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Act.8-362 園遊会の終わりと戦後処理。 scene.14

<一人称視点・アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・ビオラ=マラキア>


「や……やぁ、久しぶりだね。お、お招きどうもありがとう」


「……いくら後ろにいる人がおっかない方でも流石に怯え過ぎではありませんか? ……ガネット様、事前にアポイントメントを取って頂きたいものですし、その方はもう堅気ですわ」


「エリカ経由ならアポイントメントを取らなくても大丈夫かと思ってね」


「……大丈夫な訳ないじゃないですか。マフィアの前に社会人なんですからちゃんと段取りは踏みましょうよ」


「……もう帰ってもいいですか? ……今日は有給貰って演劇を見てから午後から司書試験の勉強をしようと思っていたのですが……」


「心中お察ししますわ。マフィアの連中は身勝手な人ばかりですよねぇ。有給は一日追加して、演劇のチケットも用意しておきますのでご希望のものを書いて受付に提出しておいてください」


「……ご迷惑をおかけします、会長」


 しかし、前にも元同僚のマフィアに拘束されて演劇を見に行けなくなっていたし、つくづく運の悪い人だよねぇ、エリカさんって。


「まさか、ガネットともあろう方が約束を反故にされるとは思っておりませんでした。マフィアの世界も信用が重要なのではありませんか? 況してや、ガネットはカモフラージュでもガネット商会を営んでいますし、最低限のことくらいは存じていると思っていましたが、買い被りでしたか? 彼女はもうマフィアではない、ビオラの人間です。その辺り、周知徹底頂きたいと思いますわ。……というか、基本的に社内におりますから受付で一言言ってくだされば面会しますよ」


「まあ、久しぶりに彼女の顔をみたいと思いましてね。堅気になったエリカの近況を知りたいと思って彼女の家に突撃したのですよ。もう二度としないと誓いますよ。周知徹底も行います……ご迷惑をおかけしたようですしね」


 ルアグナーァがこいつマジかよって顔でボクの方を見ている。……相手は表じゃなくて裏の人間、どう考えても危険なマフィアのボスだからねぇ。

 全く臆することなく対峙しているボクはルアグナーァには化け物にでも見えているのかな?


「先約はルアグナーァ様ですから、後ほどガネット様のお話をお伺いします。それでよろしいかしら?」


「えぇ、勿論」


「では、ルアグナーァ様。園遊会の際にお約束した通り私の秘密をお教えしましょう」



「……まあ、確かに只者ではないとは思っていましたが……ただ、ずっと納得がいかないことが納得できました。商人としては明らかに素人ではないものの無名……そこがずっと引っかかっていましたが、なるほど、こことは違う世界で商人として経験があるというならあのゼーベルド商会を取り込めたことも納得できますな。……しかし、まさか、この方がこの世界の基礎を作った創造主というべきお方だったとは……このルアグナーァの眼を持ってしても見抜けませんでした。人を見る目は確かだと思っていたのですが、私もまだまだということですな」


「……商人というよりも前世の立場は投資家です。あんまり自分で経営をしたことがないので……病院とか図書館とかの経営はしたことがありますが……自分で商売というのはビオラが初めてでした。まあ、それも投資家的な関わり方ですが。商人としてはまだまだ若輩者ですから、今後ともご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます」


 モルヴォルとルアグナーァが「こいつ何いってんだ?」って顔になっているけど、二人とも百戦錬磨の商人だからねぇ。しかも、ルアグナーァは中興の祖で、モルヴォルは叩き上げ。それぞれ、宝石商と金融のスペシャリスト、それぞれの分野で勝てるとは思っていないよ。


「……金融に関してはビオラに負けていると思うンだけどなァ」


「まあ、大量の資本と物事の浮き沈みを色として視認する超共感覚(ミューテスタジア)……特殊能力による半分力技みたいなものですからねぇ。一から金融業を中心に成り上がったモルヴォル様には敵いませんよ。……ルアグナーァ様にボクの前世とこの世界の裏側をお話ししましたが、だからといって何か協力してもらいたいということはありません。これまで通り良きライバルとして切磋琢磨していきたいですねぇ」


「えぇ……最早ビオラ商会と競うというレベルの話ではないと思いますが、私も閣下に失望されないように頑張っていきたいと思います」


 ……失望するも何もないと思うんだけどねぇ。これまで通り良き商売をしていきましょうっていう話だし……最近はなんか商売以外の仕事の方が増えている気がするけど、専門は創作活動なんだけどなぁ、そのための商売だったんだけどなぁ……おっかしいなー、どんどん本末が転倒していっている気がする。


