラリーは本の世界の冒険がテーマの施設で三部屋を勝ち抜けば一周という扱いになる。
司書が三つの部屋を案内し、それぞれの部屋にある本の中から一冊を選んで挑戦する。
各本のストーリーを追体験し、GM役を務めるゲームマスターブックスを倒せば勝利となる。
施設長は幻想司書長の菱川小筆……ダメ元でオファーをしたら引き受けてもらえた。
対戦は三周目のラスト、通算九戦目と七周目のラスト、通算二十一戦目に可能で、勝利すればライブラリーシンボルをもらえる。ちなみに、一回目は銀のシンボルが、二回目は銀のシンボルが贈呈される。
バトル・サブウェイは地下鉄を舞台とした戦闘施設で地下鉄の車両一つがそのままバトルフィールドとなっていて、走る電車の中という屋内での戦闘が楽しめる。
控室代わりの車両と戦闘用の車両によって構成されていて、敗北するか七勝すれば降車できる。
一人で戦うシングルトレインと協力して二人vs二人で戦うダブルトレインがある。
施設長は地下鉄車掌の宙乃と時乃。
対戦は四周目のラスト、通算二十八戦目と七周目のラスト、通算四十九戦目に可能で、勝利すればサブウェイシンボルをもらえる。
バトル・ダンジョンは十階建ての特殊なダンジョンを舞台とした戦闘施設で『Eternal Fairytale On-line』と『不思議のダンジョン;ゲートウェイフロンティア』のシステムを融合した全十階建ての迷宮を舞台としている。入る度にマップが変わる厄介な構造になっているよ。
施設長は迷宮女王のアメジスタ。
対戦は三周目のラスト、通算三十戦目と六周目のラスト、通算六十戦目に可能で、勝利すればダンジョンシンボルをもらえる。
バトル・ルーレットはバトルの前にルーレットを回し、その結果によってバトルの状況が変わるというギャンブル性を含んだ施設で、勝負は五回勝負で一周という扱いになっている。
施設長は勝利の女神のフィーロ=トラモント。
対戦は十周目のラスト、五十戦目と十五周目のラスト、七十五戦目に可能で、勝利すればルーレットシンボルをもらえる。
まあ、そんな施設の説明をしよう……と思ったんだけど「説明されるより直接施設に行った方が絶対良く分かるだろッ!? ほら、百聞は一見に如かずって言うよな!!」ってラインヴェルド達は先に施設に行ってしまった。
ということで、残ったメンバーに施設を説明してから、はい解散……で、後は雪菜、黒華、桃花、篝火、美結、ルイーズ、雫、綾夏、天音、燕、春海、美姫、火憐、玲華を案内しようと思っていたんだけど。
「圓様、私にもバトル・アイランドを案内して頂けませんか?」
「ソフィス様、抜け駆けは卑怯ではありませんか?」
ソフィスとルーネス、サレム、アインス――フォルトナの三王子が案内を依頼してきた。更に、そこにネスト、アルベルト、そのオマケみたいな感じでギルデロイが……正直、ギルデロイはいらないんだけどなぁ。勝手に探索すれば?
「ローザ、露骨に嫌な顔をしてどうした?」
「……ギルデロイ様でしたっけ? 貴方如きが圓様を呼び捨てにするなど許されると思っているのですか?」
「話には聞いていましたが、礼儀というものがなっていないようですね。流石はシェールグレンド王国の貴族……いえ、そういえばシェールグレンド王国というものはもう無くなってしまったのでしたっけ?」
……うーん、なんかソフィスとルーネスの成長の方向性が著しく不味い気がする。腹黒くなってない? ルーネスの隣のサレムが口を開かず逆光で眼鏡を輝かせているのも怖いし、あんまり腹芸が得意じゃないアインスは不機嫌な顔をしているし、ネストは笑っているけど、あれどうやって痛い目に合わせてやろうか? って考えているカノープスと同じ顔だし……お先真っ暗だねぇ。
「……圓様、申し訳ございません」
「まあ、いいよ。……なんかごめんねぇ、雪菜さん、黒華さん、桃花さん、篝火さん、美結さん、ルイーズさん、雫さん、綾夏さん、天音さん、燕さん、春海さん、美姫さん、火憐さん、玲華さん。騒がしくって……」
「そんなことはないですよ!」
「……まあ、確かに少し騒がしいわね。……しかし、まさか私にも内緒で小筆さんをスカウトしていたなんて驚いたわ」
「いやぁ、断られると思ったんだけどあっさりと引き受けてもらえてびっくりしたよ。ダメだったらエリカさんに声を掛けるつもりだったんだけどねぇ。施設長は施設を完全に知り尽くしていなければならないのと同時に、挑戦者としっかり渡り合える実力者じゃなければならない。なんたって、各施設で優秀な成績を残したってことは、『剣聖』の称号みたいなものと同じだからねぇ。ここ数日、施設長に任命した各人とはみっちり修行をしたよ。まあ、多少の実力差っていうものはあるけどねぇ」
「称号と言えば、『剣聖』などの称号……八大タイトルでしたっけ? この称号もバトル・アイランドで争奪戦が行われるようになるのですよね?」
「えぇ。残念でしたねぇ、ギルデロイさん。貴方が『剣聖』に選ばれる可能性が無くなって。まあ、元々『剣聖』に選ばれる可能性は皆無でしたけどねぇ。欲しければ自分の力で勝ち取れってことで。それでは、まずはアルベルトさんとギルデロイさんにとっては今後、重要な場所になるバトル・アリーナに参りましょうか?」
お読みくださり、ありがとうございます。
よろしければ少しスクロールして頂き、『ブックマーク』をポチッと押して、広告下側にある『ポイント評価』【☆☆☆☆☆】で自由に応援いただけると幸いです! それが執筆の大きな大きな支えとなります。【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしてくれたら嬉しいなぁ……(チラッ)
もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。
それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。
※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。