「それと、元冒険者で、現在王女宮の料理長を務めているあの方……というか、メルトラン様のことをお伝えすると言っていましたね。流石は王女宮の料理人に採用されるだけあって将来有望な料理人だと思っています。最近はラピスラズリ公爵家の料理長のジェイコブさんやペチカさんとも情報交換をなされているようで、メキメキと腕を上げていらっしゃいます。ボクも勝手にライバルと認識していますが、競い合うべき相手の一人と思っています」


「……あの愚息をそこまで評価して頂けているとは正直驚きました。元々商売を苦手にしていることは知っていましたが、私も息子に跡を継いでもらいたいと育ててきたので、お恥ずかしながら半ば喧嘩別れのようになってしまいまして……しかし、閣下、近況を伝えて私に一体何をしてもらいたいと思っているのですか?」


「別に何もですよ。ただ、親としては息子の近況を知りたいんじゃないかと思ってお伝えしたまでです。親子だからっていつまでも一緒にいなければならないという訳ではないと思います。巣立っていくということもある……ただ、その形に納得が行っていないならもう一度お会いすることをお勧めします。ただ、別に仲直りするのが全てではないとも思います。その辺りは親子の問題ですから、ボクからは特に何かを言うつもりはありませんね」


「……お気遣いありがとうございます」


 さて、当初の予定は既に解決だけど……物凄い胡散臭い顔をして待っているマフィアのボスがいるからねぇ。


「それで、ガネット様はどのような御用で?」


「勿論、あの戦争についてですよ。何故、私たちにお声掛けしてくださらなかったのですか!」


「……忘れてた」


「忘れてたって……」


「あの日は園遊会からそのまま戦争に突入してしまったので園遊会に参加している面々で対処する流れだったし、ボクもすぐにアントローポスとエクレシアに対処しなくちゃならなかったし……でも、君達マフィア居なくても余裕で殲滅できたよねぇ?」


「……それは、そうですが。我々マフィアも国王陛下に忠誠を誓っているのです。国家の危機には裏も表も関係なく馳せ参じるものなのですが……」


「つまり、何が言いたいの?」


「私達にも時空騎士(クロノス・マスター)になれる資格を与えて頂きたいのです」


「……まあ、ガネット様に時空騎士(クロノス・マスター)の資格を与えてもいいとは思うんだけどねぇ。ただ、それ以外のマフィアについてはまだ信用度低いからねぇ。とりあえず、ボクの権限で時空騎士(クロノス・マスター)の資格を与えるよ。それと、明日の午前にブライトネス王国の王都を含む複数箇所……基本的には多種族同盟加盟国の首都だけど、その地域で戦功授与式の映像を流す。その際に時空騎士(クロノス・マスター)のルールの改定についても話すから必ず聞いておくように……それと、明後日以降は予定を空けておいてもらいわないといけないからねぇ。詳細は明日話すけど」


「明後日以降ですね。分かりました、空けておきましょう」


 ガネットに『時空魔導剣クロノスソード』を手渡す。


 黒の使徒所属の魔法少女達の方針も決まった。……一割くらい黒華の方針についていけないと脱退を決め、その中には魔法の国の覇権を狙う近いうちに敵対することになりそうな魔法少女も何人かいるんだけど、まあ、それは想定の範囲内。黒華達の中からも時空騎士候補も何人が出ているし、雪菜もボク達に力を貸してくれると言ってくれた。

 天恵の巫女達も全員が協力してくれると約束してくれたし、実は新たに時空騎士(クロノス・マスター)になるという人は結構な人数いる。ガネットもその一人ということになりそうだねぇ。


 さて、明日はいよいよ戦功授与式か。気を引き締めていかないとねぇ。



<三人称全知視点>


 その日、突如、ブライトネス王国の王都の上空に複数の立体映像が浮かび上がった。

 かつてない光景に住民達が驚いて上空に視線を向ける。数日前に王城を複数の敵が襲うという事件が起きたのでブライトネス王国の王都はピリピリとした空気に包まれていた。


 また、何か始まるのか……と不安に駆られながら視線を向けると、その画面に一人のスーツ姿の女性の姿が浮かび上がった。


『皆様、早朝から失礼致します。ビオラ商会合同会社社員のエリカと申します。先日、ブライトネス王国の王都を未曾有の危機が襲いました。戦禍により王都の一部にも被害を及ぼしましたが、死者、行方不明者、負傷者も含めてゼロという快挙を成し遂げることができました。本日は、このブライトネス王国の王都を未曾有の危機から救った皆様方を表彰する場を映像という形でお送り致したいと思います。確かに皆様には関係のない遠いお話だと思うかもしれません。しかし、またいつどこでこのような事態に陥るかも分からないというのが現在の情勢でございます。皆様にはこうした方々がいらっしゃることでこの多種族同盟加盟国の平穏が保たれているところを知って頂くと共に、腕に自信のある我こそはという方には是非お力になって頂きたいと思っております。それでは、授賞式の会場にカメラを切り替えます』

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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